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Bランクの魔物との戦い方の検討

 

 アリアリーシャは、全員に入れ終わると、シュレイノリアにもう一度同じ様にお茶を入れるために、ポットの中を洗ってもらってもうと、一度水を貯めて沸かしてもらい、茶葉を入れる。


 今度は、ゆっくりとお茶が出るようにしてから、お茶を濾してから冷まさずに皆んなに入れていく。


 全員に入れると自分のカップに入れて自分も飲み始める。


「助かりました。 だいぶ落ち着きました」


 一番影響を受けていたウィルリーンが、アリアリーシャにお礼を言う。


 それをアリアリーシャは笑顔で答える。




 だいぶ落ち着いた様子だが、まだ、完全には戻ってなさそうに思ったジューネスティーンは、ユーリカリアにこの辺りの魔物について確認することにした。


「この辺りの魔物はどんな感じなのですか?」


「ああ、身長はギルドで話した通りだ。 体つきはあんたの様な感じだな。 胸板も厚くて腕も太い。 それと、腕が人よりも長いから振り回されると厄介だ。 それに腕は剣で斬れないんだ。 何らかのシールドが有る様なので倒す時は、胴を狙うか首を落とすしかないんだ」


「腕にシールドですか」


 東の森の魔物の事を思い出したのだろう。


 ジューネスティーンは、魔法を使う魔物と聞いて、少し考える様な態度をとった。


(東の森の魔物も、水魔法を使って、アンジュの火魔法付与の矢の炎を、それで消していた。 今度は、腕にシールドを使える魔物になるのか)


 そんなジューネスティーンを気にする事もなく、ユーリカリアは話をする。


「ああ、見えないグローブでもはめている様な感じなんだよ」


「へーっ、グローブをはめた様にシールドの腕ですか……。ちょっと厄介な相手ですね」


 ジューネスティーンは、ユーリカリアの話を聞いて考え込む。


(東の森の魔物と対峙した時は、そんな事を考えて戦ったわけでは無かった。 ひょっとすると、東の森の魔物にも同じ様な魔法が備わっていたのかもしれないな。 試してはみてなかったのだが、レオンの攻撃の時には、そのシールドの魔法を使っていたけど、アリーシャ姉さんの時は、攻撃に気が付かなかったから、シールドを張りそびれたのかもしれない。 強力な魔物はそれぞれ何らかの能力が備わっているのかもしれないな)


 そんな事に気づけるのが長年冒険者として魔物と戦ってきた経験の違いなのかと考える。




 そして、その魔物に殴られた時にどうやって防御するか考えているのだろう。




 何時もならパワードスーツの盾で受け流す様になるが、今回はパワードスーツ無しで戦う事になる。


 そうなると、腰につけた太刀でその魔物の腕をかわす事になる。


 鋼以上に硬い腕を想定すると、太刀で受けるのは問題がある。


 それなら太刀の鎬で受け流す様にするしかない。


 殴られた時、次の攻撃を考えると外側から太刀を回す様に払いながら受けて方向をずらす。


 間合いを詰めたところで外側から脇腹に刃を向けて斬る様になる。


 ただ、その時に躱した腕が外に振り回されると、その腕をかわしながら斬りつける事になるが、かわしきれなかった場合、その腕の直撃を受けたらひとたまりもない。


 当たりどころが悪ければ致命傷を負うことも考えられる。


 それなら、腕を斬り落とせれば攻撃手段の一つを抑えられる事になる。




 ジューネスティーンは、ユーリカリアに、話しかける。


「あのー、質問いいですか?」


「ああ、構わない」


「そのシールドされた腕なのですが、シールド部分はどのあたりまでなのでしょうか? 拳だけなのか、腕もなのか、二の腕もなのか、その辺りが明確になってくると、もう少し戦い方が見えてくるのですけど」


「あーっ、詳しくは調べて無いが、肘まではシールドされている。 二の腕は試した事が無いな」


「そうですか。 なら、試してみる価値はありそうですね」


「何でだ?」


「腕を振り回して攻撃してくるのなら、その腕を切り落として仕舞えば攻撃手段が無くなりますから、そうなったら後は倒すだけになるかと思ったんです。 うちの戦い方は、前衛のレオンとアリーシャ姉さんが足を攻撃して行動力を奪う様にしてから倒す様にしてます。 まあ、前衛の攻撃だけで倒せればその方が助かりますけど、そんなに簡単に高ランクの魔物は倒せないので最初に動きを止めるようにします。 それから倒すようにしてます」


「成る程、連携してそれぞれが自分の仕事をするわけか。 強い敵1体を倒すならそれも良いと思うが、複数の強い敵に遭遇した時はどうする? 例えば東の森の魔物を5・6体、つまり、両方の数が同じ相手にしなければならない様な時とかに、その戦術は使えるのか?」


「多分、無理でしょう。 その数の東の森の魔物と対峙するなら」


「するなら」


「多分、撤退するでしょう」


 ユーリカリアは何か面白い戦術を話してくれるかと思ったのだが、当たり前の答えに拍子抜けする。


 だが、的確な判断を持っていることも事実だと受け取る。


「案外、面白そうな作戦を話してくれるかと思ったがそうきたか。 そうだな。それが1番の正解だろう」


「すみません。 期待通りの答えが出せないで」


「いや、構わんよ。 東の森の魔物もだが、魔物が組織だって攻撃してくることはないからな。 そこが冒険者が魔物に勝つ1番の強みだと言って良い。 個々に攻撃してくる敵と組織的に攻撃してくる敵なら、数が少なくても組織的に動く敵の方が怖いからな」


 ユーリカリアは、魔物が組織だって攻撃してくる事が無い部分を上手く使って対応しているのだろうとジューネスティーンは予想している。


 もし、これがジェスティエンの銃を使った狩になった場合はどうなるのか。


 少し気になった。


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