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狩場への移動


 ルイゼリーンの、年長者の経験についての話を、ジューネスティーンは、真摯に受け取る。


「そうですね。 その通りだと思います。 今日は色々と勉強させてもらうつもりです」


 そう告げると、ユーリカリアは苦い顔で、ジューネスティーンに応える。


「それは、逆になるかもしれないぞ。 案外、私達が教えられるかもしれないな」


 そんな事を言っていると、ルイゼリーンが、ユーリカリアをフォローしてきた。


「そんな事は無いと思います。 実力というのは、一朝一夕にできる物ではありません。 年長者の経験は新人には、大きな力になると思いますよ。 数をこなしたというのは、それだけ沢山のパターンを認識しているという事ですから、同じ魔物でも、時には違う動きをする事も踏まえて戦えるようにできるから高ランクなのですよ」


「まあ、そうだと良いかな」


 そういうと、ユーリカリアは苦笑いをすると、ジューネスティーンに、狩場の話をする。


「じゃあ、私達のいつも使っている狩場で良いな」


「お願いします」


 そう言うと、後ろに居たメンバー達にユーリカリアが伝える。


「今日は、ジューネスティーン達と合同の狩になる。 いつもの狩場だから、馬車を出す」


 それを聞いて、ジューネスティーンが、近くに帝国の監視が居るのを確認しつつ、ユーリカリアに狩場の確認を行う。


「そういう事なら、馬車は、うちのを出します。 ちょっと細工をして有りますので、スピードは、何も付けてない地竜と同じなので、かなり移動時間の短縮になると思います。 それで、場所はどの辺になりますか?」


 おおよその場所をユーリカリアに確認するのは、帝国の監視役に聞かせるためだ。


「南だ。 南の王国の街道が山脈を挟んで東と西に分かれているだろ。 その山脈の麓の辺りだ」


「ああ、あの山脈の北の丘陵地帯の辺りですか?」


「まあ、そんな所かな。 手前に東街道と接するように森があるだろ。 その西側の岩場のような所だ。 まあ、足場は悪いが、岩の上を抜ければ、案外簡単に移動できるんだ。 馬車は、麓に置くことになるが、多分、上から馬車の確認はできると思う」


「そうですか、それだと、麓の方からも戦っているのを確認できますね」


「ああ、誰かが先に狩場に入っていても、行く途中で確認ができるから、行く前に先客の確認もできる」


「なる程、面白そうですね」


「面白いか。 だが、あそこの魔物は、でっかい猿で、私より1メートルもでかいのがウジャウジャいるぞ」


 ユーリカリアの身長が、160センチとドワーフにしては身長が高いが人属よりは低い。


 だが、その話からすると2.6メートルの大型の猿と言うより、ゴリラと言った方が良い魔物が相手になる。


 ジューネスティーン達は初見の魔物になる。


「では、金糸雀亭の馬車を用意して移動しましょう」


 そう言うと、ジューネスティーンは、ギルドをでる。




 帝国の監視はギルドの中に入ってこちらの様子を見ていた。


 自分達がこれから何処に行くのかも聞かせたのだ。


 その監視役の脇を抜けるように途中ですれ違う。


 なんとなくであるが、その監視は、微妙な顔をしていた。


 ジューネスティーンは、狩場の場所を帝国の監視にも聴こえるように話たので、何処に行くのか分かるようにした。




 自分達の馬車は、シュレイノリアの魔法紋のお陰で重さを感じないようになっているので、地竜の足は何も引っ張ってない生身の状態で走るスピードになる。


 一方、帝国の監視役は、馬車では無いにしても、馬に鞍を付けて人を乗せて走る事になるので、追いつく事ができなくなってしまう。


 前回はそれでまいているので、その時の事が頭をよぎったのだろう。




 だが、今回は聴こえるように移動先を聞かせている。


 その為自分達から離されても、目的地が分かっていれば後から追いつく事も可能になる。




 金糸雀亭で、ジューネスティーン達の馬車に地竜を付けると、二つのパーティーは馬車に乗り込み南門に向かう。


 南門を出ると、地竜のスピードが増して走り出す。


 中にいるメンバー達、特にユーリカリアのメンバーがスピードに驚き、周りの掴めるところを見つけて握っている。


 横を流れる景色が通常の馬車とはかなり違って流れるので少し焦り気味になっている。


 後ろを確認すると、追ってきている帝国の監視役の姿がどんどん小さくなっていくが、今回は目的地を聴かせているので、目的地で狩りをしているうちには追いつくはずだ。




 馬車の中で、カミュルイアンに話をするつもりで、ウィルリーンとシェルリーンは両隣に座ったのだが話をする余裕は無く、2人でカミュルイアンの腕を抱えるようにしていた。


 揺れはそれ程大きくは無いが、それでも地面の影響で少しは揺れる。


 スピードが速いので揺れ方も早い。


 それが、ユーリカリア達には、慣れなかったのだろう。


 ただ、ジューネスティーン達メンバーも、シュレイノリアが魔法紋を描いてから何度も乗ったわけではないので、それ程慣れてはいない。




 小一時間程で、狩場近くに着くと、ユーリカリアが馬車を止める場所を指定してくるので、その場所に止める。


 後ろに帝国の監視役は見えないので、上手く伝わったか心配になるが、出来る限りの事はしたのでこれで追いつかないようなら仕方がない。


 相手の能力が低すぎたのだと、納得するしかない。




 全員が降りると、少し馬車酔い気味なので、少し休憩をすることにした。


「すまないな。 うちの連中が調子が悪いみたいなので、少し休ませてからにする」


「問題ありません。 万全な体調でなければ、リスクが高くなりますから体調を整えてもらったほうが良いと思います。 うちの連中も少し休ませたいですから」


 そう言って、ジューネスティーンも自分のメンバーを確認したところ、アンジュリーンとカミュルイアンも少し酔い気味だった。


 2人も少し乗り物酔い気味なので、休ませたいとジューネスティーンは考えていたのだ。


「姉さん。 悪いけど、お茶を出してもらえないかな。 最初は多分、ぬるめのお茶が良いと思う」


「わかりましたぁ」


 そう言って、ポットを持ってシュレイノリアに水を入れるように頼むとシュレイノリアが魔法で水を貯める。


 貯めた水を今度は、魔法で一旦沸騰させると、アリアリーシャが茶葉を入れてしばらく置く。


 もう一つのポットの蓋を開けると、茶こしを置いて、ポットのお茶を濾していく。


 直ぐに呑めるようにと、シュレイノリアに少し冷ますようにお願いする。


 シュレイノリアは冷ます為にポットの表面に薄く氷を貼らす。


 だが、氷はポットの中の湯の温度が高いので一瞬で溶けてポットの下に滴る。


 アリアリーシャは軽くポットを軽く振って中の温度を一定にさせる。


「いつもだったらぁ、ゆっくりぃ下げるのですがぁ、今日はぁ早くぅ飲みたいでしょうからぁ、急いで冷ましましたぁ」


 そう言って、ポットを持って、具合の良く無さそうなユーリカリアのメンバーからカップに注いでいく。


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