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ユーリカリア達

 

 ジューネスティーン達のパワードスーツは、ジューネスティーンとアリアリーシャとレィオーンパードの前衛と盾役の物が配備された。


 残りの3台は、まだ届かないので適当に新人らしい依頼と魔物を狩って過ごしている。




 ジューネスティーンは、マンネリ化した冒険者としての活動に何か刺激を与えるか、新たな課題を与えて東の森への準備を行う事にしようと考えていたのだが、面白いアイデアは浮かばないようだ。


 ぶっつけ本番のような事になれば、思わぬアクシデントによって、対応に苦慮する事もある。


 可能な限りあらゆる場面を想定して、色々なパターンを検討しておく事で、想定外の事態においても、自分達の攻撃や防御のパターンを多く用意して、そのパターンを上手く使うようにすることで、生存率を上げる。


(できれば、東の森の魔物より弱い魔物で、数匹を相手にするような場所があれば、仮想東の森の魔物として戦うことも可能だ)


 現時点では、帝都周辺の魔物を使って、攻撃パターンの確認を行なってはいるが、明らかに戦力差が有るので、緊張感にかけているのだ。


 なので、上位の魔物と対峙して、可能な限り実戦的な訓練を行いたいと考えているのだが、上手く進んでない。




 ただ、上位の魔物を狩にいくにしても、大ツ・バール帝国内の魔物の種類、生息場所、それと、冒険者の縄張りもあるので、そう簡単には、Bランク、Cランクの魔物の場所へ入り込む事は難しい。


 下手に入っていって、その場所を利用している冒険者とトラブルになっては意味が無い。


 また、パワードスーツを表に出してしまう事になるのは、6台全てが揃っていない現時点では、帝国軍に隠している意味が無い。


 表に晒す時は、全てが揃ってから、圧倒的な攻撃力と防御力を得てからでなければならないのだ。


 それまでは、静かに注目を浴びる事の無いようにしていたいのだ。




 今日も、ギルドに行って、適当な依頼を探そうと思って宿を出ると、向かいの金の帽子亭からユーリカリアもメンバーと一緒に現れる。


 ジューネスティーンが挨拶をするとユーリカリアも返してくれた。


 すると、道路を渡って、ユーリカリア達が、ジューネスティーン達に合流するように寄ってくる。




 玄関脇のテラスには、帝国の監視役が伺っているのが分かったが、ジューネスティーン達は知らん顔を決めてそのままギルドに向かう。




 ウィルリーンとシェルリーンは、カミュルイアンの両脇につくと、ひそひそと話を始める。


 あぶれたレィオーンパードは、ヴィラレットが寄ってきたので何やら話をしながら歩いている。


 どうもヴィラレットが、気を利かせてレィオーンパードの相手をしているようだ。


 ユーリカリアもジューネスティーン達に寄ってきて隣を歩くと、声を掛けてきた。


「なあ、今日は何か予定があるのか?」


「いえ、特に予定は無いので、ギルドの依頼を確認して、手頃なのが有れば受けようかと思ってました」


「無かったら?」


「まあ、帝都周辺で適当な場所で魔物のコアでも狩る事になります」


「そうか」


 ユーリカリアは、ジューネスティーンの話を聞いて、決断するような顔をすると聞いてきた。


「なあ、今日は合同で狩りをしてみないか?」


 その提案を聞いて、マンネリ化した自分達メンバーのためにも丁度良いかと思ったのか、ジューネスティーンの顔は乗り気になる。


「構いませんよ。 こっちもマンネリ化していると思ったので、ご一緒させていただければ、何かと勉強になると思うので、ぜひ、ご一緒させてもらいたいです」


 ユーリカリアは、断られた時の事を考えていたのだろう。


 ジューネスティーンの答えに、緊張が解けて、体から力が少し抜けたようだった。


「分かった。 じゃあ、ギルドに寄ったら、合同で依頼を引き受けるか、手頃な依頼が無ければ私達がよく使う狩場に行こう」


 その為なのか、今度は、少し声のトーンが上がったように感じる。


 2人の話が決まると、二つのパーティーは、ギルドに入っていく。




 12人が同時にギルドに入っていく、どちらも担当の受付嬢はルイゼリーンなので、2人でそちらに向かう。


 それを確認したルイゼリーンは、二つのパーティーが上手くいっているのだと思ったのだろう。


 若干、嬉しそうな顔で、ルイゼリーンは、二つのパーティーを見る。


 そして、自分の受付の前にジューネスティーンとユーリカリアが来ると、笑顔で話しかける。


「おや、今日はご一緒にご来店ですか?」


 ルイゼリーンの問い掛ける声にも、嬉しそうな感じが伝わると、ユーリカリアが代表で答えた。


「ええ、宿の前で偶然に会ったので、出来れば共同で行える依頼が有ればと思って来てみました」


 ジューネスティーン達とユーリカリア達を合わせたのは自分なのでルイゼリーンは二つのパーティーが仲良くしているので安心すると、共同で行えそうな依頼を探すことにする。


「そうですねぇ。 ちょっと調べてみます」


 ルイゼリーンは、自分のところの依頼をめくって調べる。




 だが、Aランクのユーリカリアのパーティーと、実力的には、Aランクを超えるが、ギルドの認定したランクは、ほぼ新人レベルのジューネスティーン達とでは釣り合いが取れない。


 ルイゼリーンやギルドがOKしても、もう一方のパーティーランクが低いと、依頼元からクレームになってしまう事も有る。


 また、他の冒険者パーティーからも何らかのクレームが入ることがあるので、慎重に選ばなければならない。


「うーん、これといった依頼は見当たりませんね」


 ユーリカリアは妥当な判断だと思う。


 こうなる事を予想していたようだ。


「そうか、ありがとうよ。 じゃあ、今日は、私のところの狩場でジューネスティーン達と組んでみるよ」


「そうですか、助かります。 高ランクの方達に、彼らの戦い方をみてもらえるのは、ギルドとしても助かります」


 そうユーリカリアに告げると、ルイゼリーンは、ジューネスティーンに語りかける。


「高ランクには、高ランクになっただけの経験がありますから、自分達との違いを確認する良い機会だと思います」


 東の森の魔物を倒せるだけの実力の有る、ジューネスティーン達だが、戦術や戦略については、実際に戦った数が物を言う。


 圧倒的な防御力や攻撃力を持っていても、経験の違いによって、負けてしまうなんて事は、良くある話なのだ。


 ベテランの経験が、新人を圧倒するような事も有るので、学校を卒業して、南の王国よりも強い魔物が存在する、大ツ・バール帝国のような所では、ユーリカリアのような経験も重要になってくる。


 ルイゼリーンは、その事を伝えたかったのだろう。


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