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ジュネス達との付き合い方


 ユーリカリアが、嬉しそうに、ジューネスティーン達と付き合いを深める事を考えていると、カインクムが、申し訳なさそうに話しかける。


「あのー、嬢ちゃん達には申し訳ないんだが、ここでジュネス達の話を聞いた事は、外では話さないで欲しいんだ」


 何事かと思ってカインクムを見るメンバー達にカインクムは続ける。


「詳しくは話せないんだが、色々とあって、秘密にしている事が色々ある。 それに俺も知らない何かも、かなり多いみたいなんだ。 だから、ここで今話した内容は、外では話さないでくれないか。 それと、ジュネス達にも、ここでの話は内緒にしておいて欲しいんだ」


「……」


 ユーリカリアのメンバー達は、何事かと思って、一瞬、黙っているが、ユーリカリアとウィルリーンは、納得したような顔をしている。


「ちょっとな、訳あって、あの連中は、ここには来てない事になっているんだ。 その代わり、嬢ちゃん達には便宜を払うからよろしく頼む」


 お互いを見るメンバー達が、そのうち、ユーリカリアに視線を向ける。


 全員が、リーダーに判断を委ねると目で訴える。


「まあ、そう言った事なら、内緒にしておく、その方が私らにメリットも多そうだしな」


 ホッと一息つくカインクムに、ユーリカリアは、自分達は自分達だと思ったのだろう。


 カインクムの話をしなければ、こっちはこっちで、なんとでもやっていこうと考えたようだ。


「でも、こっちがジュネス達と接触するのは問題無いな。 もちろん、ここでの話は一切しないと言う条件でだ」


「ああ、それで構わない」


 カインクムも了承すると、ユーリカリアは、ウィルリーンに、話はついたと言った感じで話しかける。


「そう言う事だ。 今日の魔法紋や魔法の話は絶対にするな。 お前が、一番ボロを出しそうだからな」


「ちぇっ、信用されてないのね。 私から魔法の話なんてしないわ。 私からは絶対にね」


 ウィルリーンがそう言うと、ユーリカリアはジト目で、ウィルリーンを見る。


「お前、相手に魔法の事、話させるように誘導するつもりだろう」


 そこまで言うと、ユーリカリアは、にやけた顔で、別の話をする。


「お前さんは、魔法の事もそうだが、カミュルイアンと親交を深めなくて良いのかな」


 それを聞いて、頬を赤くするウィルリーンをたたみかける。


「あまり、シュレに魔法の話を迫ったら、カミュルイアンの相手は竿姉妹のヴィラレットに任せるか」


 そう言われて慌てるウィルリーンが、赤くした顔を向けて答える。


「それとこれとは話が違います」


「まあ、どっちを優先するか考えておく事だな」


「もう」


 何だか良く分からない話をしている2人にカインクムは、話をまとめる。


「まあ、そこまで、こっちもとやかくは言わない。 だけど、あっちの魔法の嬢ちゃん、変な喋り方してたし、中々、本質は話さないだろうな。 ぶっちゃけ、その嬢ちゃんの魔法の話はよくわからなかったが、ジュネスが間に入ってくれたから出来るようになったんだ。 何言ってるのか分からない魔法の嬢ちゃんよりジュネスに聞いた方が話は早いかもな」


 カインクムがシュレイノリアやジューネスティーン達の話をした。


「多分、あのジュネスもかなり魔法について詳しいと思う。 まぁ、これから先はあんた達次第だ。 頑張ってくれ。 それと、あんた等の剣は急いで作る予定だが、ジュネス達の依頼があってな、だが、まだ荷物が届いてない。 だから、今の所は時間が有るので、直ぐに取り掛かるが、その荷物が届いたら、そっちを優先しなきゃならないんだ。 なるべく速く取り掛かるが、その時は遅れるかもしれない。 その辺は分かっていてくれ」


「ああ、分かってる。 出来たら教えてくれれば構わない。 皆んなもそれで良いな」


 全員が、ユーリカリアの話に肯く。


「これからも、よろしく頼みます」


 そう言ってユーリカリアが立ち上がると、メンバーがそれに続く。


「それじゃあ失礼する」


「ああ、頑張れよ」


「それと、私とウィルリーンは、ご主人より多分年上だ。 若く見てくれてありがとうな」


 そう言うと、ユーリカリア達は店を出て行った。




 ドアを締めると、テーブルのカップを片付けていたフィルランカが、カインクムに話しかけてくる。


「ジュネスさんと一緒にいた、男の子のエルフも隅におけないのね」


 そう言ってフィルランカは含み笑いをした。


 カインクムには、何の事かと思って、フィルランカを見る。


「どういうことだ?」


 カインクムの返事を聞いて、フィルランカは、笑いを堪えるのが苦しそうに話だす。


「だって竿姉妹って言ってたわよ。 エルフの男性事情って噂に聞いたことがあるけど、男性出生率が低すぎて私たちのように、一夫一妻なんてことになったら、大半の女性エルフは夫婦になれないのよ。 だから、エルフの男性は、何人もの女性エルフを妻として関係を持たないといけないって聞いたわ。 それも1日に何人もと関係するなんて当たり前のようなのよ」


 フィルランカは、ジト目でカインクムの顔を見る。


「ほーっ、ジュネスのところのエルフのにいちゃんと、今のエルフの2人はもう出来てるんか。 あのエルフのにいちゃんは、大人しそうだったけど、エルフはエルフってことだったのかもしれないな」


「そう、とても強いみたいよ」


 フィルランカは、カインクムにねだるような様子で答えた。


「ふーん」


「……」


 無言になる2人だったが、フィルランカが、おねだりをする。


「ねえ、そろそろエルメアーナの妹か弟が居ても構わないわよね」


「……」


 カインクムは、顔を赤くして、無言になってしまった。


「ねえ、私にも子供が居てもおかしくは無いのよ」


「いや、俺には孫と同じだから」


 フィルランカは、娘のエルメアーナと同じ歳なのだ。


 フィルランカに子供ができたとすると、自分の娘と同じ歳なのだから、その子供となったら、カインクムからしたら、孫の世代になってしまう。


 そう考えると、カインクムは、フィルランカに子供ができる事は考えられなかったのだ。


 だが、そんなカインクムを見て、フィルランカが、寂しそうな表情を見せる。


「なんで、私が嫌いなの?」


 フィルランカは、寂しそうな顔をしたまま、上目遣いにカインクムを見る。


「そっ、そういうわけじゃない。 こんな歳の離れた夫の子供を産んだと思ったら、お前の親御さんだって」


 カインクムは、額に脂汗を流し、顔を赤くして、慌てながら、フィルランカに答える。


「何を言ってるんです。 私は孤児院の出身です。 親は、顔も名前も知りません。 そんな事に気を使う必要はないんですよ」


 そう言われて、カインクムは、孤児院出身だった事を思い出す。


「そうか。 ……。 そうだったな」


 そう言って、カインクムは、何かが、吹っ切れたような表情をする。


「ところで、夕飯はどうなってる」


 フィルランカは、カインクムの表情が変わった事から、何かを期待したようだ。


 もう、それ以上、自分の思いを言う事はなく、カインクムの質問に答える。


「ちゃんと、準備できてます」


 フィルランカは、とても優しい表情と声で、カインクムに答えた。


「じゃあ、夕飯にしてくれ。 今日の夜は長くなりそうだからな」


 そう言うと、カインクムは、店の奥に行く。


 カインクムの話を聞いたフィルランカは、一瞬、戸惑ったような表情をするが、直ぐに、頬を少し染めて嬉しそうにカインクムの後を追って奥に行くのであった。


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