エンブレムの加工
ツバとそこに乗ったV字の飾りが完成する。
机の上にそれを置くと、レィオーンパードがそのツバの飾りを満足そうに見ている。
見ていて飽きないのかと思う程に見入っている。
自分のデザインした物が出来上がって、思った通りだったのか、それ以上の出来上がりだったのか、かなり気に入った様子だ。
そんな様子を見るとしばらく様子を見ようと思ったのだろう。
新たに材料を持ってきて、自分の物と、アリアリーシャの物を作り始めようとする。
同じ様な方法で、アリアリーシャの物を作ろうとして、アリアリーシャの兜について、先に修正を加える事にする。
後ろに髪の毛を入れる為のカバーを追加した事によって、後ろが大きくなってしまったので、バランスを取るために頭の手前の方にバランスを取るためのカバーをつける事にした。
今度は、特にデザイン的な考え方ではなく、前頭葉を覆うカバーの様に取り付ける。
頭の中央部分を少し山にする様にして、頭の手前を覆い隠す様に配置すると、ジューネスティーンは、少し考える。
(これって、ツバの飾りと含めて、前頭葉のカバーを作ったら見栄えもいいんじゃないの?)
考えがまとまったのか、前頭葉のカバーを作ると、そのまま、レィオーンパードと同じツバの飾りを作り始める。
同じ様に作ると、今度は、前頭葉のカバーと合わせて、ツバの飾りを取り付ける。
今度は、前頭葉のカバーごとツバを取り付けたので、頭の手前に付けるバイザーの様になる。
綺麗に見せる感じになり、パワードスーツに取り付けようとした時、待ったがかかった。
「ジュネスゥ、そのまま取り付けるの? 」
そのつもりだったジューネスティーンは、何を当たり前の事聞くのかと言った様な顔をしながら、アリアリーシャを見る。
アリアリーシャは、少し不満気にジューネスティーンを見上げている。
ジューネスティーンが意味が分からない様な顔をしているので、それを見たアンジュリーンが、アリアリーシャを代弁する。
「デザインは、凄くいいのよ。 すごくね。」
ジューネスティーンは、そう言われて、ますます分からない。
そんな顔をすると、それを見て、アンジュリーンがため息を吐く。
「デザインと言うのは、形の事で、色も考えてくれたら、もっと、嬉しいのよ。」
そう言われて、手に持っている前頭葉のカバーを、ジューネスティーンは見る。
(なるほどな。 何だか、少し足りないと思ったのは、色だったのか。 やっぱり、この辺りは、2人に感謝だな。)
「分かった。 じゃあ、色も変えようか。」
そう言うと、2人の前にアリアリーシャのパワードスーツに取り付けようとした前頭葉のカバーを持っていく。
すると、レィオーンパードが、口を挟んできた。
「ねえ、飾りだけは、黄色にしてくれないかな。 全員が同じデザインで統一するなら、色も同じ方がいいよ。」
言われてみればその通りかと、誰もが納得する。
「でも、黄色かぁ。 何だか周りから直ぐに見つかりそうだし、汚れとかも目立ちそうだな。」
「でも、森の中には、黄色い鳥も居るからこの大きさなら問題にならないよ。」
そう言われると、納得できる様な気もするのだろう。
森の中に居る小鳥でもカラフルな小鳥も居る。
「じゃあ、デザインを考えてくれたレオンの意見でいこう。」
女子2人もそれに納得した様だった。
ただ、カバーの色については少しもめた。
アリアリーシャの髪の色が白なので、白にしようと言うが、流石にそれは諦めてもらう。
色々と話が出るが、結局は、紺色に落ち着いた。
その後は、レィオーンパードのツバを取り付けてから、自分パワードスーツにも同じツバの飾りを付けようと思ったのだが、顔のデザイン変更も有るので、パーツを作るだけにとどめた。
ジューネスティーンは、ソファーに座って寛ぐことにした。
カミュルイアンとレィオーンパードは窓際で鳥と戯れている。
アリアリーシャは、自分の我儘でシュレイノリアに負担をかけていると思い、魔法紋の設計を眺めている。
魔法紋の設計を見るのに飽きカミュルイアン達を眺めていると、アンジュリーンがお茶を入れてくれた。
「丁度お茶を飲みたかったと思っていたんだ。ありがとう。」
アンジュリーンにお礼を言い。
アンジュリーンが顔を赤らめている。
素直にお礼を言われるとは思ってなかったのかもしれないのだが、ジューネスティーンは、余計な一言を言う。
「さすがは、見た目年齢より実年齢だ。」
余計な事を言って、アンジュリーンに頭を叩かれると、口元に持ってきていたお茶をこぼす。
ジューネスティーンは慌てて、こぼれたお茶を拭くが、アンジュリーンは、膨れたような顔をしている。
「一言多い。」
そう言って拗ねてしまった。
気がつくと、夕焼けも終わりかけ、夕闇になろうとしているので、一階で夕食にする事にした。
前衛の兜を取り付けるにあたって、ツバの部分のデザインがレィオーンパードが考えてくれた事でパワードスーツの見た目のデザインも良い方向に変わった。
色々と修正を加えさせられていたジューネスティーンだが、案外心地良く思っている様な感じが見受けられる。




