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アリアリーシャの耳


 兜の大凡の形が出来上がってから、耳の出し入れの開閉についてアリアリーシャがクレームをつけてきた。


 一難去ってまた一難である。


 耳の上には、蓋をつけて、開閉する事にするのだが、蓋の蝶番の位置で揉めた。


 アリアリーシャは後頭部側に付けて手前から後ろに向かって開く様にして欲しいというが、強度や嵌合性が問題になる。


 それに、パワードスーツに入る時に、蓋の位置が後ろに有ると邪魔になると、ジューネスティーンが反対したのだ。


 ジューネスティーンは、蝶番を外側に付けて外側に開く様にしたいと言ったのだが、広く音を確認したいので、外側に開くのは嫌だとアリアリーシャに反対され、結局、スライド式に外に開く様にする事で決着した。


 ただ、それには、シュレイノリアが何色を示した。




 耳が完全に中に入った場合は良いが、少しでも出ていたら、スライドしてきた蓋に挟まれてしまうという事だった。


 アリアリーシャは、その話を聞いて手で耳を隠すと、猛反対した。


「私の耳は、命と一緒なの。 だから、絶対に傷つけない様にしてください! 」


 かなり真剣に訴えたのだ。




 検討の結果、それについては、耳との余裕率を大きく取ることと、新たに、耳の位置を確認する魔法紋を追加することになった。


 シュレイノリアは、魔法紋の設計が難しくなると言って、断ろうとするが、アリアリーシャ、アンジュリーンと、ジューネスティーンに説得されて、新たな魔法紋の開発をすることになった。


 ただ、シュレイノリアの魔法紋の設計は、夕方には終わっており、どちらかというと、ジューネスティーンのハード面の方が遅れていた。




 2人のパワードスーツに、兜で作った頭を取り付けることになった。


 錬成魔法を使って、首と肩を固定していく。


 固定が終わったところで、内側の角のバリを確認して、念入りに錬成魔法で取り除いていく。


 強度を確認して問題無さそうだと判断すると、それぞれに中に入ってもらう。




 動きの確認と、外を見るビュワーの確認、外の音の取り込みと、声を外に出すなどは、全てシュレイノリアの魔法紋によって術式がプログラミングされている。


 ただ、その辺りの魔法紋については、ジューネスティーンのパワードスーツを作る時に組み込んでいたので、確認して問題無い事をチェックするだけで終わる。


 その為、レィオーンパードのパワードスーツの確認は直ぐに終わった。




 後は、アリアリーシャのパワードスーツになるが、乗り込む際に髪の毛を頭の上の後頭部から下がるカードに付いているフックに引っ掛けるので揉めた。


 髪の毛が傷みそうだと言うことで、フックに引っ掛けるというアイデアは却下された。


 引っ掛けなければ、背骨を閉じた時に髪の毛が挟まってしまう方が、もっと髪の毛が痛むというと、アリアリーシャは涙目になってジューネスティーンを睨む。


「長い髪は、私の憧れなんです。 私の体の中で祐逸誇れる物なんです。」


 そう言って、ジューネスティーンに訴えた。


(いや、それ以外にも、アリーシャ姉さんには、誇れる胸があるだろう。)


 ジューネスティーンは、何か言いたそうにするが、諦めて対策を考える。




 困っていると、シュレイノリアが、アイデアをくれた。


「後ろの後頭部のカバーに重力魔法を使おう。 髪の毛を引っ張るだけなら、1Gもいらないはず。 後は、頭の蝶番の強度を持たせる様にすれば、髪の毛をカバーの内側に引くだけだ。 それに閉じてしまったら、魔法紋は、無効化すれば、影響は出ない。 パワードスーツから出る時は、髪の毛を持ち上げなくても問題ないだろう。」


 その話を聞いて、何となく納得した様な顔をジューネスティーンはする。


(だけど、万有引力に逆らう様に引力を作るわけだから、最低でも1Gは必要だよな。 そうなると、頭のガードの重さは、最低でも2倍から3倍と考えた方が良いのか。 蝶番の強度が重要になりそうだ。 いや、背骨が閉まった後に魔法紋を切ってから、頭のガードを閉じてもいいのか。)


 ただ、完全に納得した様でも無かった。


「シュレ、魔法紋は少し待ってほしい。 その前に強度をもう少し上げておきたいんだ。」


 そう言うと、頭の蝶番の部分の改良に入る。


 錬成魔法で、形を変形させて、蝶番の軸を太くするのと、開閉の為のシリンダーを強化する。


(髪の毛の為に、随分と大掛かりな仕掛けになってしまった。 これも仕方のないことなのかもしれない。)


 ジューネスティーンは、カミュルイアンとレィオーンパードを羨ましそうに見る。


 その視線に2人は気が付かずに自分達の世界に入っている様だ。




 魔法紋の設計を行ってもらう間にレィオーンパードの飾りを作ろうとしたが、デザインが決まってなかった。


 カミュルイアンの鳥をイメージして、鳥が羽ばたいているところを考えたのだが、それは、自分用なので使ってはダメとカミュルイアンに言われて、良い案が浮かばなかった様だ。


「デザインは、単純化すること、よりシンプルにするといいんだ。 見た物をそのまま描くのではなくて、その特徴だけを抽出して描くと、それっぽく見えるんだ。 鳥なら、胴体と翼だけでも、その特徴さえ掴んで描けば、鳥の様に見えるんだ。 魚だって一緒だよ。」


 そう言って、鳥の翼を胴体に付けただけのデザインと、魚の胴体と尾鰭だけのデザインを石板に描いてみせた。


「自分の好きな物をこうやって、単純化すると意外にカッコイイデザインになるかもしれないよ。」


 そう言うと、レィオーンパードは、また、石板を使って何かを描き出す。


 どうも、レィオーンパードは、ジューネスティーンの話で、何か思いついた様だった。


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