表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

836/1356

前衛の兜の購入


 今日は、兜を買うか、素材を買ってだったので、カインクムの店に行く事も考えたのだが、監視を連れてカインクムの店に行くのは最小限に留めるつもりでいるのだ。


 今回は、カインクムの店には行かず、別の店を回っている。


 ジューネスティーンは、カインクムの店へ、次に行くのは、残りの荷物が届いてからと考えているのだろう。




 そんな中、ジューネスティーンは、ルイネレーヌに一番最初に言われた言葉を思い出していた。


 実用的ではないと思っていたパワードスーツの顔なのだが、その事が気になっていたのだろう。


(今日の買い物のついでに、俺のパワードスーツの顔も何とかしておくか)


 今のところ、ジューネスティーンのパワードスーツの頭は、卵が乗っかっている様な感じになっている。


 その事を、ルイネレーヌに指摘されたのだ。


(確かに、肉食動物の目は鋭いし、向き合った時に威圧感があるな。 それに夜の猫の目かぁ。 確かに自分の方を向いた時に光って見えるのは、かっこいいし、知らずに見てしまったら、結構、焦ったりするから、ルイネレーヌの指摘は正しいのだろうな)


 そんな事を考えながら、歩いていると、ふと、2人の顔を見ると、少し沈んだ様な雰囲気があった。




 女性3人は、街歩きを楽しんでいるが、ジューネスティーンの両脇の、男子2人は少し落ち込んでいる。


 それが何なのか、気になったのだろう。


 ジューネスティーンは、その2人に聞いて見るのだった。


「珍しいな、2人とも。 今日は口数が少ないぞ」


 少し間を置いて、カミュルイアンが、答え始める。


「にいちゃん。 昨日の話は本当なんだよね」


 口数が少ないのは、昨日、ルイネレーヌが言っていた、奴隷のことだと分かったジューネスティーンが、少しは慰める必要が有るのかと思ったのだろう。


 2人の不安を和らげるような話をする。


「俺たちは、ギルドに登録されているから、奴隷商人に捕まったとしても、余程のことが無ければ、ギルドが助けてくれる。 帝国の奴隷商人も一応は商人だから、こうやって、昼間に大人数でいる所には、仕掛けてこないだろう。 問題になるのは、少人数になった時だと考えて良い。 昨日の話は、1人や少ない人数で行動するなと言うことだ」


「そうだよね」


 ジューネスティーンに言われて、男子2人は、少し気持ちが楽になった様に見える。


 だが、3人でお使いに行かせた時に、何か有ったらしい事は言わないでおく事にした。


「だから、今後は全員で行動する様にしような」


「うん」


 男子2人は、気を取り直した様に少し表情が明るくなった様に見える。


 シュレイノリアが、前で、女子3人で歩いているので、レィオーンパードにジューネスティーンは尋ねる。


「そういえば、宿の反対側にいた男は、まだ、ついて来てるか」


「うん。 ついて来てる」


 アリアリーシャには負けるが、レィオーンパードも耳が効く。


 ルイネレーヌに言われた、見られていい情報とそうで無い情報をうまく使い分ける。


 今日の買い物は、見られていい情報なのだ、それなら、色々な店を回って振り回すのも、嫌がらせになるかと思ったのだろう。


 レィオーンパードの話を聞くと、前の女性陣にジューネスティーンは声をかける。


「そこの装備屋に入ってみよう」


 そう言って、装備屋に入る。




 中に入ると商品は、それなりに揃っている事が分かった。


 レィオーンパードとアリアリーシャに合いそうな兜を探す様なつもりで、ブラブラとするだけだっがのだが、そうではなさそうだった。


 帝国は、人属優遇な為、亜人である2人に合う装備は少ないだろうと思っていたのだが、店員に聞いてみると、そうでも無い答えが返ってきた。


「この辺りは、ギルドが有るから、亜人属の装備も、ある程度は置いているよ。 まあ、帝国は人属以外の冒険者は少ないからな。 うちの店は、それなりに置く様にしているけど、旧市街は人属用の物しか置いてないな。 亜人属の装備なら、どの新市街の店も、うちと同じ位しか置いてないと思うよ。 気に入った物がうちの店で見つからなかったら、この新市街の防具屋で探すことをお勧めするよ」


 店員から、そう言われた。




 ジューネスティーンが店主と話していると、レィオーンパードとアリアリーシャが店の商品を物色していた。


 先に方向性が見えたのはレィオーンパードだった。


 兜を探していた、レィオーンパードが、一般的な西洋甲冑の兜ではなく、頭に被る東洋系の兜と、マスクが別々になっている物を見て、ジューネスティーンに伝える。


「オイラの耳は大きいから、兜も耳の形に合わせた三角型の突起を作ってくれれば、耳の前方は完全に開けるのでは無くてスリッドを付けてもらえれば大丈夫だと思う。 それと、このマスクは目のところが空いているけど、開け閉めできる様にしてもらえれば、戦闘中と移動中で使い分けるよ」


 そう言ってきたので、その案を採用する事にした。




 問題になったのは、アリアリーシャの耳についてだった。


 レィオーンパードは妥協したのだが、アリアリーシャは、どおしても自分の耳を使いたいとの事だった。


 レィオーンパードの様に、耳に合わせてとという話もしたのだが、アリアリーシャは、中々納得できない様だ。


「私の耳は、大きいし、動かしますぅ。 だから、耳はだしておきたいのですぅ」


 そう言われてジューネスティーンが困っていたところ、レィオーンパードが、提案してきた。


「戦闘中は、そんなに耳は立ててないだろう。 むしろ、後ろに下ろしているから、耳を立てるのは移動中になるんじゃ無いの。 だったら、戦闘中は兜の中にしまって、移動中は出せる様にしたらいいんじゃない」


 そう指摘されると、アリアリーシャも納得するが、レィオーンパードに指摘された事に引っかかる態度を僅かに見せる。


「それじゃあ、姉さんの兜は、戦闘中に畳んだ耳を覆う様にして、移動中は、外に出せる様に耳の部分を開け閉め出来る様にしようか」


 ジューネスティーンにそう言われて、アリアリーシャも渋々納得し頷く。


 兜の方向性も決まった。


 それで使えそうな物を探す。




 レィオーンパードは、その店にあった兜とマスクを使って要望に合わせて加工する事で決着した。


 しかし、アリアリーシャの要求に合わせた兜は見つからなかったので、別の店に探しに行く事にする。




 アリアリーシャの兜は、結局、3軒目の店で見つけた兜を加工する事で決着した。


 アリアリーシャもアンジュリーンと同様に、身につける物については、優柔不断なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ