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壊滅された奴隷商の話


 パワードスーツについての話は終わったので、ルイネレーヌは今日の本題に入る。


 ルイネレーヌは、ショックムン達によって、ファールイの実行部隊の壊滅作戦を行ったとこについての話をするつもりなのだ。


 監視役をどうにかするより、帝国の亜人奴隷が合法的に許されている状況にあり、ジューネスティーン達の様な新人冒険者は、格好の的となる。


 その始末を行うのもルイネレーヌ達の依頼の中に入っている。


 今日は狙われていた3人への実行部隊を葬って、なおかつ、帝国警ら隊を使ってファールイを潰している。


 だが、帝国に店を構える奴隷商は、ファールイだけでは無い。


 亜人とエルフがメンバーに居るので、その辺りの危機管理を植え付けておきたいのだろう。




 ルイネレーヌは、隣のテーブルの4人を見てから、ジューネスティーンに話をする。


「そちらの4人の方々になのですが、帝国は人属優遇の国でございます。 エルフ属や亜人属の方々には住みにくい国家でございます。 奴隷商人にもお気をつけください。 対外的にはあなた方は南の王国から来た新人の、Cランクパーティーですから、奴隷商人が狙っていてもおかしくはありません。 どの様な場所でも、お一人での行動はもちろんの事、2・3人の少人数での行動も謹んでいただきたく存じます」


 ジューネスティーンは、今度の話についても、同じ様な事を言われたと感じたのだろう。


 ルイネレーヌの思惑が気になっている様だ。


 僅かだが、ジューネスティーンの表情が強張った様に感じる。


(朝の、アリアリーシャが3人を送って行った時の事を言っているのか? それとも、3人を使いに送ったことなのか? どうも、何か思惑がありそうだけど、何が目的なのか、それとも、何かを伝えたいのか、いまいち掴みきれない)


 ジューネスティーンが、考えていると、その間にアンジュリーンはその事に気がつかなかったのか、過激な発言をしてしまう。


「ふん、そんな連中、私達なら返り討ちにしてくれるわ」


 それを聞いて、ジューネスティーンがアンジュリーンに釘を刺す。


「そういうことじゃない。 もし、そいつらがお前に返り討ちにされたらどうすると思う」


「そりゃあ、面子潰されたと思って、あっ」


 アンジュリーンは気がついたが、ジューネスティーンはそのまま続ける。


「そういうことだ、面子を潰された組織は仕返しに出る。 その繰り返しになった場合、俺たちはその組織を潰さなければならなくなる。 この国は、人種以外の奴隷が認められている国だから、奴隷商の中には、帝国の貴族と繋がっている可能性もある。 そういった連中との揉め事は、国を相手にする可能性も出てくるから、予め根回しを行ってからでないと本当に捕まってしまう。 これからは、気をつける事にする」


 ジューネスティーンも自分で話をしながら、何か思い当たったのだろう。


 最後の言葉は、ルイネレーヌに宛てて話していた。




 それを聞いていたレィオーンパードが、呑気に自分の義務について話だす


「それって、姉さん達が一番危険って事だよね。 俺達が姉さん達を守らなきゃってこと」


 呑気な話を言っていると、ルイネレーヌは感じたのだろう。


 レィオーンパード自身の事も分かってもらう必要が有ると判断したのだろう。


 すぐに、レィオーンパードに話し始めた。


「いえ、奴隷については、男の子も対象です。 若い奴隷なら、長く使う事ができますから、若い男性は奴隷として持て囃されます。 それと中には、男を犯す事に興味がある方もいらっしゃいます。 そういった方々からも、若い亜人は好まれますし、それにエルフ属の男性は、大変貴重ですから女性エルフの種付けとして軟禁にされる場合が多いですけど、上級貴族の後家様や、貴族のご婦人方の慰み者として、高額で取引される事もございます。 爵位を持つ貴族の中には、浮気される位なら、最初からペットとして充てがう貴族の方もいらっしゃいます。 奴隷紋を刻まれてない亜人種やエルフ種の方々は必ず狙われております」


 そう言われて、カミュルイアンとレィオーンパードの血の気が引いた。


 自分が奴隷として扱われる事を聞いて、生きた心地がしなかったのだろう。




「私共としても、そういった組織と相対するのは、予めの根回しを行う必要がありますので、そう何度も立て続けに対応するのは遠慮したいと考えております。 ですので、これからはいつも一緒に行動していただきたく存じます。 この新市街はそういった組織は、除外されて作られておりますが、関係者や準関係者、そういった情報を集めて売る人達が、居ない訳ではありませんので、呉々も、お気をつけください」


 言葉を失う4人を見てジューネスティーンは、何かが理解できたようだ。


 表情から硬さが抜けた様に感じる。


(そうか、今朝の3人の、お遣いの時に何かあったのか。 立て続けにと言った事から、ルイネレーヌさんと、奴隷商との間で、何かあったのだろう。 それも、今朝の3人のお使いの時に起こった可能性が高いな。 ああ、その作戦が成功したから、ご機嫌なんだろうな。 ルイネレーヌの依頼は、俺たちの護衛だが、その中に何かオプションが付いていても、おかしくは無い。 立て続けと言ったのなら、別の組織も壊滅を狙っているのか。 その準備期間も欲しいって事なんだろうな。 そう考えれば、ちゃんと、お礼をしておいた方が良いのか)


 ジューネスティーンは、ルイネレーヌが無償奉仕をする様に思えなかった。


 何か有ったとして、ジューネスティーンに何も要求が無いのは、上手くいって収入を得たのだろう。


 これはそのお礼なのかもしれないと、ジューネスティーンは考察する。


「そういった事も教えてくれて、ありがとうございます。 これからは、全員で行動する様にします」


「こちらこそ失礼いたしました。 お食事が不味くなってしまいました」


 そう言っていると、新しい別の料理が届いた。


 その後も食事は続いたが、4人には料理を楽しめる余裕は無かった。


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