ルイネレーヌの情報力
ジューネスティーンは、女子3人のぼやきに、若干、うんざりしながら、ルイネレーヌに対応する。
「今日は、どう言ったご用件ですか」
そんな、ジューネスティーンの思惑など、気にする事なく、ルイネレーヌは話をする。
「あなた方の装備について、新しい装備が手に入ったみたいでしたので、お祝いしようと思っただけです。 それと、全員分のものも近く揃うとのことでしたので、そちらについては前祝という事で、お誘いしました」
ジューネスティーンは、さっきギルドで聞いた内容をルイネレーヌが知っている事で、どこから情報を得たのかと考えているのだろう。
返事が遅れている事に気がついたアリアリーシャが、ジューネスティーンの代わりに、ルイネレーヌに答える。
「それは、ありがとうございますぅ」
お礼を言うアリアリーシャを見て、アンジュリーンは、ルイネレーヌの思惑について考えている様だ。
「でも、なんだか、貴女らしく無いわね」
アンジュリーンは、ルイネレーヌが、何でこんな態度を取るのか、気になっているようだ。
何時もなら、上から話をしてくるのだが、今日は、何処かの国のお姫様口調になっているので、その事の方が気になっている様だ。
「まぁ、私にだって、礼儀をわきまえる事もございます」
食事が運ばれてきた。
それぞれに同じものを個々に配膳されているので、コース料理なのだろう。
それなりに金額もはる。
料理が運ばれると、ルイネレーヌが、届いた料理を見て、ジューネスティーン達に食事を勧める。
「さあ、召し上がってください」
そう言われると、奥の男二人が慌てて料理に手をつけた。
カミュルイアンとレィオーンパードにしても、それなりの料理は食べているが、目の前に運ばれた料理については初めてだったのだろう。
見た感じ、そして、その料理から漂う匂い、明らかに美味そうなのだ。
途中で、魚を食べたと言っても、軽く塩を振って炙った程度の物だったのだが、それとは、比べ物にならない程、直ぐに食べたいと思ったのだろう。
男子2人は、ルイネレーヌの召し上がれと同時に食べ始めた。
そんな2人を目の前で見ているアンジュリーンが注意をする。
「慌てない。 もう少しゆっくり食べられないの」
注意したアンジュリーンに、ルイネレーヌは、抱擁感のある口調でアンジュリーンを抑える。
「育ち盛りの男の子達ですから、それ位じゃなければ強くなれないですわ。 遠慮なさらず食べてくださいね」
アンジュリーンを牽制するルイネレーヌが、余裕を見せつける。
ただ、ジューネスティーンは、ルイネレーヌの情報の出どころが気になったのだろう。
極秘で行っている話なのに、こうも早くルイネレーヌの耳に入った事が気になった様だ。
「それより、こちらの事も良くわかっている。 全部装備が揃うというのは、ついさっき連絡をもらったところなんですが」
「ええ、存じております。 それが私のお仕事ですから」
そう言って、余裕の笑顔を浮かべながら、ジューネスティーンを見る。
ジューネスティーンもルイネレーヌに手玉に取られそうな感じを、アンジュリーンは感じたのだろう。
通常なら、ジューネスティーンが聞くような事をアンジュリーンがルイネレーヌに尋ねる。
「それより、お祝いだけで呼んだわけではないのでしょう。 ご用件を伺いたいのですが」
「まぁ、せっかちですこと」
ルイネレーヌは、アンジュリーンの追及にも動じる気配が全く無い。
かなり、場慣れした態度を取っている。
ルイネレーヌは、間を置く。
表情には出てないが、何かを考えている様だが、その姿にも優雅さが漂っている。
「今日の狩は、見られる人も居なく、とても良い狩ができた様ですね」
そう言って、笑顔をむけた。
「今日の様に、移動の際に相手方から消えてしまうと、警戒される様になると思います。 あちらにもメンツというものがございます。 今の様な事が続くと、相手方も本気になりかねません。 ですので、程々になさらないと」
今日は、パワードスーツの調整も兼ねていたので、帝国の監視の眼を巻く必要があったのだ。
まだ、帝国側にパワードスーツを見せるつもりは無いのだから、今日の様な時は、完全に帝国軍の監視の目を掻い潜って、テストをする必要があったのだ。
ただ、今回の様に簡単に巻いていくと、相手も本気で監視の眼を強化して来るという事になる。
今程度の監視は簡単に巻けるからといって、あからさまに巻いてばかりいると、監視の眼が強化されてしまうので、今の監視でも問題無いだろうと想わせる必要が有るのだ。
監視の眼を本気にさせると、巻かなければならない時に、巻く事が出来なくなってしまうことになる。
そうなってしまうと、今回の様にパワードスーツの調整や、性能確認の様な、大事な時に監視を巻けなくなってしまう。
その辺りをルイネレーヌは危惧した様で有る。




