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アンジュリーンとカミュルイアンの見解


 湖畔にいるシュレイノリアは、両手を広げていたので、いつも着けているマントが、体を纏う様に、背中から前に靡いている。


 それは、シュレイノリアの背中の方から、風が流れているという事になる。




 アンジュリーンが、何やら考えていると、アリアリーシャが、つぶやく様に声に出した。


「今度は、あの変な球体が小さくなってきてますねぇ。 1番大きかった時はぁ、20メートル程度まで大きくなった様だったけどぉ」


「うん。 その位だったと思う。 遠近感がうまく掴めないけど、俺もその位は有ったと思うよ」


「でも、小さくなってきてぇ、さっきより、輪郭がはっきりしてきた様ですぅ」


 アリアリーシャの話を聞いて、アンジュリーンもカミュルイアンも、その方向を見つめる。


 今度は、2人とも、その空気の球体が、向こう側の景色が、歪んでいる輪郭が捉えられた様だ。


 2人とも焦点があった様に思える。


「なあ、アンジュ、オイラ、とても、嫌な予感がするんだけど」


 カミュルイアンが、不安そうにアンジュリーンに声をかけてきた。


 アリアリーシャと、一緒に湖面の方を見ていたレィオーンパードが、球体を見ていて気になった事を言う。


「何だか、あの球体なんだけど、上の方がユラユラ揺らめいている様な気がするんだ。 まるで、真夏の石畳の道路を見た時みたいに、空気が揺れている様な気がするんだ」


「まあ、空気が圧縮されたら、発熱するから、その熱が逃げているんじゃないの」


 レィオーンパードの疑問にアンジュリーンが答える。


「でも、なんで、小さくする必要があるんだろう?」


「それは、きっとぉ、湖の深さが、あの球体より浅いからでしょう」


 アリアリーシャが、シュレイノリアの話を思い出しつつ、湖の深さを考えて、答えてくれた。


「そう言えば、シュレは、湖の中でって言ってたから、それで、水深より小さくする必要が有ったのかもね」


 空気の球体を小さくする理由を聞いたレィオーンパードに、アリアリーシャとアンジュリーンが、自分達の考えを伝えたのだが、1人、カミュルイアンが別の疑問を聞いてきた。


「なあ、シュレったら、火魔法を使うんだよねぇ。 オイラ達の知らない火魔法だろうけど、何で、空気の球体が必要なの?」


 アンジュリーンは、ヤレヤレと思ったような顔で、カミュルイアンに答える。


「炎は、酸素がないと燃えないよ。 燃えるって、確か酸化することだったはずよ。 だから、空気中の酸素を集めたんじゃない。 空気中には、燃えない二酸化炭素とか、燃える水素とか色々混ざっているんだから、それを集めたんじゃないの? 炎の効率を上げるとかって感じで」


 そう言うと、カミュルイアンが、何か嫌な顔をすると、アンジュリーンに聞く。


「ねえ、アンジュ。 さっきの球体なんだけど、あの中の成分について、ちょっと思い当たるものが有るんだ」


 カミュルイアンの話を聞いた、アンジュリーンも、何かを思いついた様だ。


 その思い付いた内容から、アンジュリーンは、嫌な予感がした様子で、嫌そうな表情になった。


「へーっ、珍しいわね。 何なのよ」


 アンジュリーンの声は、少し震えていた。


 カミュルイアンは、馬車に隠れる様にしてから、アンジュリーンに向くと話出す。


「さっきの、空気の球体なんだけど、酸素1に対して、水素2の比率で、それだけを集めてたんじゃないのかなぁ」


(ちょっと、なんで、カミューも、私と同じ事を考えているのよ)


 その話を聞いてアンジュリーンも、ゾッとする顔をすると、馬車の後ろに隠れると、カミュルイアンの方にゆっくり向く。


「水素って、大気中にそれ程多くは無かったわね」


「そう、酸素より、水素は少ないし、それに水素は、酸素の2倍必要だよ」


 アンジュリーンと、カミュルイアンは、水素と酸素を燃焼させる時の様子を頭に思い浮かべた様だ。


 試験管程度の量なら、ポンと、一瞬で燃え尽きてしまうのだが、直径20メートルもの球体の水素と酸素が燃え上がるのか?


 燃えると言うよりは、爆発に近いはずではないかと思ったのだろう。


 2人はお互いを見る。


「いつものシュレの魔法と違って、発動までに時間が掛かっているってことは……」


「「水素を集めていたから」」


 2人は、直径20メートル程の球体が爆発した時に、どれだけの威力が有るのか?


 見合わせている顔には、その威力がどれだけのものなのかが気になり出したのだろう。


 だが、2人の顔には、どちらの顔にも不安が出ている。




 2人のエルフの不安を他所に、前にいる亜人2人は、興味深げにシュレイノリアの魔法を見ていると、シュレイノリアに動きがあったので、レィオーンパードが解説する様に声に出す。


「あっ、シュレがロットを下ろした」


「ねえ、湖面が凹んでますぅ」


 その2人の話を聞いて、アンジュリーンとカミュルイアンも、その方向を見ると、湖面が僅かに凹んでいた。


 そして、20メートル程有った球体は、5メートル程までに小さくなった空気の球体が、水面に沈んでいく。


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