反省会
レィオーンパードに向かった魔物を倒したのを確認したジューネスティーンは、更に向かって来る魔物の警戒に入るように確認する。
「アリーシャ姉さん。 他に魔物は? レオン! 目視確認して!」
聞き耳を立てて、周囲の警戒をしていたアリアリーシャが、周囲を確認して答えてくれた。
「もう、居ないみたいですぅ」
その答えに、一息付けると思ったのか、ジューネスティーンは構えていた剣を下げる。
「一応、警戒は怠らないでいて」
ジューネスティーンとアリアリーシャの側に近づいてきていた、レィオーンパードにジューネスティーンは指示を出す。
「魔物のコアの回収しておこう」
そう言うと、アリアリーシャにも腕で合図を送り、3人で魔物のコアを回収する。
「後の、3体同時は、ちょっと焦ったけど、無事で何より。 やっぱり、頭や顔が出ているのは、危険だし見ている方がきつい。 頭も完全に覆う様にするね」
「あの程度の魔物でも、不意を突かれたりとかで怪我されても困るわね。 ジュネスのパワードスーツは、完全防御だから安心して見ていられるけど、アリーシャとレオンは、見ていて少し怖かったわ」
アンジュリーンは、見ていて、もし、顔や頭を攻撃されたらと考えると怖さが有った様だ。
特に、首から下が防御が上がったので、生身の頭が逆に怖く感じたのだろう。
「治癒魔法は、戦闘中に使いたくないね」
戦闘の最中に治癒魔法を使う様な状態になるのは、非常に危険な状態となる。
6人のパーティーで、最低でも怪我をした1人と治療をする1人が、戦闘から抜けていることとなる。
単純計算で、33%の攻撃力のダウンとなる。
戦力が拮抗している時、今の様な数なら何とかなるかもしれないが、もっと後から続けて魔物が現れたら、戦力低下は非常に問題になる。
それなら、確実に弱点となりそうな部分は、対策しておきたいと考えるのは当たり前の事になる。
「あまり、顔は覆いたく無いんだけど。 にいちゃん」
「私も、聴力が落ちそうですのでぇ、このままの方が有難いのですがぁ」
今の状態のままで構わないと2人は思っているのだろう。
少し残念そうに話しているが、絶対に嫌とは言ってない。
そんな2人にアンジュリーンも話に入ってきた。
「でも、見ている方は、ちょっと怖いわ。 もし、覆われていない所に攻撃されたらって、さっき、3体の魔物が出てきた時、姉さんの顔に傷でも付いたらって思ったら、人の事でもねえ、やっぱり、顔も頭も完全に覆われているジューネスティーンのパワードスーツの方が安心して見てられるわ」
アンジュリーンが感想を言う。
「そういう事なので、ちょっと、修正させてくれ。 姉さんの耳は出し入れできる様に考えるから、そうさせてくれ」
ジューネスティーンの考えをアンジュリーンも賛同いてくれたので、2人のパワードスーツにヘルメットを付けることに意見がまとまりそうだと、少し安心すると、アリアリーシャとレィオーンパードは、残念そうにする。
「仕方が無いですぅねぇ」
「それじゃあ、俺のは目が開け閉めできる様にしてね。 にいちゃん」
「あぁ、そうするよ。 それよりパワードスーツの使い心地はどうだった」
二人に使い勝手を確認する。
今後、これ以上の魔物と対戦する事になるので、不安要素は徹底して排除しておきたいと考えているのだろう。
サンプル評価の様な感じで2人に話を聞いている。
「やっぱり、可動域が狭くなった分、若干違和感が有るけど、特に問題は無いかな。 直ぐに慣れると思うよ。 にいちゃん」
「膝の可動域が、もう少し欲しいですぅ。 しゃがみ込むのに辛いですぅ。 でも、ボードに乗っての攻撃なら、問題無いかと思いますぅ。 慣れれば、大丈夫ですぅ」
「そうそう、ホバーボードのバランスの取り方は少し変わったけど、パワードスーツの重量とかで若干変わった様な感じだけど、修正可能な範囲だから特に問題無いかな。 加速は少し落ちた。 でも、パワードスーツのバーニアを一緒に使えば何とかなると思う。 後で、試してみる」
「まぁ、軽い素材で作ったと言っても今迄より重くなっているから、上手く使っていく様にして。道具には長所と短所があるから、上手く付き合っていく事を考えてくれ。 それと可動域は、もう少し広げられないか考えておく。 でも、正座とかあぐらはダメだからな」
流石に外部骨格では限界がある。
人間の動きに完全に付いていくには、膝の裏側、腰の可動域と大きな課題が有る。
しかし、戦闘における動きには、胡座や正座は不要なので、歩く走る時に必要な可動域を重視して作っている。
「分かっているよ。 にいちゃん」
「じゃあ、今日のところはこんなところかな」
そう言って2人のパワードスーツの改良点を聞いていると、背後からジューネスティーンのパワードスーツの肩を叩く音がする。
何かと思って、後ろに振り返ると、そこにはシュレイノリアが不服そうな顔でジューネスティーンのパワードスーツの顔を見ている。




