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不意打ち


 最初に気付いたのは、アンジュリーンだった。


 先頭を走る魔物に対して、牽制のための矢を射ると、その後を追う形でカミュルイアンが次の魔物に矢を射った。


 焦って射ったせいか、魔物には、あたらなかったが、牽制にはなった。


 先頭の魔物が回避行動を取ってくれたのだ。


 その魔物の前をアリアリーシャが抜けたので、魔物は、矢を射ったアンジュリーン達ではなく、アリアリーシャを追い始めた。


 そのため、魔物は、アリアリーシャを2体が追い、レィオーンパードを1体が追い始めた。


 魔物3体とレィオーンパードとアリアリーシャでは、2対3と部が悪いとジューネスティーンは判断したのだろう。


 自分のパワードスーツに左手を添えて、背中を開くと3人に伝える。


「こっちも出る」


 ジューネスティーンがそう言って、パワードスーツに入ると、直ぐに背中のジョイントを締める。


 空気の流れる様な音がして、両腕から足までを覆うようにして立ててあった盾が、腕の中心に移動する。


 盾の位置が、戦闘時の定位置に戻ると、馬車の周りから移動して、ありアリーシャとレィオーンパードの加勢に入る。


 動き出しつつ、前衛の2人に指示を出す。


「レィオーンパードは、時間稼ぎ。 姉さんの1体を受け持つから、姉さんも残りの魔物の時間稼ぎして」


 そう言って、2体に追い掛けられるアリアリーシャの方にジューネスティーンは向かう。


 レィオーンパードは馬車の周りを回りだし、アンジュリーンとカミュルイアンが弓矢で攻撃するが、魔物のスピードが早すぎて当たらない。


 それを見て、アンジュリーンがカミュルイアンに、指示を出す。


「全方位警戒になるわ。 2人で半分ずつ受け持つわよ。 こっちの方向は、あんたが受け持って、向かって来た時に矢で倒して。 反対側は私が受け持つから。 この周りを回っている時は、当たらないけど、こっちに向かったなら当たる確率は上がるわ。 それまでは矢は射らないで! 向かって来た時だけ攻撃して!」


 そう言うと、カミュルイアンが返事をする前に、アンジュリーンは馬車の反対側に移動する。


 馬車の左右に2人が展開する事で、死角を無くし、馬車に向かって来た時にはいつでも対応する様に配置する事にするのだ。


 また、向かって来た時だけ攻撃する様に指示したのは、横に走っている魔物に矢を射っても、横への移動速度と、弓矢の到達時間から計算して、魔物の何m先を狙う必要が有る。


 その際には大凡の計算が必要になるが、速度が速くなればなる程、命中精度は悪くなる。


 感を頼りにどの辺りに的をイメージするにしても、何も無い魔物の手前を狙うのは難しいものがある。


 しかし、自分に向かってくる場合なら、的は左右に動くにしても、その動きは、大きくは無いので、的中率は、横に向かって走るものより、向かってくるものに的を絞った方が、的中率は格段に上がる。


 ただ、それは、確実に矢で倒そうと思う必要は無い。

 自分が倒す必要は今は無く、全員で1匹の魔物を倒すのだ。




 ジューネスティーンが、前衛の戦闘に参加した事によって、3体の魔物を各個撃破する為の時間稼ぎをすれば良いので、レィオーンパードと連携して、ジューネスティーンとアリアリーシャが2体の魔物を倒すのを待てば良い。


 レィオーンパードも、馬車の周りを回り始めたのは、馬車の側に居る仲間と連携をするつもりで、あわよくば自分に向かっている1体を弓で倒せればと、思っていたが、魔物の足が速いので、そう簡単にはいかないと判断すると、言われた通りの時間稼ぎに入る。


 レィオーンパードは魔物が自分を追いかけるのをやめて馬車の方に向かわない様にスピードを調整して魔物と一定の距離を保ちながら回っている。


 一方、アリアリーシャはレィオーンパードから離れるのだが、湖に向かってしまった為、方向を変えざるをえない。


 その方向転換に、アリアリーシャに向かったうちの1体は、後を追いかけて、もう1体の魔物がアリアリーシャに回り込もうとしている。


 その回り込もうとした1体に、横から向かっていくジューネスティーンが、右の盾を魔物の脇腹から突き上げる様に入れると、魔物は2m程跳ね上がって地面に落ちる。


 何事かと驚いて顔を上げる魔物に、ジューネスティーンは、腰につけた太刀を横一線に斬る。


 魔物の首が飛ぶのを確認しながら、アリアリーシャを追いかける魔物に向かう。


 魔物の背後から、首目掛けて太刀を振るい、首を斬り落とす。


「次、行くぞ」


 そうアリアリーシャに声を掛けると、レィオーンパードを追いかける魔物に向かう。




 レィオーンパードは、アンジュリーンとカミュルイアンの弓で仕留めようと考えていたが、上手くいかなかったので、馬車の周りを回るのをやめて、いったん、馬車から距離を取る様にした。


 横に走る物より、向かって来るものを狙う様にした方が、弓矢を当てる可能性が上がると判断した。


 ジューネスティーンとアリアリーシャとは反対の方向に一旦向かうと、魔物も追って来る。


 もう少し速度が上がれば届きそうという距離を保ちながら遠ざかり、大きな円を描きながら、馬車の方向に向かう。


 前を見ると、アンジュリーンが弓矢に魔法を付与しているのが分かった。


 詠唱が終わって弓の弦をいっぱいに引いているのが見えた瞬間に一気にスピードを上げて、魔物との距離を開きながら少し左に向かう。


 アンジュリーンの射線をあけると、弓がいられる。


 魔物は、レィオーンパードの動きに釣られたので、アンジュリーンの弓矢への対応が遅れた。


 その為、魔物は、胸に弓矢を受けてしまった。


 弓矢が当たると付与された火魔法によって、全身に炎が上がる。


 魔物は自分に纏わり付く炎によって、速度が一気に落ちて倒れる。


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