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奴隷商ファールイの実行部隊の襲撃

 

 フゥォンカイが監視をする様になって、ジューネスティーン達に初めて別行動が有った。


 エルフの男女と人属の女が、3人で宿を出た時の事だ。


 人属の女は魔法職だろうと考えてはいるが、服装が魔法職とは着ている物が少し違う事から、魔法も使える何か別の職業なのだろうと考えられていた。


 また、今までの狩を見てもそれ程の装備を持っているとは思えなかったので、ファールイの亜人攫いの実行部隊とすれば、簡単な仕事だと思ったのだろう。




 3人が金糸雀亭を出ると、早速、ファールイの監視に動きが有った。


 監視役から伝令が、ファールイと実行部隊に連絡を入れるために通りを走る。


 3人がギルドに入るとしばらくして、ファールイの実行部隊の馬車が、大急ぎでギルドの表の馬車置き場に停車する。


 実行部隊は、作戦も決まっているのだろう。


 かなり迅速な動きだった。




 一方、ファールイの動きを察知したルイネレーヌは、4人をファールイの実行部隊の壊滅に動かしている。


 ルイネレーヌのメンバーのショクムンは、ギルドと道を挟んだ向かいの建物の脇に移動していた。


 3人の仲間が実行部隊の馬車を監視していると、ルイネレーヌに報告に行ったフォルツエも戻ってきた。


 その時に一緒に装備も持ってきてもらえたので、全員に装備を渡す。


「ひめ様の指示は、次の通りだ。 実行部隊を骨抜きにして、奴隷商に送りつけろ! その際に伝言を忘れるな!」


 フォルツエ・モラク・バインカインは、ルイネレーヌの命令を報告をする。


 その話を聞いたショクムンは、馬車の中を掃討して御者に伝言を頼めば良いと考える。


「では、フォルツエとウィリオーミは馬車の中の掃討をしてくれ。 掃討の方法はそれぞれに任せる。 ジルバサルはバックアップだ。 歩道の反対側のドアから入る事になるから、2人が入りやすい様にしてくれ。 それと、襲撃は対象を捕まえようとする直前に行う。 奴らが対象を捉えようとする直前に乗り込んで掃討する。 俺は、御者を制しているので、馬車の中の掃討が終わったら合図をくれ。 御者に伝言を伝える。 対象を捉えようとする直前なら、自分達の襲撃に対する警戒が落ちる。 その瞬間を狙う。 それと、ギルドの門をでたら、ジルバサルは全員に認識阻害の魔法を頼む」


 作戦を伝えると全員が納得したと頷く。


 ショクムンは、作戦は決まると、自分は顔に仮面を付けるとポンチョを纏ってフードを被る。


 実行は、アンジュリーン達を捉える寸前を狙うのだ。




 ギルドの表の庭は馬車置き場にも使えるようになっており、大型の馬車も入る事が可能になっている。


 そこにファールイの4頭立ての高速馬車が入った。


 ファールイの作戦が開始したのだ。


 ギルドの用事が済んで、シュレイノリア、アンジュリーン、カミュルイアンの3人がギルドの建物から出て、ファールイの馬車の前を通り過ぎると、御者が馬車に乗り込む。


 ゆっくりと馬車を進ませ、大回りして、アンジュリーン達3人がギルドの門をくぐるのを待つ。


 3人が門を出てどっちに向かうかを確認すると、馬車を早めて門を出た3人を追いかける。


 流石にギルドの敷地内で攫うことはしなかった。




 ファールイの実行部隊は、ギルドの外に出た3人の後を追いかけ、横に付けたら、馬車の中から人が出て薬を嗅がせて、3人を一度に攫う手筈になっているのだ。


 通常なら、1人か2人の時を狙うのだが、今回は、女子が2人という事で、ターゲットが3人でも、強行に出たのだろう。


 馬車は、人の歩く速さより僅かに速い速さで、3人に後ろから迫る。


 馬が2頭ずつ二列に並んで付けられている4頭立ての馬車なので、逃走にもスピードを出す事が可能だ。


 2頭目の馬の位置に対象が来た時に、馬車から飛び出して、後ろから襲う予定なので、息を殺して3人との距離を伺っている。




 後少し、対象の3人が先頭の馬に差し掛かり、馬車の中で出るタイミングを測っていた時、馬車に異変が起きたのだ。


 御者の左横に男が1人座ると、御者の男の脇に短剣を突き当てて命令する。


「死にたくなければ、そのまま進め!」


 そう言われて、脇腹を見ると、短剣を肋骨の下から斜めに突き当てられていた。


 そのまま力を入れられたら短剣は自分の心臓に達すると分かると、御者は言われた通りにすると頷いた。


 御者は、その男の姿を確認しようとするが、大きなポンチョのフードを被り、中には顔を完全に覆う仮面をつけて、確認が取れなかったのだが、声から男だと判断できただろう。


 すると、馬車が左右に揺れるのだが、男の剣は脇に添えられたまま、いつでも刺す事が出来る様なっていた。


 御者は、3人の横を通過する直前に馬車が揺れたのを感じるのだが、右側のドアが開いた様子も、仲間が外に出た形跡も無かったので、誘拐に失敗したと判断すると、馬車の中で何か不測の事態が起こったと悟る。




 一方、馬車の中では、ファールイの実行部隊が、窓のカーテンの隙間から男達が外を確認している。


 エルフの男女と人属の女を攫うため、ドアのそばに来た瞬間に、一気に3人で馬車を出て、ターゲットの3人に、薬を嗅がせて眠らせ、馬車の中に押し込む手筈になっている。


 通常なら3対3の状況では行わないのだが、相手は子供3人で、そのうち2人が女だ。


 しかも、Cランクは人属の女で残りのエルフは、Dランクと駆け出しが2人もいるなら、いつもの簡単な誘拐なので実行に移したのだ。


 監視役がタイミングを計り、その合図と共にドアを開けて飛び出し、薬の染み込ませた布を3人の口に押し当てる。


 薬の染み込んだ布は、それぞれが手に持っている皮袋の中にしまっているので、今の自分達には影響が無い。


 対象に薬を嗅がせる前に自分達に影響が出ない様に、皮袋の中に入れて、口を閉める様に握っている。


 飛び出した瞬間に、袋の中の布を持って、対象の口と鼻に当てれば、一瞬で、意識を失ってしまうのだ。


 ぐったりしたところを3人で馬車の中に押しこんで撤収する。


 いつものパターンなのだ。


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