ルイネレーヌと奴隷商達
ルイネレーヌは、ジューネスティーン達の行動の監視をしている。
そして、ギルドとジュエルイアンからの依頼で、彼らの護衛をする事となっている。
特に大陸中で、祐逸、亜人奴隷を認めている大ツ・バール帝国なので、奴隷商がジューネスティーンのメンバーを狙う事が考えられることから、帝国内で奴隷商の横槍が気になるとのことで、不用意に近づく輩の排除を依頼されている。
そのため報酬は、受け手側が有利な事になっていたこともあるが、通常の報酬よりも高いことと、それと、ジューネスティーン達が使っていたホバーボードを開発者からもぎ取った件について、正式にギルドから渡された物としてくれた。
金額や報酬の内容から、南の王国のギルド支部からの依頼ではなく、ギルド本部からの依頼だとルイネレーヌは考えている。
また、オプションとして、奴隷商の解体も依頼の中に入っており、必要経費はギルドが持つ事になっており、更にはオプション達成の際の報酬も高額だった。
ルイネレーヌは快楽を好むが、今は、メンバー達だけにとどめているが、必要ならば、その性癖を使って交渉する事もある。
ルイネレーヌは、帝国に入ると、直ぐに、奴隷商との繋がりが噂されているソツ・キンクン・コルモン伯爵に接触している。
ソツ伯爵コルモンは、国務大臣で帝国内の警務担当なのだが、奴隷商との繋がりによって、その地位を得たと黒い噂がある。
ルイネレーヌは、独自の情報ルートを持っており、その繋がりによって、各国の情報を得ているので、敵対勢力からも情報を得る事がある。
ソツ伯爵コルモンの情報は、間接的にもたらされた情報ではあるが、出所は、帝国軍情報部の兎機関からもたらされた事は掴んでいる。
帝国内部でもソツ伯爵コルモンを疎ましく思っている勢力、兎機関からもたらされた事から、皇帝か皇族、政治中枢部でも、ソツ伯爵コルモンと奴隷商との繋がりを掴んでいることとなる。
ルイネレーヌは、帝都に入るとその足でソツ伯爵コルモンを籠絡している。
国務大臣であるソツ伯爵コルモンであれば、一介の冒険者であるルイネレーヌが接触できる訳がない。
その際にソツ伯爵コルモンとの接触出来る様に仲介をしたのは、兎機関とその出先機関だった事を、別のルートから確認している。
その事から、大ツ・バール帝国としても、奴隷商の排除を狙って密かに動き出している事が分かる。
ルイネレーヌは、兎機関に恩を売るために、ソツ伯爵コルモンの籠絡を行うことを約束すると、帝都に入ってその日のうちに行動を起こしていた。
次は、ソツ伯爵コルモンと繋がりのある奴隷商の排除となる。
それは、直ぐに訪れる事となった。
ルイネレーヌ達は、いつもの様にジューネスティーン達の動向を確認する為、朝から金糸雀亭の入口の横にある食堂で朝食を取りつつ、動きを調べている。
外での動きについては、ギルドの情報部が行なっているので、基本的にルイネレーヌ達の行う事は、金糸雀亭内の護衛となる。
また、ジューネスティーン達が動いた後は、自分達は、奴隷商の動向を探っていた。
比較的、ジューネスティーン達は、金糸雀亭の中では、一つの部屋に居るので、比較的楽な仕事になっている。
夜は交代で監視をする程度で済んでいるので、残りのメンバーに自分の欲望を満たさせることが出来ている。
ルイネレーヌの朝は、昨夜の出来事を思い出しながら、朝食を取りつつ、ジューネスティーン達が金糸雀亭を出て活動するのを待つだけとなる。
今朝は、ジューネスティーン達に動きがあり、シュレイノリア、アンジュリーン、アリアリーシャの女子3人とカミュルイアンのエルフが部屋を出てロビーを抜ける。
別れての行動となると、別のところからアクションが起こる可能性が高いと判断したのだろう。
直ぐに2人を残して、4人に指示を出す。
ルイネレーヌは、アリアリーシャが3人が外へ出たのを確認して戻るので、ナギシアンとマルギーブを残して残りの4人にジューネスティーン達の残り3人を追跡させるが、それは、自分達の目的を達成させる為であって、3人はその餌となる。
だが、餌に食い付かせる様なヘマはしない。
オプションを実行するためのチャンスが到来したのだ。
ルイネレーヌは、嬉しくなりナギシアンとマルギーブの腕を抱えて部屋に戻るのだが、その際にアリアリーシャと目が合った。
オプションの実行で、かなりの稼ぎになると思ったらアリアリーシャと目が合っても笑いが止まらなかった。
ルイネレーヌはメンバーから「ひめ様」と呼ばれている。
理由は、一番古いナギシアンがそう呼ぶので、全員がそう呼ぶ様になった。
だが、ナギシアンが、何で「ひめ様」と呼ぶかは誰も知らないし、知る必要も無い。
ジューネスティーン達のパーティーが、帝都に入ると直ぐに彼らを監視する組織が付いた。
帝国軍の他に、帝国を拠点にしている奴隷商も監視をしている事を捉えているルイネレーヌなので、別れて行動しているジューネスティーン達のメンバーを捉えるために奴隷商が動く可能性が高いと考える。
誘拐には、ターゲットの人数が少ない方が都合が良い。
自分なら、これをチャンスと思うので、奴隷商達が動く可能性が高い。
ルイネレーヌはメンバーに行動に入る様に指示を出したのだ。
ルイネレーヌのメンバーであり、ナギシアンの居ない時の指示役である、ショクムン・スリム・レイレールは考えてる。
(ひめ様からの指示は、動いた方の奴隷商を潰せだ。 それなら、帝国軍の監視は無視して良い。 奴隷商の監視は2組となる。 奴隷商のカイケン・インセイ・フゥォンカイとレミン・インファ・ファールイだ)
フゥォンカイは、堅実な中堅の奴隷商だが、情報を良く利用し、堅実な仕事をする男だが、ファールイは、自分の美貌と女の武器を利用して、帝国貴族であるソツ伯爵コルモンに取り入り、お互いを利用してソツ伯爵コルモンは国務大臣となり、ファールイは、奴隷商の中では大きな権力を有する様になった。
その2人がジューネスティーン達を監視している。
ただ、それも直ぐに動きが有った。
ルイネレーヌ達が、帝都に入って、最初に動いたのは、奴隷商のフゥォンカイだった。
ルイネレーヌが帝都に入った後、直ぐに自分達に目を光らせたが、ジューネスティーン達が帝都に入ると直ぐにターゲットを変えていたのだ。
その後、奴隷商のファールイの手の者も、ジューネスティーン達の監視に入ったのだが、直ぐに動きが出た。
フゥォンカイとファールイを含めた奴隷商の会談があり、その後、フゥォンカイの監視が緩くなった。
後からの情報では、先に目をつけたフゥォンカイに、ファールイが奴隷商の重鎮達を利用して、フゥォンカイに圧力を掛けたと報告を受けているのだ。
その結果、フゥォンカイは、ファールイに優先権を譲ったのだ。
ただ、出席者の面々は、全てファールイと夜の関係を結んでいる重鎮達だけだった事から、完全にファールイの思惑通りに話が進んだとの事だった。




