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気配


 ジューネスティーンは、アリアリーシャとレィオーンパードに、周辺を探ってもらいながら、アリアリーシャに対するルイネレーヌの態度のことを考えていた。


 ルイネレーヌは、自分たちの近くにいつも居る事から、周辺の警戒を行ってもらっている。


 自分達の依頼では無いのに、こうやって、近くに居るのは、ギルドか、ジュエルイアンから、依頼されていると考えられるのだ。


 それぞれの監視について、ジューネスティーンは、考えをまとめていた。


(それと、金の帽子亭の監視は、帝国軍の情報部か、それに属する人だろうけど、左右の監視は、なんなんだ? あ、この前のルイネレーヌさんの話か。 でも、2箇所から監視する必要があるのか? この場合は、別の組織と考えるのが妥当なのかな。 とりあえず、帝国軍の監視は動いてない。 今回は、左右の監視がどう動くのかになるのか?)


 ジューネスティーンは、少し難しい顔をする。


 自分達に3箇所から監視を受けている事を考えているのだろう。


(ルイネレーヌさんは、3人で、アリーシャ姐さんに見せつける様に腕を組んで歩いていた。 今まで、そんな態度を金糸雀亭では見てない。 そんな態度を取る理由? 3人? 残りの4人? ルイネレーヌさん、何か行動を起こしているのかもしれない)


 そんな事を考えていると、レィオーンパードが、外を走る馬車をみて声を上げる。


「にいちゃん、4頭立ての馬車だよ。 でも、馬は力強そうだけど、馬車は普通だ」


「なんだろう。 貴族の馬車とは違うね。 華美な作りじゃない。 馬の数に対して、馬車が小さいね。 何だか、高速馬車って感じだ」


「ふーん」


 こんな街中では珍しい、高速馬車が金糸雀亭の前を通りすぎていく。


「まあ、監視のチェックは、その位でいいだろう。 じゃあ、パワードスーツの確認をしておこう。 今日が二人のパワードスーツデビューだからな。 問題無い様にチェックしておいて」


 そう言うと、二人は、パワードスーツのチェックに入る。




 チェックが済んで、くつろいでいると、部屋のドアが開いた。


 ギルドに行っていた3人が戻ってきた。


「ただいま」


「お帰り。 ロビーで誰かに会ったか?」


 帰ってきた3人とも、特に誰にも会ってないと言う。


(ルイネレーヌさんは、3人達には気配を悟らせない様にしていたのか)


「そうか。 ギルドはどうだった」


「ええ、湖の湖畔に爬虫類型の魔物が現れているみたいなの。 それ程強くは無いので、テストにはちょうど良いと思ったから、引き受けてきた」


「ありがとう。 丁度良い、じゃあ、直ぐに出よう。 パワードスーツは収納してくれ。 それと2人はインナースーツに着替えてもらうから、2人のインナースーツを出してくれ」


 シュレイノリアがパワードスーツを収納すると、新たに収納魔法から衣類を出す。


「2人ともそれに着替えて」


 そう言うと自分もインナースーツを持って着替えに行く。


 すると、シュレイノリアが、ジューネスティーンに話をしてくる。


「帰りに大きな馬車を見た。 4頭立ての高速馬車だった」


「ふーん。 その馬車がどうかしたのか?」


「いや、魔法の気配を感じたので、気になった。 ただ、攻撃系では無いので、無視した。 その時、横をその馬車が通った。 でもそのまま、通り過ぎて行った。 それで、少し気になっただけ」


「ああ、その馬車だけど、俺も見た。 街中だと、あんな高速馬車は必要無いと思ったから、てっきり南門に向かったと思っていたよ。 だけど、帰りにシュレも見たのか。 街中なら、一頭立てで構わないだろうに、不思議なこともあるもんだな」


 それだけ言うとシュレイノリアは、パワードスーツを収納魔法の中に収納する。


「それより、今回は、帝国の監視を、まく事になる」


「任せとけ。 うちの地竜は足が速い。 誰も追いつく事はない」


「そうか」


「ああ、それと、何か魔法の通信はなかったか?」


「無かった」


「そうか」


 そんな話をしていると、2人が戻ってきた。


 戻ってくると、アリアリーシャが少し恥ずかしそうにしているのと、体に密着しているインナースーツと胸のベストに腰のミニスカートだけと、レィオーンパードもスカートとホットパンツの違いがあるにせよ、その辺を歩いていると目立つ出立ちなのだと思う。


 普通の冒険者の格好をしているアンジュリーンとカミュルイアンが、この3人の姿を見て微妙な面持ちでいる。


 その表情を見て、


「この上に何か着た方が良さそうだな」


 そう言って、その上に今着ていた服を着ることにした。


 3人が元着ていた上着をつけると全員で部屋を出て車庫に向かう。


 車庫に行って、自分たちの馬車を出し、厩舎から地竜を連れてくる。


 シュレイノリアが、


「馬車にも、この前の魔法紋を描いた。 今日のこの子は一味違う走りを見せてくれる」


「あまり、スピードは出さないでね」


 ジューネスティーンの言葉に、4人は、ちょっと不安になる。


 馬車を取り付けて、表門から堂々とでる。


 向かいの監視役は慌てて、金の帽子亭の裏に行くのが見えた。


 自分達が馬車を使うとは思ってなかったのだろう。


 ジューネスティーン達の馬車は、通りを普通に抜け、西門を抜けると、最高速度で走らせる。


 馬車を引いているとはいえ、重力魔法によって重さが掛からない様にしているので、地竜のスピードは明らかに速い。


 監視役は、馬に乗って、ジューネスティーン達の馬車を追いかけてくるが、人を1人乗せただけでも馬には負担はある。


 しかし、ジューネスティーン達の馬車は、シュレイノリアの魔法紋で、重さが掛からない馬車となっている。


 地竜は、馬車を引くが、全く重さを感じる事はない。


 監視役も必死で追いかけているのだろうが、1人を乗せた馬車と、何も乗ってない状態の地竜では、同じ速度でも疲れ方が全く違う。


 最高速度は明らかに違う。


 無理をして、馬を走らせれば、馬のスタミナ切れが早くなるだけだ。


 直ぐに差は広がってしまう。


 そして、馬は、走れなくなってしまう。




 かなり引き離した時にシュレイノリアが、


「向こうの動きが止まった。 恐らく馬のスタミナ切れだと思う」


 サーチ魔法による、魔素を検知する方法なら遠くの状況も分かる。


 それを聞いて進路を変更すると西の森林地帯に向かった。


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