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新たな監視者


 シュレイノリアがパワードスーツを出してくれた事で、レィオーンパードがソワソワし始めた。


 レィオーンパードは自分のパワードスーツに近寄ると、背中に手を添えようとしていた。


 その行動をみたジューネスティーンは、注意を与える。


「武器や装備の確認だけだ。 お前はスーツに乗るんじゃ無い」


 そう言うと、仕方無さそうに背中に魔力を流すのを止める。


「それと、まずは、あの監視役の動きの監視だ。 姉さんも優秀だが、それよりレオン、今回はお前の目が重要なんだよ。 窓から監視役の確認をしておいてくれ」


「分かったよ、にいちゃん」


 そう言って、窓際に行く。


「それと、姉さんは、3人を玄関まで送ってから、部屋に戻ってきてくれ、この金糸雀亭の中にも監視が入り込んで居ないとも限らないから、念のためだ」


「わかりましたぁ」


「じゃあ、よろしく頼む」


 そう言うっと、4人は部屋を出て行く。


 窓からレィオーンパードが向かいの宿屋を確認すると、今日も金の帽子亭の入り口付近にあるラウンジに座って、金糸雀亭の玄関を気にしている。


 手筈通りに玄関を出る3人を見ると監視役は、3人を見ただけでそのままラウンジに座っている。


「にいちゃん、あの人は動く気配は無いよ」


 そう言われて、ジューネスティーンも確認したが、やはり、監視役の動きは無い。


「うーん、監視は動かないか。 すまないが、周りも確認しておいてくれ」


「分かった。 にいちゃん」


 そう言って、周辺の監視を始めるレィオーンパード。


 ジューネスティーンは、3体のパワードスーツの確認を行う。


 ジューネスティーンのスーツは防御中心にできており、3体の中では重量感のある感じに出来ているが、レィオーンパードとアリアリーシャに関しては軽装で機動力を重視している為、見た目の重量感は無いが、腰・肩には姿勢制御用バーニアを使うので、それなりに大きくはなっているが、二の腕や腹、太ももには最小限の装備になっている。


 また、武器については、可能な限り生身の時と同じ位置に装備させているので、腰に剣を装備している。


 背中には肩甲骨付近に左右それぞれに1箇所、補助機能用のアタッチメントが有るが、今は何も付けてない。


 前衛役の二人は、ホバーボードを使用するので、そのアタッチメント一つはボードを使わない時に使う事にしている。


 攻撃中はホバーボードに乗って動き回るので、通常の攻撃時はそのアタッチメントは空けてあるが、パワードスーツを装着して徒歩での移動の際には、アタッチメントに取り付けて、両手を自由に使える様に配慮されている。




 ジューネスティーンの装備の確認をしていると、入口のドアが開いて、勢い良く閉める音がした。


 眉を釣り上げて、アリアリーシャが戻ってくる。


「キーッ、あの女に会ってしまいましたぁ。 あの女達もこの宿屋に宿泊してますから、仕方が無いのでしょうけどぉ」


 その様子から、ルイネレーヌに会ったのだと分かったジューネスティーンは、それにしてはありアリーシャの様子がおかしいと感じているのだろう。


 不思議そうな顔でアリアリーシャを見ている。


「ロビーで目があってしまいましたぁ」


 ルイネレーヌとしては、アリアリーシャが一人になることを嫌った為、3人と別れた後の護衛だったのだろうが、嫌いな女と一緒になった事が気に入らなかったみたいだ。


「しかも、男二人と腕を組んで、勝ち誇った様に、鼻にかけながらこっちを伺ってたのよ。 あぁ、腹が立つ」


 悔しそうに言うアリアリーシャにジューネスティーンは、納得した様な顔をするのだが、直ぐに何か気になったのか、考える様な顔をする。


(その男2人は、ルイネレーヌのメンバーだと思うが、ルイネレーヌのメンバーは全部で7人なのに、なんで3人だったんだろう。 いつも一緒にいるのに、残りの4人のメンバー達はどうしたんだろう。 何かの作戦なのかもしれない。)


 ジューネスティーンは、少し考えていたが、直ぐにアリアリーシャに指示を出す。


「その話は置いといて、周辺の監視をお願いできませんか。 アリーシャ姉さん」


「分かっているわよ」


 アリアリーシャは不機嫌そうに答えると、窓際に移動して周辺の監視に入る。


 すると、レィオーンパードが、ジューネスティーンを呼ぶ。


「にいちゃん、正面の宿屋にはそれらしい人は居ないけど、左隣の宿屋にこっちを監視している部屋がある。 カーテンや内装品で隠しているから、普通の人には見分け難いけど、僕には見分けられるよ。 姉さん、そっちも、窓際に色々物が置いてある部屋を確認していってね」


「分かっているわよぉ」


 まだ、ルイネレーヌと顔を合わせた事で苛立っているアリアリーシャも真剣に確認している。


 アリアリーシャは不機嫌でも、する事はしてくれる。


 レィオーンパードほどでは無いが、アリアリーシャも目が良い。


 周辺の確認をしていると、直ぐに気になる部屋を発見する。


「あ、きになる部屋、発見。 レオン、ちょっと確認して、金の帽子亭の右側の建物の3階、一番左の窓、確認してみて、なんか変」


 そう言うと、レィオーンパードがその部屋を確認する。


「あぁ、居るね。 こっちを確認しているみたい」


「分かった。 2箇所から確認しているのか。 それ以外にはどうだ」


「こっちを監視しているのは、その2箇所だけだね」


「それと、宿屋の中には、それらしい連中は、居ないとみて良いだろう」


 金の帽子亭の両隣に一組ずつの監視がついている。


 どの組織なのかは分からないが、監視されている事がわかった。


 また、もし宿屋の客の中にそれらしき人間が居たら気がつくはずなので、それなりに配置はしているはずだ。


 ジューネスティーンは、その情報から何かを考えている様だ。


(アリーシャ姉さんの言っていた、ルイネレーヌの態度は何だった? 宿屋内に監視者が居た場合、3人と分かれたアリーシャ姉さんを狙うのか? 一人になったアリーシャ姉さんを狙ったとして、成功した場合、どうなる? 急いで、逃げる? いや、直ぐには出れないだろうな、周りの目も有るから、自分達の泊まっている部屋に連れ込んで、人の少なくなった時間を見計らって、脱出する事になるのか。 だけど、ルイネレーヌさんに、アリーシャ姉さんは見られている。 なら、今回は金糸雀亭内での襲撃は行えなかったとみて良いだろう。 それに、ルイネレーヌさんは、俺達の監視兼護衛の訳だから、あの状況でアリーシャ姉さんが狙われる事は無かったのか。 それに、ジュエルイアンさんの息の掛かった場所では、襲撃側は、部屋を取れない可能性も有るのかな。)


 ジューネスティーンは、考えつつ、アリアリーシャとレィオーンパードから、次の情報があるか待っている。


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