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アンジュリーンのアイデア


 シェルリーンが1人だけ凹んでいるのだが、その理由をシェルリーンだけが分からずにいた。


 すると、シェルリーンにヴィラレットが寄ってきた。


「シェルねえ、ジュネスさん達は、ルーミラの荷物の整理をするんですよ。」


 それを聞いて、シェルリーンは、ハッとして、ヴィラレットを見た。


 そして申し訳なさそうな表情をすると、カミュルイアンを見た。


 シェルリーンは、自分の欲望のみを満たそうと考えていた事を恥じたようだ。


「ごめんなさい、カミュルイアン様。 今日は、メンバーの皆様とお過ごしください。」


 シェルリーンは、小さな声でカミュルイアンに語りかけていたが、その声は、隣に居たヴィラレットにしか聞こえていなかった。


 そんなシェルリーンをヴィラレットは、ホッとして見た。


(よかった。 シェルねえ、ちゃんと理解してくれたわ。)


 そんなシェルリーンをヴィラレット以外のメンバーは、冷ややかな目で見ていた。




 コアをギルドに預けると、ジューネスティーン達は、金糸雀亭に戻る事になった。


 ユーリカリアは、気を利かせたのか、ギルドを出ると、メンバー達と一緒に南門に消えていった。


 ユーリカリア達は、昨日と同じように、帝都の南側で時間を潰すつもりでいたようだ。


 そんな中、ジューネスティーン達は、金糸雀亭に戻っていった。


 カウンターに行くと、ルイセルが迎えてくれた。


「お帰りなさい。 今日は、早いんですね。」


 ルイセルは、いつも通りの対応をしてくれたので、ジューネスティーン達は、少し気持ちが楽になったようだ。


「ああ、アメルーミラの部屋の中ですけど、荷物とか整理しておこうと思って。」


「そうですね。 そうしてもらえると助かります。」


 そう言って、カウンタの中から、アメルーミラが使った部屋の鍵と、自分達が使っている部屋の鍵を出してくれた。


 それをジューネスティーンが代表して受け取ると、全員でアメルーミラの部屋に向かった。


 鍵を開けて中に入ると、そこは、ベットが一つと小さな机があるだけだった。


 そして、壁に据え付けられている金具に服が掛けられており、机の脇には、いつも使っていた手作りの杖と、机の上には、ジューネスティーンが渡した短剣が置いてあった。


 ベットも、すぐに使えるように、枕の脇にパジャマも準備もされており、その部屋は、いつでも戻って寝る準備ができていた。


 部屋の様子を見ると、寝る前に、本当に、ちょっと、外に出て帰ってくるつもりでいたようだ。


「本当に、ちょっと出てから戻ってくるつもりだったみたいね。」


 アンジュリーンが、その部屋を見て感想を述べた。


「ねえ、これだと、荷物を送るにしても荷造りもできないわ。 それに、アメルーミラは、冒険者として生きていくとなったら、この辺は、持ち歩く事になるわ。」


 アンジュリーンの言葉にジューネスティーンも納得したようだ。


「そうだね。 荷造り用の木箱でも用意しないといけないな。 うん、だったら、ルイセルさんに聞いて、余っている木箱を分けてもらおうか。」


 それを聞いて、アンジュリーンが、ムッとしたような表情をする。


「それじゃあ、可愛くない。 せっかく、アメルーミラに送る事ができる可能性ができたのだから、アメルーミラが喜びそうな感じにしてから送りたいじゃない。」


 アンジュリーンに言われて、その通りかもしれないなと、男子達は思ったようだが、アリアリーシャは、微妙な表情をし、シュレイノリアは、我関せずといった表情で室内を物色していた。


 そして、アンジュリーンは、自分の思惑通りになったと異碗ばかりに、ニヤリとした。


「だから、それを入れるバックを買いに行くのよ。 アメルーミラが、これから冒険者として活動するなら、移動することもあるのだから、その時の事も考えてあげる事が、私達には必要だと思わない。」


 アンジュリーンは、悦にいった様子で話し始めた。


「アメルーミラは、冒険者になって、私達は、それを助けるために冒険者として生きる術を教えてあげたのだから、独り立ちするアメルーミラに、プレゼントをしてあげてもいいでしょ。」


 男子達は、アンジュリーンの言葉に納得した表情をするのだが、アリアリーシャが、ジト目でアンジュリーンを見ていた。


「さあ、アメルーミラの荷物を送るために、バックを買いに行きましょう。 それ以外にも冒険者として1人になったら必要なものがあるでしょ。 私達からだと思ったら、アメルーミラも、きっと喜ぶと思うわ。」


 アンジュリーンは、ワクワクしているようだ。


 そして、男子達は、アンジュリーンの言葉に納得したようだった。


「まったくもう。 アンジュは、買い物に行きたいだけでしょ。 それを納得できるような話にしただけなのに、それをまともに受けて納得するなんて、本当に、チョロいんだから。」


 ムッとした様子で、アリアリーシャが言うと、アンジュリーンは、図星を突かれた様子で、シマッタといった表情をしていた。


 男子達は、アリアリーシャの言葉を聞いて、アンジュリーンの本音が知れると、ちょっと、やるせない表情をした。


 帝都では、1人で無闇に歩き回るわけにはいかないので、アンジュリーンは、1人で買い物に出ることもできずにいたので、この機会に買い物に出たいと思ったようだ。


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