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ヲルンジョン少尉の偽装工作


 ヲルンジョン少尉は、目の前に、アメルーミラが、血だらけで倒れているのを見た。


 そして、ヲンムン軍曹に、自分が殺したと言われた。


 だが、意識が朦朧としており、何がどうなっているのか、理解できずにいたのだ。


 アメルミーラに飲まされた睡眠薬によって、眠ってしまったのだが、普通に目が覚めるまで起きずにいたら、頭の回転も良かったのだろうが、ヲンムン軍曹によって、目覚めさせるための気付け薬のようなものを使われ、無理矢理起こされてしまったので、薬の影響と、それまでに飲んでいた酒による酔いのせいで、まともな判断は、できていないようだ。


 ヲルンジョン少尉は、ヲンムン軍曹に言われるがまま、自分んが殺したであろう、アメルーミラを見ると、血だらけになって倒れている姿と、下着を剥ぎ取られて、スカートを捲り上げたままになっている姿を見たら、それは、強姦殺人現場にしか見えなかったようだ。


 そして、ヲンムン軍曹の言葉の誘導によって、自分が殺したと錯覚をし始めていた。


「お、おい、軍曹。 お、俺は、どうしたらいい。」


 その一言を聞いて、ヲンムン軍曹は、一瞬、ヲルンジョン少尉を見つつ、口の端が、僅かに上がったのだが、その様子は、ヲルンジョン少尉には、気付かれていないようだった。


 ヲルンジョン少尉は、自分の手に付着している血のりと、血のりで真っ赤に染まっているアメルーミラを、交互に見つつ、自分の身分を維持するための方策を考えていたのだろうが、ヲンムン軍曹に見られてしまった以上、このまま、この場を立ち去ることもできないのだ。


「ヲルンジョン少尉、私が、知っている掃除屋を使いますので、アメルーミラの死体は、明日には、消えてなくなるようにします。 今なら、少尉が、アメルーミラを殺したのを知っているのは、私だけですから、私が、ヲルンジョン少尉と口裏を合わせておけば、それで、何も無かったになります。 奴隷が1人消えてしまっただけです。」


 その一言に、ヲルンジョン少尉は、落ち着きを取り戻したようだ。


 すぐそばに、自分を擁護する部下が居て、その部下が、この肢体を


「あ、ああ、そ、そうだな。 そ、そうなる。 この場は、ヲンムン軍曹に任せる。 後で、掛かった費用は、俺に言ってくれ。」


 そう言うと、ヲルンジョン少尉は、立ち上がって、塀の方に立ち去ろうとした。


「少尉、お待ちください。」


 立ち去ろうとする、ヲルンジョン少尉を、ヲンムン軍曹は、引き止めた。


 ヲルンジョン少尉としたら、今すぐ、この殺人現場から逃げたいと思ったようだ。


「その格好で、何処にいく予定ですか? 」


「決まっているだろう、家に帰るんだ! 」


 ヲンムン軍曹は、にやりとした。


「それで、その手の血をどうするつもりですか? 少尉の家は、この第9区画にあるのですか? 」


 ヲンムン軍曹に指摘されて、ヲルンジョン少尉は自分の手を見た。


 その手は、真っ赤に染まっていた。


 この時間に別の区画に入るには、門を通過する必要がある。


 第9区画からヲルンジョン少尉の住む、第2区画に入るには、西側の第5区画を通って、第2区画へ入るか、帝都の南門から、皇城まで続く大通り沿いにある第2区画の南門を通過する必要がある。


 ヲルンジョン少尉は、爵位の無い貴族なのだが、家には、財産も乏しく、領地も持っていないので、皇城内の貴族が住む区画に、家を持つことができなかった。


 いずれにせよ、門を抜ける際、時間が時間なので、門番に取り次が必要となる。


 ヲルンジョン少尉は、帝国軍情報部という肩書きがあるので、簡単に通過できるが、手に付いた血を見られたら、止められ、事情聴取されることになる。


 ヲルンジョン少尉としたら、殺人事件に発展しているこの現状を、知られるのは、不味いのだが、ヲンムン軍曹としたら、手に付いた血を調べられたら、それは血のりだと門番に知られてしまい、その結果をヲルンジョン少尉が知って、実は、アメルーミラは、死んでいないことに気がつかれてしまう。


 そうなってしまうとヲンムン軍曹の思惑も変わってくる。


 そんな、それぞれの思惑から、ヲルンジョン少尉の手についた血のりは、拭い去る必要がある。


「少尉、こちらへ来てください。」


 ヲンムン軍曹は、ヲルンジョン少尉を南側の堀の方に導いた。


 堀の前に2人が立つと、そこには、堀から水を取り入れるため、堀の脇に、水場が用意されていた。


 そこに、ヲルンジョン少尉を導いた。


「ここの水場で、その血を洗い流してください。 それと、服も濡らしておいた方がいいですよ。 服に返り血がついているでしょうけど、濡れていたら、酔って、堀に落ちたと言い訳ができるでしょうから、それなら、門番も直ぐに通してくれるはずです。」


「おお、そうだな。」


 ヲルンジョン少尉は、言われるがまま、その水場で手を洗ってから、そのまま、水場に入って、体に水をかけ始めた。


 流石に、手を洗った場所は、水が赤く染まっているので、その位置を避けるように、奥の方に入っていった。


 水の深さは、膝下までだったので、そのまま、水の中を歩き、染まってない部分に移動していった。


 ただ、堀の水は、北の川から敷いているので、第9区画の南側も水の流れが有る。


 水場は、水の入り口と出口が付いているので、時間が経てば水場の水も入れ替わるので、少し待てば、水も赤くなくなるのだが、そんな時間も、ヲルンジョン少尉には、もどかしかったようだ。


 水場の奥に入って行き、体に足元の水をかけ始めていたと思うと、尻餅を付いてしまっていた。


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