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ヲンムン軍曹に魔法が使える事を隠すアメルーミラ


 ジューネスティーン達は、ギルドにツノネズミリスのコアを小分けに届けつつ、空いた時間は、ユーリカリア達と、帝都の南門の西側に移動して、魔法の訓練をしていた。


 ユーリカリア達は、魔力量の増加、魔法と魔法の間隔を早める事も、ツカラ平原での訓練でできるようになていたので、新たに覚えられる攻撃用の魔法を、新たに覚えていた。


 アメルーミラは、スリングショットを中心に必要な魔法を覚えるようにしていたので、周りと比べると、明らかに地味な感じが伺えた。


 弓は、弓矢を用意する必要があるが、スリングショットは、最悪、落ちている石でも武器にできるので、手軽に対処できること、そして、アメルーミラが最初に使った武器だった事もあり、愛着を持っているようだ。


 そのため、アメルーミラは、錬成魔法で弾丸となる石を生成することと、発射した弾丸を操る付与魔法を中心に覚えるようにしていた。


 それは、もし、ヲンムン軍曹に見られたとしても、魔法の訓練をしているとは思わせない為である。


 ヲンムン軍曹は、ジューネスティーン達の監視を行なっているので、すぐ横に寄ってくることはない。


 遠巻きに監視をするので、手元で魔法を使っているだけなら、見破られるとは思えない。


 そう考えると、アメルーミラは、自分の自由の為に、ヲンムン軍曹に自分が魔法を使えるということを知られたくはないのだ。


 ヲンムン軍曹が、自分の奴隷が魔法を使えるとなったら、どう考えるか?


 魔法が使える奴隷など、聞いたことが、アメルーミラには無かった。


 それは、あったとしても、かなりのレアケースになるので、その際の取引価格については、計り知れないものがあるのだ。


 一般に魔法が使える人は、大半が、軍関係に入るか、冒険者になるものもいるが、圧倒的に軍に入る人の方が多い。


 時々、どんなに練習しても、他の魔法が覚えられないということで、放出される人もいるが、それも、レアケースである。


 ただ、アメルーミラの魔法は、無詠唱魔法となったら、奴隷のアメルーミラが、無詠唱魔法を使えると分った時、ヲンムン軍曹が、その有用性を無視するとは思えないのだ。


 その事もあり、アメルーミラは、周囲が派手な魔法を使うようにしていたが、自分だけは、スリングショットのための魔法を練習するようにしていた。




 始めてジューネスティーン達と出会って、メンバーに入るための試験を行ってもらった時に、使う石について、形が揃っていないことが、途中で曲がってしまう。


 その原因が、使う石の重心や表面の状況によって変わるというので、それについて自分なりに、研究を重ねていた。


 アメルーミラは、スリングショット用の弾丸を、錬成魔法で加工して、長距離の攻撃を可能にする方法を考えていた。


 そのため、弾丸を作るために錬成魔法を覚えて、地面の土を利用した弾丸を作り、長距離でも、確実に狙撃できるように考えていた。


 そして、付与魔法により、弾丸の加速と、命中率を上げるため、自分の意志で弾丸の方向を変える事を覚えるようにしていた。


 それなら、弾丸を作る時、地面にしゃがんで錬成魔法を使ったとしても、遠目に見たら、地面の石を拾っているのだろう程度にしか見られない。


 そして、弾丸を軽く曲げる程度であれば、見られたとしても魔法を使ったとは思われないだろうと、考えていたようだ。


 ヲンムン軍曹は、ギルドにツノネズミリスのコアを届け始めて、数日後から、ジューネスティーン達の監視を始めていた。


 それまで、夜は、アメルーミラに話を聞くことはあったが、昼間は、顔を見せていなかったのだが、コアの提出が終わる頃になって、ようやく、昼間の監視を行うようになった。


 アメルーミラとしたら、本来は、火魔法や風魔法のような攻撃的な魔法を覚えたいと思っていたのだが、ヲンムン軍曹に自分が、魔法を使えるという事実を知られたくないと考えたのだ。


 そのため、自分なりに考えて、魔法をカモフラージュするために、錬成魔法と付与魔法を中心に覚えるようにしたのだ。


 ツノネズミリスの討伐の際にも、アメルーミラは、補給要員として、魔法を使うこともなく、食事の世話をしていたこともあり、ヲンムン軍曹に対して、良いカモフラージュになっていた。


 そして、ヲンムン軍曹もアメルーミラの魔法には気がついている様子は無かったのだ。


 ただ、ヲンムン軍曹が、アメルーミラに、魔法が使えるかと、聞いてきたら、奴隷の身分であるアメルーミラは、それに贖うことはできないので、魔法が使えるようになったと話すしかない。


 しかし、ヲンムン軍曹が、アメルーミラの魔法に気がついた様子は無かったので、アメルーミラは、自分が魔法を使えるということを、自らヲンムン軍曹に伝えるようなことはしていない。


 万一、アメルーミラが、魔法を使えることをヲンムン軍曹に知られてしまったら、魔法を使える貴重な奴隷という立場になってしまう。


 そうなったら、ヲンムン軍曹は、このジューネスティーン達の潜入が終わった後に、自分を解放してくれる可能性が低いと、アメルーミラは、考えたのだ。


 ヲンムン軍曹は、この潜入が終わったあと、解放しても良いと言った事を、アメルーミラは、期待している。


 その為にも、潜入の任務が終わるまで、アメルーミラは、自分が、魔法を使える事をヲンムン軍曹に知られたくないと思っていたのだ。


 その事もあり、アメルーミラは、派手な魔法を覚えるのを控えて、錬成魔法と付与魔法を覚える事にしていた。


 魔法を教えてくれていたレィオーンパードは、そんな、アメルーミラの話を聞いて、最初は、不思議そうに思ったようだが、アメルーミラに言われるがまま、錬成魔法と付与魔法を中心に教えていた。


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