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メイカリア中佐とヲルンジョン少尉 5


 ヲルンジョン少尉は、話の流れから、メイカリア中佐の情報源の上司の調査を名乗り出たが、実際に自分が動くとなったら、面倒な事だと、行った後に思ったようだが、メイカリア中佐が、その必要は無いと言ったので、ホッとしていた。


 ヲルンジョン少尉は、常に、資料室で、睡眠を貪り、就業時間が終わると、そそくさと、退勤して、また、飲み歩き、娼館に足を運ぶ毎日なのだ。


 余計な仕事を引き受けたら、その夜の楽しみができなくなってしまうのだ。


「ところで、ヲルンジョン少尉、資料室の整理は、どうなっているのかな。 資料室は、整理した後、鍵を掛けて、誰も入らないようにしていたはずだ。 その資料室の整理とは、どう言う事なのだか、説明してもらえないだろうか。」


 ヲルンジョン少尉は、ギョッとした。


 酔いを覚ますためと、夜の遊びのために昼間は、睡眠をとっていたのだ。


 鍵の管理はヲルンジョン少尉が行なっているので、内側から鍵をかけてしまったら、誰も入ることができないので、ヲルンジョン少尉にとって、都合が良かったのだ。


 資料室は、鍵をかけて入らないようにしているので、一度整理してしまえば、そう、頻繁に整理をする必要は無い。


 しかし、ヲルンジョン少尉は、資料室の整理をしていると言うのだ。


 メイカリア中佐も知らない資料室の整理を、ヲルンジョン少尉が行う必要性が無いのだ。


「そんなに、数日かけて、整理をする必要が、今の資料室には無いと、私は、考えていたのだ。 何故、資料室の整理が必要になったのか、経緯を話してもらえないだろうか? 」


 それを聞いて、ヲルンジョン少尉は、顔から血の気が引いたようだ。


「は、はい、・・・。 も、もっと、場所を整理して、・・・。 そ、そうです、分類を、考えたら、もっと、取り出しやすいと、思ったので、変更を、・・・、行って、い、ま、す。」


 ヲルンジョン少尉の言い訳を、メイカリア中佐は、瞬きもせずに聞いていたので、ヲルンジョン少尉は、そのプレッシャーに耐えきれなくなっていたようだ。


「そうか。 それは、大変だな。 だったら、人を用意してあげよう。」


 その提案を聞いて、ヲルンジョン少尉は、慌てた。


 資料室で、ただ、寝ているだけのヲルンジョン少尉は、資料室の整理など、全くしていないのだ。


 むしろ、資料を雑に扱っているので、逆に見られたら困るのだ。


「あ、いえ、人を、使う程では、ありません。 私1人で、対応します。」


 ヲルンジョン少尉は、答えるが、言葉尻は、声が小さくなっていた。


 その提案を受け入れたら、資料室に自分の寝るために用意した、資料を重ねたベットもあり、とても、人には見せられないようになっていた。


 中を見たら、資料の整理をしているとは、誰もが思わないことは、ヲルンジョン少尉にも理解できているので、焦っているようだ。


「どうした。 では、早速、別部署から人を用意させようか。」


 ヲルンジョン少尉は、更に焦ったようだ。


「い、いえ、そのような、・・・。 あ、そうです。 このような事に、中佐の、お手を煩わせる、わけにはいきま、せん。 わ、私、1人で、十分、です。」


 ヲルンジョン少尉は、しどろもどろになっていたのを、メイカリア中佐は、わずかに笑みを浮かべ、面白そうにヲルンジョン少尉を見ている。


 ここまでくると、ヲルンジョン少尉の愚かさに、うんざりするどころか、逆に、どんな事を言い訳するのか楽しみになったようだ。


 圧倒的優位に立つメイカリア中佐ならではの楽しみ方である。


 そして、ヲルンジョン少尉は、あたふたしたまま、どうしようかと思っているようだ。


 だが、これ以上、痛ぶるのは、止した方が良いと思ったようだ。


「まあ、いい。 資料室の話は、少尉に任せよう。 だが、その前に、自分の机は、整理しておけ。 机の上は、貴様の頭の中と一緒だ。 整理整頓するから、探し物をする必要がなくなる。 探す時間は、無駄な時間だ。 探さずに手に取れるようにしておけ。 今日中に! 」


 ヲルンジョン少尉は、安心したようだ。


 メイカリア中佐は、暗に今日は、資料室に行くなと伝えたのだ。


 机の上だけの整理でも、かなりの時間がかかりそうで、丸一日かかるだろうとは思ったようだが、メイカリア中佐は、それだけで終わらすつもりは無かったようだ。


「後、机の上だけじゃなく、引き出しも綺麗にしておくように。」


 ヲルンジョン少尉は、その程度のことで済んだので、ほっとしたようだ。


 メイカリア中佐は、それだけ言うと、合同執務室を出て行こうとした。


 そして、扉に手を当てると、振り返った。


「ああ、ヲンムン軍曹からの報告は、私が直接聞いている。 ジューネスティーン達は、ツノネズミリスのコアを数回に分けて、届けているから、数日は、帝都の南門の前で、魔法の練習がてら、魔物を倒しているそうだ。 ツカラ平原の魔法訓練の話も、帰りのゲートでの盗賊団の逮捕についても、報告は受けた。 後は、必要なら、少尉もヲンムン軍曹から確認しておくように。」


 そう言うと、扉を開けて、メイカリア中佐は、合同執務室を出て行った。


 その姿をヲルンジョン少尉は、唖然とした表情で見送っていた。


 メイカリア中佐と、合同執務室を使っているヲルンジョン少尉以外は、事の真相を理解していた。


 ヲルンジョン少尉の、唖然とした表情には、メイカリア中佐の言った言葉の意味が、完全には理解できていそうもなかった。


 ヲルンジョン少尉は、自分の机に行くと、机の上を見た。


 そこには、産卵した資料が山積みになっていた。


 整理整頓の作業にかかる時間を考えると、ヲルンジョン少尉は、嫌そうな表情をする。


 ヲルンジョン少尉には、こまめに整理整頓する事が煩わしく思っていた事が、祟っている。


 何かを使うたびに、使い終わったら、元に戻す事ができていれば、大掃除のような整理整頓にはならないのだが、ヲルンジョン少尉には、分からないようだ。


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