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アメルーミラの報告


 アメルーミラは、1階に降りると、カウンターの従業員を呼ぶ呼び鈴を鳴らした。


 呼び鈴の音を聞いて、金糸雀亭の従業員である、ウサギの亜人のアズミーシャが、奥から出てきた。


「こんばんは、アメルーミラさん。 夕涼みですか? 」


 アメルーミラは、夜になると、時々、外で夕涼みをするために外に出る事があるので、アズミーシャもそのことを弁えているので、顔を見るなり、アメルーミラに聞いた。


「ええ、少し、寝付けないので、少し、外の空気を吸ってきます。」


 そういいいながら、部屋の鍵をカウンターの上に置いた。


「そうですか。 それでは、いつものようにお願いしますね。」


 アズミーシャは、鍵を受け取りつつ答えた。


 それに対して、アメルーミラは、笑顔で答えるのだが、その笑顔には、わずかに翳りがあった。




 金糸雀亭の外に出ると、ヲンムン軍曹が待っていたのだが、いつものように、扉のすぐ脇ではなく、少し離れたところにいた。


 アメルーミラは、ヲンムン軍曹の方に歩くと、ヲンムン軍曹も歩き出し、金糸雀亭の脇に移動して行ったので、アメルーミラは、ヲンムン軍曹の後を追っていく。


 2人は、金糸雀亭の脇に消えた。


 アメルーミラが、追いつくと、ヲンムン軍曹は、いつもの高圧的な態度ではなく、なんだかバツの悪そうな表情をしていた。


 アメルーミラは、そんなヲンムン軍曹を見て、次の言葉を待っていた。


「あー、ツノネズミリスの討伐は、ご苦労だった。」


 アメルーミラは、驚いた。


 ヲンムン軍曹が、ねぎらいの言葉を聞くとは思っていなかったのだ。


「それで、俺が見れなかった時の様子を聞かせてほしい。」


「はい・・・。」


 アメルーミラは、ヲンムン軍曹の対応が、旅の前後で、大きな違いがあることに驚いたようだ。


「ん? どうした? 」


「あ、ええ、そうですね。 ジュネスさんとユーリカリアさん達は、帝都を出て、三日目には、訓練のための場所に移動しました。」


「ああ、ツカラ平原のことだな。 そうだ、あそこには、サーベルタイガーの魔物が出るはずだったが、それも倒したそうじゃないか。」


「ええ、最初の野営をした日の夜に現れました。 でも、全員で退治しました。」


 ヲンムン軍曹は、情報の通りだと思ったようだ。


「その時の話を詳しく教えてくれないか。」


 ヲンムン軍曹が、聞くと、アメルーミラは、その時の様子を話し始めた。




 シュレイノリアのラクビーボール型のアイスランスが、高速で放たれて、サーベルタイガーの頭を粉砕したこと、そして、ジューネスティーン、レィオンパードとアリアリーシャが、それぞれのパワードスーツで接近戦をした事を伝えた。


 シュレイノリアの魔法によって、3匹が倒され、パワードスーツによって、2匹が倒された。


 ただ、最初の1匹は、魔法だけで倒せたが、魔法による攻撃で倒せたのは、全員の連携によって倒せたのだ。


 その時の話を伝えた。


(なるほど、あのフルメタルアーマーを、あいつらは、パワードスーツと呼んでいるのか。 フルメタルアーマーは、パーツ毎に体の部位に取り付けていくから、取り付けるのに時間が掛かるが、最初から、体と同じように組み立てられたところに入るだけなら簡単に入れるから、直ぐに行動に移れるのか。)


 ヲンムンは、自分の見たことと含めてアメルーミラの話を考察しているのだった。


(後、あの地面を滑るように走る板は、ホバーボードと言うのか。 それに、板を使うパワードスーツと、パワードスーツに取り付けられているものの2種類が有るのか。 用途に応じて、色々、形が変わってたりするってことなのか。 ・・・。 要するに、前衛の盾役と後衛の魔法職とで、装備が違うように用途に応じて変化させているってことなんだな。)


 ヲンムン軍曹は、自分の見たものとアメルーミラの説明をつなぎ合わせていくことで、自分の中でパワードスーツについて、どんどん、話がつながっていくのだった。


(サーベルタイガーの夜襲には、3人分のパワードスーツで対応したが、一発の氷だけで、サーベルタイガーの頭を粉砕する魔法か。 この魔法も奴らのオリジナルなんだろうな。 アメルーミラの手の仕草で、大きさは、分かったが、そんな氷の塊で、よく、サーベルタイガーなんて魔物の頭を粉砕できたな。)


 一般的なアイスランスによる攻撃なら、氷塊の動きは目で追える。


 反応が早ければ、見極められて、避けられてしまうので、それを補うために、複数個の氷塊を同時に叩き込むことで、避けても、どれか一つが当たれば良いという考えで放つものなのだ。


 だが、シュレイノリアのアイスランスは、単発であり、簡単に避けられるようなものではなさそうだった。


(おかしい。 もっと、情報をまとめる必要があるのか。 単体のアイスランスなんて、避けたら終わりだぞ。 それが、避けられないで、最初のサーベルタイガーの頭を粉砕したという事は、・・・。 発射速度が、早いということなのか。)


 ヲンムン軍曹は、悩むような表情をしていた。


(アイスランスは、氷の形成をして、それを打ち出す。 それに、2回目の発射の時、サーベルタイガーは、魔法紋を見て、回避行動に移ったから、2回目のアイスランスは、当たらなかった。 魔法紋を見た瞬間に動き出した。 ・・・。 それは、その状態じゃなければ、回避できないからってことだよな。)


 ヲンムン軍曹は、アメルーミラの説明を聞いて、徐々に、どんな事が起こっているのか、見えつつあったようだ。


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