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ジューネスティーン達の魔法がもたらすもの


 周りは、メイカリア中佐の、ヲンムンを労う、その意外な対応に、少し驚いたようだが、メイカリア中佐には、ここで、原因追求する必要も無いと判断したのだ。


 その原因というのは、横で悔しそうな顔をしているヲルンジョン少尉のことであり、下級管理職としての責務を果たしてないことを、この会議の中でも感じ取っていたようだ。


(だが、そうは言っても、魔法が使えない人が、魔法を使えるようになるというのは、面白いな。 ・・・。 もし、その方法を帝国軍全員に教えたら、魔法は、軍の全員が使えることになる。 魔導士部隊として、独立した部隊にするのではなく、歩兵だろうが、騎兵であろうが、全員が魔法を使えるなら、帝国軍の戦力の大幅アップにつながるのか。)


 メイカリア中佐は、何か考えていたようだ。


(だが、メリットだけじゃないな。 今は、魔法職として魔導士団があるが、広く魔法が、使えるようになった場合、犯罪者にも魔法が一般的なものになってしまったら、魔法を使った犯罪も増えるということか。 今は、魔法を使える者は、どこも国が管理して、魔法士の管理がされている。 ほとんどが、軍関係の仕事か、魔法道具を作る魔導士、それと冒険者で、大半を占める。 まあ、中には大した才能でもないし、簡単な魔法しか使えそうもないとなって、一般人として生きているものもいるのか。)


 そんなメイカリア中佐を、周りが、気にするように視線を送った。


 それに気が付いたメイカリア中佐は、ハッとなると、慌てたようだった。


「おっ、そ、そうだ。 ヲンムン軍曹に聞きたいのだが、ツノネズミリスの討伐時のユーリカリア達の魔法なのだが、その南の山脈の麓での魔法と比べたら、どんな違いが有ったか、説明できるか? 」


 ヲンムンは、困ったような表情をした。


「比較ですか? ・・・。 そう言われても、桁違いに違うとしか言いようがないですね。 規模も回数も、あの時とは、比較できないというより、初心者と、大ベテランほどの違いというか、赤ん坊と達人の格闘技のようなというか、・・・。 全く、比較できるような魔法だとは思えませんでした。」


 その説明にメイカリア中佐は、なんとなく理解できたようだが、いまいち、腑に落ちないような表情をした。


 その様子を見ていたコリン少尉とメイミン総長が、お互いを見ると、2人は、メイカリア中佐を見た。


「メイカリア中佐。 あの時の魔法なのですが、規模も回数も、あんな魔法を撃てる魔法士は、帝国軍には存在しません。 1人だけでも、中隊、・・・。 いえ、大隊規模と言っても過言ではないと思います。」


 コリン少尉としたら、簡単に一般人が、大規模な攻撃魔法を使える事になった、自分達は、今まで魔法が使えるエリートとしての扱いだったが、ユーリカリア達の魔法に比べたら、大した威力も無いことになる。


 ジューネスティーン達のノウハウが、広く知れ渡ってしまったら、自分達の優位性は無くなると感じ取っているのだ。


 ただ、それを表には出せずにいるのだ。


「私も、コリン少尉の意見に同意します。 訓練であろうと、あれだけ広範囲の炎と雷は、見た事がありません。 あんな大規模な魔法を初めて見ました。 それと、魔法と魔法の間隔が、とても短かったと思います。 あんな短い時間でできる詠唱を、私は、聞いたことがありません。」


 2人の話を聞くと、メイカリア中佐も、最初のヲンムン軍曹の話だけでは、腑に落ちない様子だったが、魔導士部隊の2人から、話を聞くと、本当のように思えてきたようだ。


「それが、事実だとすると、ユーリカリア達は、帝国軍に匹敵する戦力を持ったということになるな。」


 その言葉に、会議室内の空気が、一気に緊迫した。


 冒険者パーティーの高々6人が、帝国軍に匹敵する戦力を有してしまったとなると、帝国は、内部に自分達の管理できない戦力を入れてしまったということになる。


 万一、ユーリカリア達が、それに気が付いて、帝都を攻撃したら、帝都は守れるのかという疑問に行き当たる。


 絶対に敵対してはいけない相手を、帝国は増やしてしまったことを悟ったのだ。


 この場にいる女子は、それを感じ取っているようだが、ヲルンジョン少尉とヲンムン軍曹は、ただ、そんなことがあるのかと、ことの重要性に気がついてなかったようだ。


 ただ、下士官のヲンムン軍曹は、その立場に無いので、そのような態度でも構わないが、ヲルンジョン少尉は、士官でもあるため、その程度のことには気がつくべきなのだが、その様子は見受けられなかった。


 メイカリア中佐は、そんなヲルンジョン少尉の態度に嫌気を覚えたようだ。


(ここは、この2人が暴走しないように、釘を刺しておく必要があるな。)


 メイカリア中佐は、2人の様子を見て、気になったようだ。


「ヲルンジョン少尉と、ヲンムン軍曹は、今後、ジューネスティーン達もだが、ユーリカリア達のメンバーにも、絶対に敵対関係になるような事は控えるように! これは、高度な対応を迫られる案件になっている。 接触する際は、最高司令官である、ツ・リンケン・クンエイ閣下の決済が必要になると思え! それは、コリン少尉達にも言えることだ。 決して、先走って、接触することのないようにお願いしたい。 そして、近いうちにクンエイ閣下から通達が出ると思っておいてほしい。」


 敵対したら、非常に厄介な相手だとメイカリア中佐の命令で理解したようだ。


 すると、ヲンムン軍曹が、困ったような表情をした。


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