表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1311/1356

ヲンムンと2人の魔導士の報告


 ジューネスティーン達を監視していた、コリン少尉、メイミン曹長、そして、ヲンムン軍曹の3人は、早めにツカ辺境伯領を立ち、帝都に戻ることになった。


 仕事が完了しても、監視していたことを報告する必要がある3人は、往路の時のような忙しさはなくても、通常よりは、早い速度で、帝都に戻ってきた。


 ただ、その際、最短コースのゲートを通過する道は、土砂崩れで封鎖されていると、報告を受けていたので、遠回りになるツカラ平原側の街道を使って戻っていった。


 行きも帰りも同じ道なので、3人は、道や宿に困ることなく、帰る事ができた。




 帝国軍情報部に所属するサイツ・モンメン・ヲンムン軍曹、帝国軍魔導士団のセイツ・マリン・コリン少尉と、帝都との魔法による通信を行うために同行した、帝国軍魔導士団のワツ・コンメン・メイミン曹長の3人は、到着したその足で、キツ・リンセイ・メイカリア中佐に報告に向かった。


 ただ、メイカリア中佐は、3人を執務室に通して労うと、報告の前に一旦体を休ませるように言うと、報告は、翌日に行うように命令した。


 3人は、メイカリア中佐に言われた通り、その日は、一旦、戻って、体を休ませることにした。




 翌日、3人は、始業時間に帝国軍本部に出頭すると、ツカ辺境伯領に向かう前に使った会議室に通された。


 そこには、キツ・リンセイ・メイカリア中佐の他に、フォツ・リンイン・ヲルンジョン少尉が居て、その顔を見たサイツ・モンメン・ヲンムン軍曹が、嫌な顔をしていた。


 話は、ワツ・コンメン・メイミン曹長から、帝都のワツ・コンメン・アンミン曹長との通信で、あらかたの事は、メイカリア中佐も報告を聞いているので、今回の話は、補足説明のような報告となる。


 ただ、パワードスーツについては、言葉での説明だけでは中々伝わってなかったのか、ヲンムン軍曹が、黒板を使って、簡単な絵を描いて説明をおこなった。


 メイカリア中佐も、その絵を見て、やっと、様子が理解できたようだ。


 そして、背中から出入りする事、土煙を出しながら、地面を滑るように走る姿について、説明をされると、納得するような表情はするのだが、にわかには、信じられないといった表情をした。


 また、ツノネズミリスの討伐に使った爆弾について説明をすると、それについては、ツカ辺境伯領に回収用の部隊を送ったので、近いうちに辺境伯領から回収されたものが、帝国軍の軍事研究部門に運ばれることになっていると、メイカリア中佐は3人に伝えた。


 また、ツノネズミリスとの戦場を、北の絶壁を利用して陣地を作り、落とし穴を作り、その中に爆弾を用意して数を減らし、向かってくるツノネズミリスに陣地から魔法で、落とし穴の前で撃退し、撃ち漏らしたツノネズミリスを、フル装備のジューネスティーンが1人で対応したこと、別働隊が、魔物の渦の破壊をおこなったことを報告する。


 メイカリア中佐は、今回の依頼は、1日で終わるとは思っていなかった。


 早くて、1ヶ月と少しは掛かるだろう、通常なら、3ヶ月は掛かるかと思っていたのだ。


 その圧倒的な攻撃力の源が、気になったのだ。


「あのパーティーには、魔法職が多かったが、それでも、あの数のツノネズミリスを1日で討伐できたのは、なんでなのだ。 話を聞いていると、ジューネスティーン達のパーティーは、別働隊を組織していたのなら、陣地から魔法攻撃を行えるのは、シュレイノリアとウィルリーンだけになってしまうじゃないか。 その2人の魔法だけで、あの数のツノネズミリスに対応できたと言うのか。」


 それを聞いて、セイツ・マリン・コリン少尉は、面白くなさそうな表情をした。


「あのー、これは、信じ難いことなので、メイミンから報告させなかったのですけど。」


 コリン少尉は、歯切れの悪い言い方をした。


「なんだ。 随分と言いにくそうだな。 構わないから、言ってみろ。」


 コリン少尉は、自分でも信じられないと思ったことを、メイカリア中佐に伝えることにしたようだ。


「実は、ユーリカリアのパーティーでは、魔法を使えるのは、ウィルリーンだけではなく、全員が使えたのです。」


 それを聞いて、メイカリア中佐の表情が引き攣った。


 魔法は、天性のものであって、大陸のどの国でも、5歳の子供達を集めて魔法適性を検査する。


 その際に魔法適性が有った子供は、国の保護下で、魔法職として国に尽くす為の道が開かれる。


 ただ、その時、簡単な生活魔法程度の魔法しか使えないようなら、家に戻されてしまうことがある。


 そんな中で、魔法の才能を開花した子供達には、軍隊でもエリートとして扱われることになる。


 そうでなくても、魔道具の開発など、さまざまな分野でもてはやされるのだが、魔法適性の無かった人なり亜人なりが、その後、ごく稀に魔法適性が開花することはあるが、それは、ギルドの高等学校に於いて、ごく僅かな事例がある程度だった。


 それが、魔法を使えなかった5人が、突然、魔法を使えるようになるという話は、聞いたことがなかったのだ。


「どう言うことなんだ。 6人中1人しか魔法が使えなかったパーティーが、気が付いたら、6人全員が魔法を使えると言うのか? 」


 メイカリア中佐は、その報告を聞いて愕然としていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ