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魔法訓練 〜アメルーミラとレィオーンパード〜


 この2パーティーの中では、アメルーミラが一番最後に魔法を覚えた。


 ツノネズミリスの討伐の時、移動中の馬車の中で、覚えた時の話を聞いていて、自分も使えるようになってしまったのだ。


 ただ、計画当初に、アメルーミラは、冒険者になってからの経験も浅く、魔法も使えなかったことから、ツノネズミリスの討伐時に攻撃隊から外れており、最後衛として補給を目的とした仕事を行なっていた。


 特に、長時間の戦闘が予想されることもあり、食事も含めた補給要員として参加していた。


 そのため、ツカラ平原での魔法訓練にも参加してなかった。


 アメルーミラが魔法を使えるということなら、魔法も覚えてもらおうと、帝都に戻った、この数日をアメルーミラの魔法訓練に当てようと思っていたのだ。


 ただ、そこに、ユーリカリア達が便乗してきたので、これだけの大人数での魔法訓練となっていた。




 レィオーンパードは、アメルーミラを連れて、少し東へ戻ったところに移動した。


 魔法の訓練なので、他も少し離れているので、それに習ったのだ。


「ルーミラは、水魔法以外は、どんな感じかな? 確か、にいちゃんから、使えそうな魔法は、ほとんど、教えてもらっていると思うけど、今日は、どうする? 」


「あ、ええ、大体の魔法は教えてもらえました。 でも、最初は、ちゃんと当たるんですけど、そのうち、当たらなくなってしまうんで、沢山、魔法を使っても、ちゃんと目標に当てられればと思ってます。」


 それを聞いて、レィオーンパードは、少し考えるような表情をした。


「うーん。 後半の命中精度か。 ・・・。」


 アメルーミラは、レィオーンパードが、何を考えているのかと思ったようだ。


「あのね。 魔法というのは、自分のもつイメージを、魔素と結合させて、具現化するんだ。 使っていると、命中しなくなるのは、精神的に疲れが出てきているからなんだよ。 だから、ほら、ツカラ平原で、ユーリカリアさん達が、何度も同じ魔法を撃っていたでしょ。 あれによって精神力を向上させていたんだ。 だから、何度も魔法を放つようになれば、後の方になっても当たると思うし、それに、そう思ったら、イメージする力の源が足りないと思った方がいいよ。」


 レィオーンパードは、何か、博識そうな表現をしていた。


 そのせいなのか、アメルーミラは、良く意味が分からないといった様子で聞いていた。


「あのー、それは、あの時、ユーリカリアさん達に、おやつを出したり、それに食事の量がとても増えたことも、何かつながりがあるのですか? 」


 アメルーミラは、ツカラ平原での訓練の時に、休憩中におやつを運んでいた。


 そして、馬車で移動中の食事の量と、訓練中のユーリカリア達の食事の量が、明らかに違っていたので、魔法と食事に何かのつながりがあると思ったようだ。


 魔法は、自分のイメージを魔素によって具現化するので、回数を重ねていくと、脳が疲労してくる。


 体が、それに対応できるのであれば、不足するエネルギーを、体内から脳に運ぶことになるが、慣れてないと不足するエネルギーを補えなくなる。


 それを食事で補うようにしていたのだ。


 脳は、筋肉の次にエネルギーを必要とする。


 魔法のためのイメージを、何度も何度も繰り返すとなったら、血液中を流れるエネルギーは、直ぐに枯渇してしまう。


 そして、身体中の蓄えていた脂肪をエネルギーに変換するには、体もそれに慣れる必要がある。


 体が、慣れていなければ、不足するエネルギーを食事によって補う。


 それを、レィオーンパードは、難しそうな言葉で、自分を飾ろうとして話したのだが、うまく通じず、アメルーミラに、話の解説までさせてしまったのだ。


 レィオーンパードは、いい所を見せようとして、失敗してしまったのだ。


 その結果、レィオーンパードは、少し、恥ずかしそうな表情をしていた。


「でも、何度も魔法を使って、魔力の底上げをしたら、後半になっても命中するんですね。」


 アメルーミラは、納得したような様子で、レィオーンパードに答えた。


「それなら、私は、沢山魔法を使えばいいわけですね。」


 そう言うと、帝都の前の平地に魔法を放とうと、右手を広げて、手のひらを向けた。


 そして、その右手を左手で添えるように握り、魔法を放とうとした。


「あ、ちょっと、待って! 」


 レィオーンパードは、慌てて、アメルーミラを止めた。


「こんな所で、何度も魔法を放つだけじゃ、勿体無いよ。 最初の時のように、魔物を狙って魔法を使ってみようよ。」


 レィオーンパードに言われて、アメルーミラも、その通りだと思ったようだ。


「そうですね。 じゃあ、魔物を狙って、魔法を放ってみます。」


 そういうと、アメルーミラは、魔物を探し始めた。


 猫の亜人であるアメルーミラは、ジーッと、周辺を見渡していた。


 そして、見つけると手の平を、むけて、火魔法を放った。


 火球は、一気に飛んでいき、地面に着弾すると、炎に包まれた魔物が、悲鳴をあげて飛び上がった。


 地面に落ちると、体を地面に擦り付けるように転がるが、それも、数秒で終わり、炎が消え、魔物も消えた。


「おお、さすが、ルーミラだ。 見つけた魔物に、一発の火魔法で仕留めたね。」


 レィオーンパードは、アメルーミラを褒めると、アメルーミラは、少し恥ずかしそうにした。


「じゃあ、次を探します。」


 アメルーミラは、レィオーンパードに、褒められた事が嬉しかったようだが、それを隠すように、次の魔物を探して、周辺を警戒していた。


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