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第9話 自己嫌悪

 慌てて脱衣所を退散した後、わたしは一人台所でハンバーグを作っていました。


 じゅうじゅうとお肉が焼ける音が重なります。


 思えば、二人分の食事を作るのも随分と久しぶり。

 お肉が重なり合う音さえも懐かしく、思わず顔がほころんでしまいます。


「ふふふっ」



 ━━━━━━━━「僕は、男です!!!!!!!」


 ふと、さっきのことを思い出しました。



 …………本当に先ほどはセシルくんに申し訳ないことをしました。

 華奢で、女の子だと思ったんです。まさか、男の子だったとは……

 お詫びにセシルくんのお肉を大きめにしておきましょうっと。


 ごめんね、セシルくん。



 こんがりと、綺麗に焼きあがったお肉をお皿に置いて、野菜でサラダを作って……


「できました!」


 夜ご飯、完成です!


 今日のメニューは、ハンバーグと野菜サラダとパンです!

 私はこれしか上手に作れないので……


 言ってて虚しくなってきました……気分転換に本でも読みましょうか。







「〜♪〜♪」


 本を読みつつ、椅子に座ってセシルくんを待ちます。


 ━━━━セシルくんは、いったい何者なのでしょうか?


 ぼんやりと、そんなことを考えました。

 そんなに知りたい!と言うわけではありませんが興味はあります。

 いつか、私に喋ってくれるほど仲良くなれればいいのになぁ。


 ━━━━━━━━「僕は、男です!!!!!!!!!!!」


 ……またさっきのことを思い出して気分が沈みました。


 こんなんじゃ、仲良く、なんて夢のまた夢ですよね。


 ………私は、昔から、ドジな性でした。


 喜怒哀楽が激しくて、気付けばいつも行動していて。

 今世でもそれは変わらないようです。


 ……全然気づかずに裸で男の子の服を脱がすという暴挙をしでかしてしまいました。



 文にして纏めると、急に頬がほんのりと熱くなってきます。

 思わず、しっぽでべちべちと自分を叩きました。

 賢くて、大人っぽい人になりたいなぁ……




 ギィッ


 そんなことを考えていると、お風呂場のドアが開いた音がしました。

 セシルくんが上がったようです。



「あっ、そういえば!」


 いけないいけない、タオルと着替えをおいて置くの忘れていました。

 ドロドロの服を着てしまう前に着替えを持って行きましょう!


 そう思った私は、大急ぎで自分の服箱からズボンとTシャツを持ってきました。


 そしてそのままの勢いで脱衣所のドアを開け━━━━


「すみません!服置いとくの忘れました!」


 ズボンを履きかけているセシルくんと目が合いました。

 みるみる赤くなるセシルくんの頬。


 あっ、セシルくんが裸になっているという事実を考えていなかった。


「あ……」

「う……」

「ごっ、ごめんなさい!」

「うわああああああああああああああっ!!!!」


 服を投げ入れてドアを大急ぎで締めます。

 思わず膝から崩れ落ち、頭を抱えうずくまり羞恥に悶えました。



「━━━━ーー……っ!!ば、馬鹿ですか貴女あああああ!!!!」



 壁一枚隔てた脱衣所の中から、悲鳴のようなセシルくんの罵倒が聞こえました…


 返す、言葉も、ございません……!!










 しばらくうずくまっていると、脱衣所のドアが開きセシルくんが出てきました。


「……お風呂、ありがとうございました。」


 恥ずかしそうを通り越して物すっごく不機嫌そうなセシルくん。

 散々な目にあってもお礼を言えるところは流石、です。まだセシルくんのこと何も知りませんが。


「……えへへ、です。」


 こっちが思わず目をそらしてしまいました。

 気まずい時間が流れ、二人で目をそらし合います。


「ごはん、用意してあるから。食べててね……」

「……はい。」


 ようやく、喉の奥から絞り出せました。

 赤い顔をしたセシルくんが去っていきます。






「ーーーーっ!」


 それと同時に私は脱衣所へ勢いよく走りました。

 スピードのそのままに服を脱ぎ、全速力で湯船にダイブ。



 ジャッボーーーーン!


「ごぼかぼがぼぼおおお!!」



 ちなみにこれは訳すと、


 すみませんでしたああああ!!


 です。

 あぁもう、なんだか涙が出てきました。

 賢くて大人っぽい人になりたいと言ったそばからこんな大失敗やらかすなど……


 ぶはっとお湯から出て、改めて座り直しました。


 自己嫌悪の嵐です。しっぽもなんだかスクリューのように回転しています。


「何をしたいんでしょう私……」


 ちなみにさっきのお風呂の中で叫ぶ、というやつは前世の私がよく活用していた羞恥心発散法です。

 前世でも大失敗は何回もありました。そんな日は、決まってお風呂で叫んだものです。

 今世でも大活用することにしました!


 ………………一度、鼻に水が入ってしばらく酷い目にあったことはもう過去のことなのです。………忘れるのです。



 浴槽の底に指で“のの字”を書きつつ一人落ち込みます。


「セシルくんと、仲良くなりたいぁ……」


 せっかく会えたのですから、仲良くなりたいです。

 ていうか、セシルくんが出て行きたくなるまで一緒に過ごすつもりなので仲良くならないと困ります。

 いい人そうですし、セシルくん。はぁ………


 どれくらい落ち込んできたでしょうか。

 お湯でほんのりのぼせたことに気づき、結構時間が経っていたことに気づきました。


「あっ、そろそろ出なきゃ」


 そういえば、ご飯二人分用意していたんでした。早く上がらないと冷めてしまいます。

 しっぽでひょいっと体を持ち上げ、浴槽から出ます。

 このしっぽ、以外と力が強くて結構なんでもできるのです。

 伸ばしたり、太くしたり、細くしたり。力も強くて、人ぐらいなら三人ぐらい持てます。


 ちゃちゃっと体を洗って。


「よしっ。もうボロは出さないぞ!」


 きっちり服を着てリビングへ向かいました。


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