セシル目線 第8話
「着きましたよー!」
「…………!!!!」
暖かな家の中に入ったところで下ろされた。
額に浮かんだ汗をぬぐってニコッと笑顔でこっちを見ました。
やっと止まった……ふと涙が出てきた。
泣いてたまるかと唇を噛んだが、プルプルと震えてしまう。
「え!あ、どうしたの!?」
「何者、いや化け物ですか貴方は……!!」
思わず睨む。キョトンとした顔が死ぬほど憎たらしい。
「化け物なんて失礼ですよー?」
「うぅ……すみません……」
絶対的な化け物感のせいで謝るしかなかった。納得はしない。いや出来ない。
「ふふ、いいですいいです。えっと、ここが私の家でーす!いきなり連れてきてごめんなさいです……」
「いえ、むしろ、そのありがとうございます、です」
突然謝られたのでお礼を言うと、なんだか心配そうに聞かれた。
「えっと、予定とかってあった?平気?」
「予定はありませんでした。家を失ってばかりでどうしようと……」
「そ、そっか……」
少し気まずそうにした後、ころっと変わってにっこり笑う。
「じゃっ、まずどうしよう?お風呂?ご飯?どっちがいい?」
「えっ!いや、あのご挨拶とか……は……」
「あっ!」
名前もわからない子供をお風呂に入れられるのだろうか?この子。
警戒心とか、常識とかが抜けている気がする……。
「あ、私はここに住んでて、ミラと言う名前です♪7歳です!」
「あ、えっと私は……」
昔の名前を言うわけにも言わない。どうしよう?
「セシルと申します。……7歳です」
とっさに昔のあだ名を言うと、女の子はにっこりと笑った。
「よし、じゃあよろしくです!」
「は、はい!」
納得してくれたようだ。
「よし、じゃあ……お風呂はいる?」
「えっ!あ、あのほかの方は……」
ご両親へ僕をどう説明するつもりだろう。追い出されたら今日は僕森で野宿かな?
そんなことを考えながら聞いた、ら……
「1年前にお母様が旅に出ちゃって、それから私一人だよー」
警戒心!子供一人暮らし!お母さん!オイ!
いろいろ突っ込みどころのある一言が帰ってきた。
不安になってくる。
「えっ、いや本当に私来てよかったのですか?」
「お金も部屋も余ってるし、君ぐらいなら養えるよー!ちょうど寂しかったし!」
「は、はぁ……そうですか……」
同い年の女の子に養われる。運がいいのか悪いのか……有難いけど……くぅ。
「オッケー♪じゃ、お風呂はいろっかぁ!」
「え、あ、はい?」
ぐいっと手を引っ張られた。お風呂に案内してくれるのだろうか?
「着いたよー」
機嫌良さそうにミラ……さんは話し出した。
そこは木で出来た小さな部屋だった。箱らしいものが隅の方に置いてある。
隣の部屋から、水が落ちる音がする。きっと隣の部屋がお風呂だろう。
「ここで服脱いでねー」
!?!?!?!?
そういって突然ミラ、さんは服を脱ぎ出した。
あられもない白い肌が見え、顔が赤くなったのが自分でもわかる。
後ろを向いているから、うねうねと楽しげに動く尻尾がよく見えた。
背中に、チェリーピンク色の鱗が少しだけ生えている。
一体何の獣人なのだろうと、こんな時にまで疑問が芽生えた。
━━━━警戒心とか羞恥心とか、どこに置いてきたんだろうこの子は!!!!
服なんか脱げるわけないと、情けないけど下を向いてもじもじしていたら、不思議そうに問われた。
「何ですか?照れなくてもーいいですよー?」
「えっ、で、でも……あう」
口ごもってわたわたしていると、突然シャツをたくし上げられた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいこっこ、心の準備が!」
「お風呂に入るのに心の準備なんていりません!」
勢いよく脱がされる。
「わあああああ!」
同い年の女の子にっ、服をっ、脱がされうわあああああ!!
恥ずかしさとパニックで、不覚にも涙が出てきた。
「うぅ……ぐすん。ぐすっ。」
悔しさも相まって、余計恥ずかしくなってくる。ミラさんは慌てている。
「ご、ごめんなさい!そんなに嫌なら無理しなくてもいいわ!」
脱がせたシャツを返して、大慌てで謝りまってくれた。
シャツを受け取り、直視しないように下を向いた。
「あう、ぐすん、ごめんなさい。ごめんなさい。」
「こちらこそ。本当にごめんなさい!女同士だし、別にいいかしらって思って……」
「え」
えっ。今、なんて?
おんな
おんな
…………おんな、女?
「……?どうしたの、セシルちゃん?」
「ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ふざけるな。ふざけんな!馬鹿かこいつ!
「僕は、男です!!!!!!!」
「え」
思わず叫んでしまった。
もの凄い勘違いされていたことが発覚した。
「えっ、あぁ、男の子だったの!?」
「お、女に見えますか……!!」
「え、えへへ…?」
見える、んだ。
「……っ!!」
「あの、なんていうか、本当に、ごめんなさい」
「ひくっ」
「ふ、服着るね。」
「はい……」
「わ、私ご飯作ってるから。お風呂から上がったら呼んでね」
「はい……ぐすん」
「じゃ、じゃあねーごゆっくりー」
「はい……」
…
……
………
…………
…………………
………………………っ!!!
うわああああああああ!!くっそおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!




