表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/37

順調だったはずの人生

最近、人生がうまくいっていた。


仕事も順調。


恋人もいる。


私は幸せだった。



朝。


キッチンでコーヒーを淹れる。


後ろから腕が回る。


「おはよう」


恋人の声。


「早いね」


「会議あるんでしょ」


覚えてくれているのが嬉しい。


私は笑う。



出勤。


会社に入る。


「おはようございます」


誰も返事をしない。


みんな忙しいのだろう。


デスクに座る。


資料をまとめる。


会議の準備。


昨日、上司は言った。


「君に任せる」


信頼されている証拠だ。



昼休み。


同僚たちは集まって話している。


私は少し離れた席で弁当を食べる。


声が聞こえる。


「最近どう?」


「まあまあかな」


笑い声。


私は少し笑う。


みんな楽しそうだ。



午後。


会議室。


資料を持って入る。


上司が言う。


「それ、誰の資料?」


「私です」


上司は眉をひそめる。


「君、会議メンバーじゃないよ」


冗談だと思った。


私は笑う。


「昨日、任せるって」


上司は黙る。


隣の社員が小さく言う。


「……その話、先週終わったよ」


空気が止まる。


私は笑う。


「冗談ですよね」


誰も笑わない。


帰宅。


ドアを開ける。


「ただいま」


返事はない。


キッチンを見る。


鍋。


カレー。


一人分。


ソファ。


クッション。


一つ。


寝室。


ベッド。


枕も一つ。


私は少し立ち尽くす。


……今日、彼は遅いんだった。


そう言っていた気がする。


スマホを見る。


会社のグループチャット。


新しい通知。


退職手続きのお知らせ


対象者


私の名前


送信日時


三週間前


私は画面を見つめる。


「そんなはずない」


次の日も会社に行く。


受付で社員証をかざす。


エラー


もう一度。


エラー


警備員が近づいてくる。


少し困った顔。


「またあなたですか…」


私は言う。


「社員証が反応しなくて」


警備員は端末を見る。


ため息をつく。


「このカード」


「三週間前に」


「返却されていますよ」


そのとき、後ろから声がした。


「また来てるの?」


振り向く。


同僚だった。


少し距離を取っている。


「まだ気づいてないんだ」


私は聞く。


「何を?」


同僚は小さく言う。


「君」


「三週間前から」


「毎日ここに来てるよ」


「辞めたのに」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ