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エピローグ~“悪女” ○○○○の独白

やや蛇足ですが、ある人の視点の話です。人によっては少し不愉快に思われるかもしれませんが、ご了承お願いします

一目見て思った。この人こそ“理想的”な人だって。


 私の名前は鷺ノ宮響子。いいえ、今はキョウコ=バイエルン男爵令嬢というのが、正しいのかしらね。

 かつて私は4股かけて男達を弄び、貢がせて、お姫様気取っていたんだけど、ある日惚れすぎた男に暴走されて刺されてコロリと死んじゃったの。


 とまぁ、そこで終わりならともかく、何故か私はキョウコ=バイエルン男爵令嬢という女として、別世界で転生したの。いや、最初は混乱したわ。でも、しばらく暮らしている内に慣れてきた。それにかなり可愛い女の子に生まれたみたいだし。そこは感謝ね。ただ、我慢できないのは・・・貧乏なこと!

 貴族とは名ばかり、毎日固いパンとうっすいスープ、それにわけのわからん硬い肉。服もアクセサリーも買えず、あるものも質も種類も貧相の一言。顔はいいけど貧困暮らしのお嬢様それがこのキョウコ=バイエルン男爵令嬢の現状。

 しかも貧乏すぎてパーティー?とかにも誘われないから、男と出会う機会もない。贅沢暮らしや男遊びに慣れた私にとってはまじで最悪な環境だわ。


 そんな、私に幸運がやってきたのは貴族の義務である学園に通うようになったこと。ここは上下の身分関係なく同じ学び舎にいることができる。同世代の男子と大勢知り合えるかつてない機会に私は“獲物”を探したわ。

 そうしたらいましたよ。特大のカモが。

 その名前はアレン第一王子。天才と思い込んでいるけど、中身は凡人。だけど自尊心が凄く高いから少し認めればすぐにご機嫌になる。まさに私が求める「理想的」な人。試しに媚びながら話してみたら想像以上に掌の上で激しく踊る踊る。もう後はもうこっちのもんですわ。おだてて、甘えて、おねだりすれば上機嫌でいうことを聞いてくれる。取り巻きも馬鹿が多いので、おねだりしまくっていたら大分財産が溜まってきたわ。ほーほほほ。

 ただ、あのシャルロットちゃんという王子の婚約者が邪魔なのがネック。流石にあの馬鹿と違い、まとも。正論で説得してくる。

 しかし、そこも「困ったことがありました・・・(略)・・・なんかシャルロット様の髪型に似ているかもぉ・・・」というどうとでもとれる玉虫色の言い方するだけで馬鹿はシャルロットちゃんを目の敵にするようになったわ。いや、自分で言うのもあれだが、ここまでチョロいのが王になったらこの国やばくないかしら?

 ちなみに同じ王族のイリス王子というのにも目をかけたが、経験上あれはダメね。人が好さそうだが、まともだし、人望がありすぎるし、何より周囲に優秀な人物が多すぎる。ああいう人に下手にちょっかいだすと痛い目に合うのはこちらだもの。


 しばらくして、私にべったりなアレン王子がいきなり「今度パーティーでシャルロットと婚約破棄する!そこで君と婚約する」とか暴走しました。

 はい?いやいや、流石にありえないでしょう。普通そこは側室とかにでしょ!?と思って意見するが「恐れることはない俺が付いている」「安心しろ。君は俺が守る。いずれ君の良さは皆が知ることになるだろう」と完全に自分のアイディアに酔った馬鹿は聞く耳持ちやしない。こうなると王族の末席に入って、のんびり贅沢三昧するという案はアウト。私は頭を働かせた。


 そして婚約破棄の当日。

 うわぁシャルロットちゃん。大喜びしてるじゃない。それに気づかずふんぞり返る隣の馬鹿。捨てたんじゃなくて捨てられたんだけど、全く空気も読めていない。いやこれ私のせいでもあるだろうけど、ここまで馬鹿だとガチで王様になっちゃいけない人でしょう。この人。


 その後、アレン王子は王位継承権を剥奪。身分が降格されました。まぁ、当然ですわね。

 この期に及びアレン王子はまだ状況が見えておらず、

「真実を暴き、俺の頼れる仲間の協力を得てふさわしい器を持つ俺が王に返り咲く。見ていろ。貴族にふさわしくない卑怯で卑劣なあいつらには王となった俺が然るべき断罪を行う!」などと夢を語っております。

 確かにスコップ渡して発破かけたのは私ですけど、自分で勝手にとことん穴掘って、そこに勝手に転がりおちて、致命的な自爆したのは完全に自分のせいですからね?まさに逆恨み極まれり。

 しかも仲間って、あの口は達者な腰ぎんちゃく達でしょう?もう甘い汁吸えないのに味方するわけないし。これはもうアウトよね。前世のこともあって引き際に過敏な私。これはもう潮時だわぁ。


 そこで婚約破棄前辺りから進めていた準備を実行!

 要約すると「王妃になれなかった。嘘つき。慰謝料として財産少しもらいます。今までありがとう、さようなら」と書置きのこして、小回りが利く貴重そうなものを持って他国に逃亡。学園時代に知り合った留学生の男の協力を得て、男達から貢がせて溜めた金とアレン王子からの「慰謝料兼手切れ金」を使い、現代社会の知識を生かした美容品の店をオープン。そうしたら、これが大当たり。何時の間にか国屈指の店に成長しましたわ。

 金持ちイケメン達と知り合う機会が増え、金持ちになったものの、忙しすぎて念願の贅沢しながら悠々生活の目標とは少しズレてしまったわ。でも、これもこれで楽しいから良しかな♪


 ちなみにあれ以降シャルロットちゃんはあのイリス王子と結ばれ仲睦まじく暮らしていると噂で聞いたけど、アレン王子は全く聞かない。まぁ、アレン王子にはお気の毒ですが、そこは人を見る目のなかったと諦めて下さいな。

 何せとにかく自分が楽しければそれでよし。そのためならば多少の迷惑を顧みず、ただ快楽的に、享楽的に生きていく。文字通り死んでも治らない悪女。それが私鷺ノ宮響子=キョウコ・バイエルンの生き方なのですから。おーほほほ。




最後までご覧いただきありがとうございます。

作中で最も悪女であるキョウコですが、そんな彼女のおかげで慕い合う2人が結ばれ、イリスが王になることで、国が発展。大勢の人が幸せになるハッピーエンドを迎えることになるのは少し皮肉なところです。

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[良い点] こいつちゃっかりしておる! 悪びれなさすぎてなんか嫌いじゃない。
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