コミカライズ配信記念後日談:偉大なるエルル村村長は、ガイア王国で暴れたい!6
最後のあまあまエピソードです!
かわいい二人がここにおります!
エルル村に戻った私は、いつもの部屋で紅茶を飲む。
私の愛しいエルル村での穏やかな時間だ。
ガイア王国の夜会での出来事から一週間ぐらい経った。
あの時の久しぶりの大魔法は本当に楽しくて、未だに余韻に浸れる。
ちなみにあの後、貴族達を私の魔法で十分懲らしめてから、シナリオ通り私とユリウスは、グイード王子達に負けたふりをして退散した。
私の魔法で苦しんだ貴族達は、一転してグイード派に寝返ったらしい。
あの性悪元領主も。
まあ、信用できるかといえばそうではないけれど、もうグイード達の命を奪おうとはしないはずだ。少なくとも、エルルとユリウスというアナアリアの残党という幻に怯えているうちは。
そしてあの事件で、王位継承争いは一気にグイード王子優勢に。
これなら、きっとそう遠くないうちにアエラとグイード達も落ち着くだろう。今度ゆっくり遊びに行こう。
「またあの時のことを考えていたのか?」
同じ長椅子の隣に座ったユリウスが、可笑しそうにそう言った。
どうやら紅茶を飲みながら物思いにふけっていたのがバレたらしい。
「だって、久しぶりの大魔法だったのよ! 一時的だったけど……魔力が戻ってきて嬉しかった」
「そうか。良かった」
穏やかに答えるユリウスの肩に、私は頭を預ける。すぐにユリウスの手が伸びて私の頭を撫でた。
くすぐったいけど、幸せ。
私は穏やかな気持ちのまま口を開く。
「でも、本当に嬉しかったのはね、ユリウスとローランが、私のために時間を割いてくれたこと。あの大規模な魔法、準備するの大変だったでしょう?」
あれは、最高に難しい時空間系の魔術を応用した大魔術だった。
一時的に、私の魔力の質を過去のものにもどしてくれたのだ。
あんな複雑な魔法、いかに最強の魔術師ユリウスと天才ローランと言えども大変だったはず。
私は長椅子に座るユリウスを見上げると、綺麗なアイスブルーの瞳が目に入った。
最初会った時、なんだか冷たい瞳だと思った。
寒々として、色々なものを諦めたような、他人を拒絶するような瞳。でも、今は違う。
ユリウスはそのアイスブルーの瞳を細めて愛しそうに微笑んだ。
「大変だった時などない。エルルのために割く時間は、私にとって至福の時だ」
優しい声色に優しい笑顔。
それらが私のために注がれてるものだと分かって、体が熱くなる。私も同じ気持ちだと叫びたくなった。
私はとっさに体を起こしてユリウスの頬に両手を添える。
「ふふ、私ね、今すっごく『自由』な気持ちよ。だって、したいと思った時に、好きにキスができるのだもの。これ以上の『自由』があると思う?」
「……ないな」
そう言ってユリウスが私をそのまま抱き寄せて、唇を重ねた。
甘く深く、お互いがお互いを求めるように。
ユリウスとのキスは、いつも『自由』の味がするのだった。
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