表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【8/2番外編追加】『年子なんて絶対嫌』と言う妹の夫は、今日も愛人の家にいるそうです【完結】  作者: 木風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/3

第一話 お姉様みたいな人生、わたくしなら絶対嫌だわ

「お姉様みたいな人生、わたくしなら絶対嫌だわ」


 それが、妹のソフィアの口癖だった。

 王太子妃である私、クラリスは、第二子となる男の子を出産したばかり。


 長男とは年子になる。

 まだ身体のあちこちが痛むし、十分に眠れているとも言い難い。


 けれど。

 小さな寝息を立てる長男と、生まれたばかりの次男を見ているだけで、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 この子たちのためなら、少しくらいの寝不足などどうでもいい。

 そう思っていた。


 だからこそ。


「えー、わたくし絶対やだぁ」


 頼んでもいないのに寝室へやって来たソフィアの第一声に、私は一瞬言葉を失った。


「お姉様、そんな短期間で二人も子供を産むなんて。まるで子供を産む機械みたい」


 ソフィアは磨き上げられた爪を眺めながら肩を竦める。


「わたくしなら耐えられないわ。自分の時間なんてなくなっちゃうもの」


 私の脳内に、広大な宇宙が広がった。

 そして、その真ん中で一匹の猫が虚空を見つめている。

 俗に言う宇宙猫である。


 ……いや。何言ってんだお前?


 思わず真顔になった。

 ソフィアの夫である侯爵家の次男は、結婚して半年も経たないうちから愛人を囲った。

 ギャンブル好き。

 酒好き。

 借金持ち。

 夜はほとんど家に帰らない。

 王都では有名な話だ。


 むしろ、そこまで問題行動を重ねていて離縁していないことの方が不思議なくらいだった。


 そんな男の妻が。

 そんな家庭環境の妻が。

 なぜ私を哀れむ側に立てるのだろう。

 不思議で仕方がない。


「まあ、お姉様は昔から真面目だものね。私には無理だわ」


 ソフィアはふう、とため息を吐いた。


「王太子妃なんて窮屈そうだし。子育てばかりの毎日なんて人生が終わってしまいそう」


 その時、寝室の扉が開いた。


「ただいま、クラリス」


 聞き慣れた声に顔を上げる。

 そこに立っていたのは、私の夫である王太子レナードだった。

 彼は私を見るなり表情を緩める。


「今日はどうだい? 少しは眠れた?」

「ええ。午前中に少しだけ」

「それは良かった」


 レナードは安堵したように微笑み、ベッドへ歩み寄ると眠っている次男をそっと抱き上げる。


「おはよう、僕の天使」


 まだ目も開かない赤子に向かって本気で話しかけている。

 その姿を見て、私は思わず笑ってしまった。


「レナード様。その子はまだ言葉がわかりませんよ」

「そんなことはないさ。父親の声くらいわかるはずだ」


 真顔だった。

 完全に親馬鹿である。

 レナードは慣れた手つきで子供を抱きながら、私の額へ口づける。


「クラリス。本当にありがとう」

「何がですか?」

「君が命がけでこの子を産んでくれたことだよ」


 優しい声だった。


「身体はまだ痛むだろう? 今日は僕が見ているから、君は休んでいて」

「そんな、政務があるでしょう」

「もちろん政務は終わらせてあるし、何より君の方が大事だ」


 さらりと言い切られた。

 ソフィアが微妙な顔をしている。

 気まずそうに視線を逸らした。


 そういえば。

 ソフィアが産気づいた時も、夫は賭博場にいたらしい。

 やっと現れたと思ったら、お酒と香水のにおいを振りまきながら。と、母から聞いた。


 レナードはようやくソフィアの存在に気付いたらしく、軽く会釈した。


「ああ、ソフィア嬢も来ていたのか」

「ご、ごきげんよう殿下」

「クラリスの見舞いかな」

「ええ、まあ」


 なぜか声が小さい。

 レナードは首を傾げた。


「何か話していたのかい?」

ブックマーク、★★★★★、リアクション

よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。



(・∞・ミэ )Э こちらの作品もよろしくお願いします
▶ 可愛いすぎる五歳の令嬢が
「あの時、助けていただいたアザラシです!」とやってきた
異世界恋愛/元アザラシ令嬢/王太子/ほのぼの/動物保護/あざらし幼稚園/逆プロポーズ/ハッピーエンド
本作品の文章・タイトル・設定等の無断転載、無断複製、生成AIへの入力および学習利用を禁じます。
― 新着の感想 ―
いや、中世貴族なら、しかも高位貴族なら年子でも問題ないじゃん。乳母も使用人も下働きの人間もいるんだし 年子が可哀想なのは平民の話じゃないか? だってさ、交通事故にあった人レベルの身体の負担が有り、人…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ