Lv1-1
遅くなり申し訳ありません<(_ _)>
超スランプにハマっておりました…
青い空に美しい庭。可愛いお菓子。
わあすごーい、と心の中で棒読みしながら、フリッフリのドレスを身にまとった私は天を仰いだ。
そうここは宮殿。今日はお茶会の日である。当然、マニュアル『お茶会での言動と対策』は考えてきた。
内容を簡潔に説明すると、「他の令嬢たちと同じような言動をとれ」である。大体の転生系小説では、他の人とは一線を画す言動をとって目立ち、良くも悪くも目を付けられていた。この法則がこの世界で当てはまるかは分からないが、やってみるしかない。
「あっ、ギャルロン様とレオナルド様だわ!」
近くで誰かがそう言った。彼女らが見つめる方を私も見上げると、宮殿のバルコニーに、王妃と超美少年が2人立っていた。右の超美少年が第2王子のギャルロン、左が第3王子のレオナルドである。
私も他の人を見習って、頬杖のポーズをとり、首を15度程傾けて、恍惚の表情をした。これで見た目的には「きゃー素敵」状態なはずだ。が、内心では、死んだ目で笑顔を取り繕う彼らに同情していた。お疲れ様です。
私がきゃー素敵状態じゃない顔をしていれば多少の救いにはなったのかも知れないが、こちらにはこちらの事情があるので申し訳ないがこのままやらせてもらうことにする。
しかし、この時の私は知る由もない。
この演技が最大の悪手となることを。
まだそんなことを知らない私は、周りを見ながら演技を続投する。そしてそんな私の元に王妃とギャルロンとレオナルドがやってきた。
よし、上品に。上品に、だ。
「王妃様、お久しぶりです。ギャルロン様、レオナルド様、初めまして。わたくし、スーザン・クロドビクと申します。」
「あら久しぶりスーちゃん!ただのお茶会だからそんなに畏まらなくていいのよ?」
王妃と会うのは実は1度目ではない。彼女は母と同じ学園の同級生で、仲が良いため、しょっちゅう会っているのだ。
「ところでお母様はどちらにいらっしゃるかしら?」
「向こうでスイーツを食べています。」
「…そう見たいね。ありがとう。私ちょっと彼女の所に行ってくるわね。」
全くあの子は昔から放っておいたらスイーツばかりなんだから、と言いながらも楽しそうに母の元へと向かう王妃を見送り、さあて戦だと王子たちに向き直る。
「初めましてスーザン・クロドビク。私はギャルロン・スヴァンホルム。こちらは弟のレオナルドです。「…初めまして。本日は私たちの茶会にお越しいただきありがとうございます。」ぜひ楽しんでください。」
なるほどギャルロンは爽やか系、レオナルドはクール系って感じかな。どうでもいいけど。
2人で打ち合わせしたのかという程息ぴったりの定型文に、上品な笑顔で会釈を返すと彼らは「では」とかなんとか言って別の令嬢の元へ向かっていった。まずは一安心だ。
その後お茶会では特に彼らと話す機会はなく、他の令嬢とも挨拶以外で話すことは無く、適当にお菓子を食べてお茶を飲んで終わった。(オスカーは令嬢たちに捕まっていた。どんまい。)ある意味正しい『お茶会』なのでは。やっと帰宅だ。いぇぇええぇぇい!
帰りの馬車で、特にすることも無いのでボケーッと外を見ていると、母から呼ばれる。
そして、私は悪魔の知らせを受けた。
曰く、「第2王子、ギャルロンと、婚約しました」と。
はい?




