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ホームレス少女  作者: Rewrite
天王寺奏編
42/234

7話

しばらく更新してなくて本当にすいません。

やっぱりリアルはハードモードです。

 彼方ちゃんのお母さんからの尋問のような行動から逃げ出し、とりあえず言ってしまった通りトイレへと向かう。もちろん用を足しに来たわけではないので、ズボンは下さずにそのまま便座のふたの上に腰を下ろし、未だバクバクなっている心臓が落ち着いてくれるまで何度も深呼吸を繰り返す。


 そして暴れていた心臓が落ち着き始めてから少し思考に耽ることにする。これがみんなの言う僕の悪い癖だとわかってはいるのだけれど、癖のなってしまっていることは簡単には止められず、無意識のうちに行動に出てしまう。情けないとは思うけれど仕方がない。


「ふう、驚いたなー。いきなりあんなこと言うんだもん」


 誰もいないトイレのドァに向って話しかける。他人が見たらさぞかし面白い人間に今の僕は見えてしまうのだろう。そう思うと自分のことなのに少し噴き出してしまった。


 それにしてもなんで彼方ちゃんのお母さんはあんなことを僕に聞いたのだろう?

 質問に対して僕は逃げるという答えを出してしまったわけだけれど、それでよかったのだろうか?

 そこまで考えてそれでは逆に今の僕にあの質問に答えられたかというと答えは間違いなくノーだ。だからと言って僕が彼方ちゃんのことを嫌っているわけではない。むしろ好きですらある。短い間だったとはいえ共同生活を送り、二人で協力して生活してきた。その間には確かに楽しいことばかりではないけれどいい思い出がたくさん詰まっている。


 あの短い期間で僕は彼方ちゃんのことをたくさん知った。どんなことで喜んで、どんなことで悲しんで、どんな考えを持って生きているのか、全部を知れたなんて思いあがってはいないけど、少なくとも知り合いなんて関係ではなくなったはずだ。では、僕は彼方ちゃんが恋愛対象として好きなのかと言われるとそれはそれで困る。でも、決して彼方ちゃんのことが嫌いなわけでもなく……


「ダメだ。僕の悪い癖が出てる……」


 思考を振りほどくように頭を左右に軽く振り思考をリセットする。そして念のために頬を叩いて気持ちを入れなおして、いつもでもトイレにこもっているわけにはいかないので一旦パーティー会場に戻ることにする。また同じ質問をされたらその時はその時だ。と、自己暗示をかけながら僕はトイレを出た。


 パーティー会場に戻るとそこにはまだ彼方ちゃんの姿はなく、まだ少し怯えているお父さんと先ほどと何も変わらないお母さんがイスに座っていた。


「彼方さんはまだ戻ってないんですか?」

「えぇ、そうなのよ。あの子ったら佐渡さんが来てるっていうのに。悪いけど彼方を呼んできてくれる?」

「っ!? 許さんぞっ。私が行くっ」

「あ・な・た・ちょっと黙ってくださいますか?」


 怯え震えていたお父さんがいきなり立ち上がり、突如大声で僕を指差しながらにらんできたが、すぐ横で再びお母さんの笑っているはずなのになぜか笑っているように見えない笑顔でお父さんに話しかけた。

 僕とお父さんは反射的に背筋をぴんと伸ばし、何も言わせてもらえない雰囲気にのみこまれる。ただ、今度はお父さんも黙っていられないのか、それとも勇気を振り絞ったのかはわからないがお母さんに反論をした。


「私がダメなら母さんが行けばいいじゃないかっ」

「あなた。彼方が待っているのは私たちじゃないんですよ」

「そうかもしれないが……」

「しれないんじゃなくてそうなんです。わかったら座りなさい」

「くっ……」

「座りなさい」

「は……はい……」

「それじゃあ佐渡さんよろしくお願いしますね」

「は……はいっ行ってまいりますっ」


 お父さんの検討虚しくお母さんに簡単に言い負かされてしまい、僕が何か口を挟む隙すらなく部屋を押し出されてしまった。

 それにしても本当に怖かった。

 部屋を出て、二階にあるはずの彼方ちゃんの部屋へと向かう。どこにあるのかわからなくて一旦部屋に戻ることになるかと思ったが、彼方ちゃんの部屋にはかわいらしいネームプレートが掛けられていて、初めて来る僕にも一目で彼方ちゃんの部屋がわかった。


「彼方ちゃんいる? 僕だよ佐渡誠也」


 ノックを三回してから声をかける。すると、中から「さ……さわたりさんっ」という彼方ちゃんの声と共に何かが崩れるような音と彼方ちゃんの慌てた叫び声が中から聞こえた。

 無意識にドァを開けて中に入りそうになったが、ここは自分の家ではなく彼方ちゃんの家で、しかもここは彼方ちゃんの、女の子の部屋なんだと思い直し、中に入って中の状況を確かめたい気持ちを抑えに抑えてドァの前で待機した。


 少しして彼方ちゃんから少し待っていてくださいというお言葉をもらい、ほっと一安心してから五分ほどドァの前で待機していた。

 その間、中からは彼方ちゃんがドタバタと走り回る足音と、何かが片づけられているような音が鳴り続けた。

 そして片づけが終わったのかドァが少し相手息を切らした彼方ちゃんが顔をのぞかせた。


「す……すいません。お待たせしました~」


 彼方ちゃんに中に入るように勧められ本来の目的を忘れ、中へとお邪魔させていただいた。

 中は女の子らしい、というか彼方ちゃんらしい内装だった。勉強をするための机、そのすぐ横に彼方ちゃんの学生服、洋服箪笥のような僕の部屋にもあるようなものから、大きな姿鏡、かわいらしいぬいぐるみの数々とかわいらしい一面もたくさんあった。その中には僕の買ってあげたドライヤーやぬいぐるみなどもあって少し心がほっこりした。


「その……なにか変ですか……?」


 彼方ちゃんが心配そうに僕の顔を覗き込んだ。今思うと、部屋に入っていきなり部屋中を見渡されたら誰だって嫌だろう。いくら片づけたと思っていても何かあると思ってしまうはずだ。

 それに彼方ちゃんは年頃の女の子、いくら親しくなったとはいえ男の僕に部屋を見られるというのは嫌だったのかもしれない。

 彼方ちゃんなら自分が嫌でも無理して僕を部屋に入れてくれそうだし、本当に悪いことをした。

 それなら僕はできるだけ早く要件を伝えてこの部屋を去ろう。


「ごめん。なんでもないんだ。ただ彼方ちゃんらしい可愛い部屋だなって思って。用件だけ言ったらすぐに出ていくよ」

「そ……そんなかわいいだなんてっ。私にはもったいないです……よ。それにっ、そんなすぐに出ていかなくてもいいですよ。ゆっくりしていってください」

「そう? ありがとう」


 彼方ちゃんはこう言ってくれているが、伊達に彼方ちゃんと少しの間とはいえ過ごしていない。

 これは彼方ちゃんの優しさであって本当は僕に早く出て行ってほしいはずだ。いくら僕でもそれぐらいはわかる。


「でも、お母さんが下に来なって言ってたよ。いかなくていいの?」


 変に話ずらくなったりする前に本題を伝える。


「いいんです。お母さんは何を言うかわかりませんから」


 小さく頬をふくらましながら彼方ちゃんはそう言った。

 ただ、こう言われてしまうとこちらも困ってしまう。彼方ちゃんを連れて行かないで下に戻ったら下でまたお母さんに尋問のようなことを受けそうだし、正直居ずらい。

 かといってこのまま彼方ちゃんの部屋に留まると彼方ちゃんが嫌がってしまう。どうしたらいいんだ。


「佐渡さん」


 一人絶望に満たされていた僕に天使の声が響く。


「ん? なにかな?」

「トランプ、しませんか?」


 笑顔でトランプを持ってきた。


「いいね。やろうか!」


 彼方ちゃんには悪いけどもう少しお邪魔させてもらうことにした。

 僕やっぱり情けない。



久しぶりの投稿で文章がいつも以上に変かもしれません。もっとこうした方がいい!という意見を言ってもらえれば参考にさせていただきますのでご指摘をもらえるとうれしいです。

もちろん自分でも勉強しますよ。

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