4話
間宮さんとファミレスに入り、僕らはドリンクバーだけを注文して談笑を始めた。僕ら四人は大学は同じでも違う講義を受けている。いくつかは同じ講義を受けているものもあるが、基本的にはみんな自分で選択しているので、同じ講義を同じ時間に受けることの方が少ない。
なので大学の話でも結構盛り上がるのだ。でも、僕らは基本大学での話をあんまりしない。
全くしないわけでもないが、大体の場合何かについて話していると今度どこかで遊ばないかという話になるのだ。このように話題を振るのは大体翔君で、僕らもなんだかんだでその話に乗って今度遊ぶ話に花を咲かせてしまう。
簡単に言えば僕らはみんな楽しいことが好きなのだ。
「そういえば間宮さん」
「なに?」
僕から話題を振ろうと話しかけると間宮さんはドリンクバーから持ってきた飲み物を飲みながら答える。
「さっき翔君と話してたんだけど、今度僕らでも彼方ちゃんお帰りのパーティーしない?」
「いいわねっ。私たちだけって話なら大賛成よ」
心配はしていなかったけど間宮さんはすぐに了承してくれた。
「詳しい日時は?」
「まだ決めてないんだ。今度みんなで決めようよ」
「そうなの。わかったわ」
その後もいつも話すようなたわいのない話を続け、気が付けばいい時間になっていた。僕はもうそろそろファミレスを出ようと飲み物を飲み干し帰る準備を始める。
「ごめん間宮さん。もう時間なんだ」
「もうそんな時間? 」
間宮さんは袖を少し捲り腕時計で時間を確認する。そんな小さな仕草ですら間宮さんがすると大人っぽく見えるから不思議だ。
「じゃあ僕行くね」
「私も出るわ」
間宮さんはそう言うと手早く荷物をまとめ、僕のあとに続く。
レジの会計はもちろん僕が全部払った。間宮さんは割り勘にしましょうと言っていたけどドリンクバー二人分くらいなら全然かまわなかったし、時間まで相手していてくれたお礼だと強引に押し切った。
その後も間宮さんは「それなら私も買い物に付き合わせたんだし」と駅までお金を払おうとしていたけど僕はこれを頑なに拒否。
最終的にため息を吐いてあきらめたのは間宮さんだった。
「佐渡にはたまにかなわないわ」
「いつもは僕が負けっぱなしだけどね」
そして僕らは電車に乗り帰宅し始める。
電車の中でもファミレスと同じような会話を続け、間宮さんが降りる駅に到着した。間宮さんは「今日はありがとっ」とだけ言い残し電車を降りた。
その後僕は十分ほど電車に揺られ自分の家の最寄駅に到着した。
電車を降り、改札を抜け、もう何度も通っている道を歩き出す。
そしていつも彼方ちゃんと別れる交差点に差し掛かった時横から誰かがぶつかってきた。ぶつかってきたといっても僕の方にほとんど衝撃はなく、転ぶこともなかった。
僕は誰がぶつかってきたのかを確かめるために衝撃の方向を見ると、そこには中学生くらいの女の子が尻餅をついていた。おそらく僕にぶつかった時に転んだのだろう。
「大丈夫? 怪我はない?」
転んでいる少女に手を差し伸べる。
「いたたー。なんなのよあんたっ! 私にぶつかってくるなんて良い度胸してるわね」
僕の手を振り払いながら中学生くらいの女の子は立ち上がった。
まさかこんなことを言われるとは思っていなかったので一瞬硬直してしまったがすぐに気を取り直し謝る姿勢を取る。
「ごめんね。気づかなくって」
「次から気をつけなさい」
偉そうに腰に手を当て胸を張りながら女の子はそう言った。
前ならえのポーズみたいでかわいらしい。
「そんな場合じゃなかった」
女の子はそう言うと急に周囲を気にしだし、いろいろな方向を見ている。
鬼ごっこでもやっているのだろうか? でもこんなところで鬼ごっこをやっていてはみんなに迷惑がかかる。今みたいに誰かにぶつかって問題が起きたり、怪我をしてしまう可能性も零ではない。僕は女の子に注意をしようと声をかけようとすると、女の子は突然走り出した。
「あんた次私にぶつかったらお仕置きだからねぇぇぇぇ」
僕が驚いているのも関係なしに女の子は大きな声で僕に向ってそう叫びながら走り去っていった。
「嵐みたいな子だったな」




