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ホームレス少女  作者: Rewrite
天王寺奏編
36/234

1話

彼方ちゃんとの一件があってから、もう一週間が経過した。

 ひと時の別れのあとの、感動の再会を果たした僕らは、前のように同じ家とまでは言えないが、お向かいに住んでいる。

 そして僕、佐渡誠也の日常に水無月彼方という少女が加わった。


「おはようございます。佐渡さん」

「おはよう、彼方ちゃん。ちょっと待っててね」


 僕はそういうと、鞄を取りに一旦部屋に戻る。現在の時刻は朝七時。曜日は金曜日。なぜ彼女が僕の家に来ているのかというともちろん一緒に登校するからである。

 もちろん学校自体は違う。僕は大学生で、彼女は高校生。年で言うと僕が一九で彼女は一五なので、僕の方が四つほど年上だ。


「おまたせー」

「そんなことないですよ。さあ学校に行きましょ」


 彼女が率先して玄関を開け、僕が出るまで律儀にドアのノブをつかんだまま待機している。僕は「ありがとう」と一言言って、彼女のあとに続いて玄関を出た。

 僕らは最近、こうして途中まで一緒に登校している。僕は大学に電車を使って通っている。そして彼女の通い始めた大橋おおはし高校も駅の方にあるのだ。

 なので、お互いが何も言わずとも一緒に登校することになった。僕らが一緒に登校できるのは時間にして約十五分ほどなのだが、一人で学校に向かうよりとても有意義な時間を過ごすことができる。


「それでですね南ちゃんが……」

「そうなんだ。おもしろい友達だね」

「そうなんですよ」


 僕らの朝の会話は大体が昨日の学校での出来事だ。僕らは家が近いことから家での出来事はほとんどお互いが認識している。ほとんど毎日学校終わりに彼女の方が遊びに来て、たまに一緒にご飯を食べる。逆に僕が彼女の家にお邪魔して夕食をごちそうになることもある。

休日も翔君たちと一緒に家で遊んだり、どこかに遊びに行ったりで、なんだかんだで僕らはほとんど毎日顔を合わせている。だからお互い特にこれといって話すことがないのだ。

 だからお互いが学校の話をする。

 昨日学校でどんな面白いことがあったか、何をしたか、そんな他愛もない会話を毎日繰り返しているが、この時間がとても楽しい。

 そんなこんなで僕らはとても楽しい毎日を過ごしている。


「佐渡さん今日が何の日か覚えてます?」


 彼女がにっこり笑ってこちらを見た。

 今日が何の日かもちろん僕はわかっている。


「うん。彼方ちゃんがこっちに引っ越してきたパーティーだよね」

「はい」


 彼女は今から楽しそうに笑っている。彼女らしい本当にいい笑顔だ。

 そして今日は彼女の引っ越し祝いを兼ねたおかえりのパーティー。メンバーは僕と彼方ちゃんと彼方ちゃんのご両親。翔君たちも誘ったのだが翔君はバイトらしく、広志はネットゲームのイベントなんだとか、間宮さんは大丈夫だったのだが、翔君たちが来ないなら自分も遠慮しておくとのことだった。


「今度、翔君たちともパーティーしたいね」

「そうですね。でもそうするとまたお金が……」

「えいっ」


 彼女の頭にゆっくりと手刀を下ろす。


「もう一緒に住んではいないけど、あの時の約束はそのままだよ。僕たちは家族だ」

「……はい。ごめんなさい」


 ゆっくりと頭を下げる彼女、彼女のこの遠慮がちな性格は未だに治っていない。

 といっても、前のように折れないなんてことはなく、今は心の余裕があるからなのか、前に比べたら遠慮することが減ってきている。これも僕らの信頼関係によるものだと僕は思っている。


「……もうお別れですね」


 彼方ちゃんが少しさみしそうに言った。

 今、僕らのいるこの交差点がいつもの僕らの別れる場所、別れるといってもお互いに学校が終わればまた夕方には会えるのだが、なぜかこの時はさびしいのだ。


「夕方にまた会えるよ」


 僕はそういって微笑んで彼方ちゃんの背中が見えなくなるまで見送ってから、駅に向かって歩き始めた。

 こうして僕の変わらない日常がまた始まる。



再会いたしました。


これからもがんばります!

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