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ヘリオスの末裔 ヘレナ  作者: まきの・えり


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 ま、私も苦労してるのよ、実際。

「ちょっと、三橋~、何とろとろやってんのよ」

「だって、祥子さん、一人ずつ、フレームに入れないといけないし」

「そんなもん、こうやればいいのよ」

 私は、フレームをガアッと広げて大きくすると、その辺り一帯をフレームで覆った。

「ス、スゲー。そんなことできるんだ~」

 驚かれると嬉しくなって、ズパアッと十キロ四方ぐらいに広げて、その辺りを覆った。

「……」と三橋は、声も出ない様子だ。

 と思って見ていると、上空を飛ぶ爆弾を見ていたようだ。

 こんな時は、爆弾をフレームで覆う。フレーム内部だけで爆発する。

 けど、何で、こんな戦場にやって来るわけ?

「怖いよ~、わ~~~ん」と三橋が泣いた。

「だって、だって、一番危ないところにいる子供達を助けないと」

「わかった、わかった」


 全員に集合をかけて、とりあえず、少年兵も含めて、子供という子供をフレーム内に入れる。フレームは、いくらでも大きくできるし、広くできる。

 お、小橋達は、武器をフレーム内に入れている。なかなか賢い。

 何で、人間まで入れてやるんだよ、もう!


 ま、一応、周囲は安定したみたいだし、私の苦労を聞いてちょうだいよ。

 神様が何で苦労するんだよ、じゃないのよ。

 砂漠で、サボテンが花を咲かせだしたのよ、それも大量に。

 うお、綺麗じゃんと思う間に、枯れ始めたのよ。

 これは大変、サボテンの危機だと思うじゃない。

 で、とりあえず、周囲のサボテンを私のフレームに入れたわけ。

 すんごい根を張ってるから、地中ごとよ。

 飛べばいいじゃない?

 そうよ、飛べば良かったかもしれないけど、そういう発想が出て来なかったのよ。

 どっか、サボテンに同化してしまっていたのかもしれない。

「枯れる?」「枯れる?」「枯れる?」「枯れる?」という感じ。

 サボテンって、すべてがスローモーションなのよ、知ってた?

 ものすご~~~くゆっくりと大きくなるの。

 ものすご~~くゆっくりと歳を取るの。

 フレームに入ってからも、ゆっくりと着実に増えていくのよ。

 だから、フレームごと、どんどん大量になっていったの。

 雨が降れば、大喜びするし、体内にすごい量の水分を蓄えるの。

 私も「雨よ」「雨よ」「雨よ」「雨よ」と大喜びしたわ。

 で、どれぐらいの年月が経ったかわからない頃に、ようやく山下村に辿り着いたって訳。

 途中の町や村では、大騒ぎになるし、どこの国かわからなかったけど、焼き払われようとしたり、踏みつぶされそうになったりと、とにかく大変だったのよ。


 そうそう。

 レウコトエー、面倒くさいわね、あの山下朱音が、村の小学校だと思っていたのは、サボテンの子供達を人間に育てあげようとしている所だったわけ。

 山下朱音も、サボテンの子供達と一緒に、ことばを覚えたり、知識を全体で共有する練習をしていたってわけ。

 どういう理由なのか、お兄様が、何かしたのかは知らないけど、山下朱音は、自分の記憶をすっかり失っていたのよね。

 ま、自分の父親に生き埋めにされる記憶なんかは無い方がいいと思うけど。


「小橋~、武器なんか、そのまま潰しちゃえば~?(人間も一緒に~)」





 

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