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ヘリオスの末裔 ヘレナ  作者: まきの・えり


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 美しくも愛しい兄のことを言うのも何だけど、大体、ヘリオスというのは、バカなのよ。

 バカもバカ、大バカ者よ。

 お父様や、他の神々みたいに、要領よくやればいいのよ。

 好きになった女なんて、百人いたっていいじゃない、たかが人間なんだから。

 私なんて、元々が兄みたいな美貌の主が好きなんだから、もう数えきれないぐらいの愛人がいたわよ。

 一々覚えてなんてないのよ。やったら終わり。はい、さようなら。

 相手だって、神様と交われて、ラッキーでしょ? しかも、私みたいな美貌の主だったら。

 エンディミオンのことは、ちょっと例外。私にしては珍しく、毎晩会いに行ったわよ、仕事のついでに。

 私は、ヘレナ。月の女神よ。だから、月の運航が私の仕事。

 兄は、太陽神よ。太陽を昇らせるのが、お仕事。


 レウコトエーのことは、知っている?

 まあ、何にも知らないのね。

 そもそも、何もかも、この女のせいなのよ。

 アポロンとかアルテミスなんて、私達がいなくなってから、後釜に座っただけよ。

 後から来た者勝ちの世の中だわよね、神の世界だって、一緒よ。


 ついでに言っておくけど、あんた達人間なんて、6万年ぐらい前に、アフリカから出て来た猿の親戚でしょ?

 確かに、神の姿に似せて作られたなんて言われているけど、残念ながら、神とは違うわよ。

 頭があって、目があって、口や鼻があって、というのは確かに似ているけれど、それなら、チンパンジーやオランウータンだって、一緒じゃない?

 馬や鹿だって、一緒よ。

 あんた達、何で尻尾が無いのよ、とつい尻尾を探してしまうほど、動物と大差ないのよ。

 それなのに、偉そうに悩んだりするの。笑っちゃうわ。


 でも、良かったわね、ヘリオスの大バカのお陰で、あんた達も神になったのよね。

 神に近くなったと言った方がいいかしら。


 私もヘリオスの後を追って、地上に落ちたのはいいけど、全然違う場所に落ちちゃったのよ。

 神様もヘマだなですって?!

 神様だって、慌てることはあるのよね。


 ウソでしょ、ヘリオスが地上に落ちた?!

 しかも、レウコトエーと一緒に?!?

 そりゃあ、私だって、慌てるわよ。


 月の馬車から、真っ暗闇の地上に落ちたのよ。

 

 ま、山下村にサボテンが多いのは、私のお陰なのよ。

 私、長い年月、サボテンとして暮らしていたから。

 落ちた場所が、サボテンだらけだったし、ま、いっか、という感じだったの。


 あんた達も、一度サボテンになればいいわ。

 落ち着くわよ。

 ミーアキャットもいいけど、サボテンもいいわよ。


 サボテンになって、太陽の光を浴びて、空気を吸収して、地中から養分をもらって、恵みの雨に感謝する。サボテンって、水分が足りなくなると、綺麗な花を咲かせるのよ。


 あら、私ったら、何かクサイこと言ってるわ。

 いいのよ。美しいもの勝ちよ。



 



 

 


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