ep.3 元魔王、二度寝する。
ポッポー、ポッポー、ポッポー。今日もハトの鳴き声に起こされる。
「う、朝だあ……ううん、もう、ちょっと……」
「でもボクには、二度寝というボーナスタイムが、zzZ……むにゃむにゃ……」
――同時刻、異世界。
「最近魔王の代わりに襲撃してくるヤツら、めちゃくちゃつえーな」
勇者トップがため息を漏らすと、マミの眉がピクッと動いた。
「はあ? あんたがふざけた作戦を立てるからボロ負けしてんじゃない! 『わたしたち』は至って真面目にやってるわ!」
戦士セブンが慌てて間に入る。
「まあまあ、落ち着けってマミ。今までトップの作戦で勝ち続けてきてたじゃないか。この前の魚餌付け大作戦で、魔王が泡吹いて倒れてたの見ただろ?」
「そうだけど……でも、今は魔王が来ないから全部失敗してるじゃない!」
そこへ、ズズ……ズズ……空間が、裂ける。
来訪者だ。
「仲間割れとは哀れだな、勇者共よ」
「今日の敵はクロユリか。俺の作戦に任せとけよ、お前ら!」
意気揚々と、勇者が前に出る。そして、「あ、『魔王様!』……今だ喰らえ!」
渾身の不意打ち斬りをお見舞いする!
「……そんな馬鹿げた作戦が、私に通用するとでも思ったのか? 霊魂よ、我の元に集え」
辺り一面が闇に包まれ、勇者パーティー全員をズタズタに引き裂く。
「ぐああ! くそ、ここまでか……みんな、すまない」
「……ああ、今日はここまでとしよう。魔王城に着くまで、せいぜい死ぬなよ」
クロユリはボロボロのトップ達にトドメを刺すことはなく、そのまま闇に消えていく。
「うん、決めたわ。トップ、あなたを追放する!」
「ええー! オレ、勇者なのに?!」
決意を決めたマミに対して、現実を受け入れられないトップ。
突然のことで、呆然とするセブンだった。
「勇者候補なんて、この世界にいくらでもいるし。無能なアンタはいらない。それじゃあね〜」
「トホホ……こんななら、チートスキルでハーレム作ればよかった」
マミの転移魔法が発動。
トップは、転移させられる時にこう思った。
もう少し 真面目に作戦 練ればよかった(字余り)
……俺のバフがあったから魔王軍と戦えてたんだけど、2人はこれから大丈夫かな。
トップの心配をよそに、
異世界で マミは内心 ほくそ笑む。
大丈夫よ、トップ。アンタのチートスキルは全部貰ったから。
(チートスキルあるならふざけてないで魔王軍倒せよ、トップ)
「……マミ、いくらなんでも追放することないだろ」
「いいえ、セブン? わたしの選択が間違ってなかったこと、これから証明してあげる。アンタは隣で見てなさい!」
不穏な思惑が、動きだす。
――ガバっ!
「んあ、いま何時?」
あせあせあせあせ、あせあせあせあせ……!
「遅刻だあああーーーーー!」
寝巻きのままだけど、誠意が伝われば店長はきっと許してくれる……ハズ。
「店長ぉ……遅刻してごめんなさい。許して、おねが〜い♡」
「うっ……いや、ダメでしょ。普通に考えてさ。はあー、これだから最近の若いモンは」
(いかんいかん。一瞬ドキッとしてしまいましたが、こんな事で店長歴15年の僕が許すと思ったら大間違いですよ。)
うげえ、また店長のガミガミタイムだぁー泣
くそぉ、ちょっと揺らいでるのが腹立つぅ……。
「店長ー、発注終わりましたよー……って、そっちのパジャマの子は?」
(きゃ、きゃ、きゃ、きゃわわわわわわわわわ!
なに?このきゃわわな子!私を尊死させる気ですか?!ってかなんでパジャマなの?教えて?教えて!あなたの全部を教えてよ!)
あはは……綺麗なお姉さんなのに、中身が、なんかすごいね。
……読心術、使わなきゃよかった。
「新人のマオさんだよ。ちょっとドジっ子だけど、根気強く教えてあげてね」
「ええっと、バイトの白菊花です。よろしくね、マオさん!」
「よ、よろしくお願いします」
わるい人じゃなさそうなんだケド、心を読むのはお互いのためにも、もうやめとこっかな……
――「うんうん、マオちゃんかわ……じゃなくて、マオさん2日目なのに、もう教えることなさそうで凄いよー」
ちょっとだけ心を読んだけど、本心だ。……えへへー、そうでしょ?ボクってカリスマ溢れる魔王様だからね〜。
「えへへ、花さんの教えかたが上手だからすぐ覚えちゃいました!」
「あ、もうムリ」
バターン。あ、花さん倒れちゃった。
このコンビニ、働く人もお客さんも変な人ばっかだなぁ……
「マオさん、すまないけどちょっとレジ頼むよ。僕は花さんを裏で休ませてくるから」
――ピロピロピロン。あ、お客さん来ちゃった。
「いらっしゃいま……」
え?ボクの見間違いじゃあないよね?
「お前は……」
「勇者ぁ!?」
「魔王!?」
本編では書かなそうな裏話 マオは仲間のことを心の底から信用しているので、魔王軍で読心術を使ったことは一度もありません。
次の更新は遅くても明日21時を予定してます。
いいえ、打ち切りとなりました。俺たちの戦いはこれからだ!




