85、お菓子勝負
現れた先ほどのカタスによく似たその人物は笑いながら、
「俺の名前はサイコだ。これからお前たちを負かせるものだ。よくおぼえておくんだな!」
そう言いだした。
今回はこの人物が敵かと思っていると、
「さあ、もう始めてしまおう。俺たちの勝利は決まっているからな」
「……買収でもしたのか?」
つい俺はそう聞いてしまうが、それをサイコは鼻で笑う。
「俺をあのカタスと同じだと思わないことだな。俺は勝利するためにそのような手を使う必要がないと知っている。そしてお前たちが虹色の輝きの力を持っていることも」
「……そうですか」
「それらの隙間を埋める方法はただ一つ。そう、使用する食材の“質”だ。お前たちはこの世界にきてまだ日が浅く、この世界の食材について詳しくないだろう」
「でもあのカタスは特別な食材を使っていましたよ?」
「ふん、どんなにいい食材があったとしても料理人が駄目ならば、その食材は本来のおいしさを示さない!」
そう言い切るのを聞きながら俺は、確かにこの世界のものについては知らないと思う。
だがそれでも少しでも勝たなければ、この世界の料理人たちにとって不利なことになってしまう。
相手がどの程度、約束を守れるかどうか分からないが、それでも勝利しないといけない。
そう考えつつ俺はこれからの戦略について考えて、問いかける。
「加工したものはどの程度許されるんだ?」
「そうだな……煮たり焼いたりしたものは駄目だ」
「そうか……そして時間は一時間……」
俺は呻いた。
そうなってくると黄な粉を作るための加工も駄目だし、あんこを作るのも時間ギリギリになるかもしれない。
そしてお餅関係はというと、蒸して叩くといった動作などを考えると時間はギリギリだ。
といった内容を考えつつ、
「とりあえず時間の範囲内で間に合うかどうかわからないがあんこを作ってみよう。休み時間に豆は水につけておいたしな」
そう寿也たちと話しつつあんこができ次第作れる和菓子について話す。
同時に、あんこがなくても大丈夫な和菓子候補として決まったのが、
「葛きりと、クルミ餅、ゴマ汁粉、みたらしだんご、抹茶ミルクだね」
百合があんこ無しで作れそうな和菓子を述べる。
それを聞きながら俺は捕捉するように、
「お餅は白玉粉で代用するとして……胡麻をすったりするのも人力だが、頑張るか。一応あんこができた時にはお汁粉かぜんざいやあんころ餅なども作れるようにしておくか。……まずはそれらのものが作れる準備をして、時間が余ったら他のお菓子も挑戦という形で。それじゃあ、始めるか。俺はあんこの方にまず手を出す」
「じゃあ私は白玉団子を作ってゆでておくね」
「俺は胡麻をする」
百合が白玉粉に手を伸ばして、寿也がゴマすり鉢を用意し始める。
俺は小豆を火にかけると同時に鍋にもお湯を沸かし始める。
今回の調理台にはコンロが三つあったのは良かった。
それらを見ながら俺は、
「小豆の方を処理しながら俺は、みたらしのたれや、黒蜜などの準備を進めていく。手が空き次第俺の方を二人は手伝ってくれ」
「「うん」」
こうして俺たちは菓子を作り始めたのだった。
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