52、武器
こうしてギルドにやってきて、突然因縁をつけられて、冒険者に襲われるという事態は無事回避した。
百合の手助けもあったので特にけがはすることはなかった。
「百合、助かったよ。まさか突然こんな風に襲われるとは思わなかった」
「うん。よくある初心者冒険者に、お前のような奴が~、と言って腕試しをするのによく似ているよね」
「そういったイベントだったのか? この世界ではこれが一般的なのか?」
俺は百合の話を聞きつつ、そう呟くとクレアが、
「そ、そんなことはないです! そもそもギルド内ではこういった争いごとや暴力は禁止ですし。それを吹っかけた相手もしばらくギルド内では依頼を受けられなくなりますし……私、報告してきます」
そう言って、クレアが受付の方に行く。
すると奥の方から別の筋肉隆々の冒険者がやってきて、気絶している二人を連れて行った。
なんでも一か月ギルド内に出入り禁止であるらしい。
ちなみにこれで三回目の要注意人物だそうだ。
そういった話を聞いた俺だがそこでサラが、
「なかなか体術にも自信があるようで」
「い、いえ、まったく自信がありません。そ、それよりも剣術などは、寿也の方が得意でしょうからそちらに……」
俺は、話を寿也に向けることにした。
これ以上俺ばかりが大変な思いをしてたまるかと思ったのもひとえにあるのだが、そこで俺は気づいた。
「寿也、いつの間にカップラーメンを食べているんだ」
「いや、ちょうど今できた所で」
「……俺も食べる」
といった話になり、俺と百合も食べることに。
クレア達もそうだ。
そろそろ時間的にお腹がすいたというのもある。
また、ギルドの喫茶店の主人たちも気に入ってくれたのは良さそうだが……それらを食べ終わってからサラが俺に、
「貴方には体術の心得があるようですね」
「話を無理やり戻そうとしないでください。手合わせはしませんから」
そう俺は返した。
このメイドのサラは、戦闘狂の毛がある。
ここでまたも戦闘するのは嫌だった。
今日は戦ってばかりで俺は疲れたのだから!
そう俺が思っていると、
「確かに手合わせをしたいと思いましたが、それだけではなく……格闘家が使えそうな武器の方がいいのかと思っただけです」
「武器? そういえば俺たち全員まだ武器はひとつも持っていないな」
「そういえばこちらに召喚されて日が浅いのでしたか。これからの“魔族”や“料理人”との戦闘には必要でしょうね」
「……“料理人”との戦いは、終わったのでは」
「新たな“料理人”が来るかもしれませんし、“報復”に来るかもしれません。それを考えると武器があった方がいいのでは? 森で食材や獲物を探すのにも必要ですし」
などと言われてしまう。
戦闘だけではなく、森の中で必要なものを手に入れるにも使う……そう考えると、武器はあった方がいいかもしれない。と、
「このおいしい食品は、クレア様の屋敷に言って皆さまから直接仕入れることは可能ですか?」
そう、ギルドの主人が俺たちに言ったのだった。
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