40、終わった後で
獲物を横取りされたとサラが起こって俺に攻撃をしてきた。
なぜ、俺だけ……と思ったが、よくよく考えると今回の敵のほとんどを倒したのは俺だった。
だが、俺は余計なところで戦いたくない。
けがをするかもしれないし、なんとなくこのメイドのサラは強そうだ。
メイドさんが強いという何か謎の確信が俺の中にはある。
そう思っているとそこでクレアがサラに、
「サラ、せっかく料理もして、しかも攻撃してきた料理人を全員倒してくれたのですし、その対応はどうかと」
「……ですが強い相手を見ると戦ってみたくなるものが世の常です」
「……サラ、今は貴方はメイドですから。普通の人になる、という目的はお忘れですか?」
「……く、分かりました、今回はひきます」
そこで悔しそうにサラがそう言って俺の方を、そのうち絶対手合わせをしてやるからなというかのようにみて、引いていく。
それに安堵しながらも俺は、
「でもなんで料理人がこんなに剣などを持っているのでしょうか」
「新鮮な材料が必要なのもあって、若いうちは冒険者で名をはせた方たちが引退後の副業で料理人をすることもありまして、料理人は大抵、戦闘に慣れている方が多いのです」
「そ、そうなのですか。そのような事情が……」
と聞きながら俺は、新鮮な素材って何だろうと俺は思った。
魔物なり野生生物なりを、倒してその肉を料理しているのかもしれないと、ゲーム的なファンタジーを思い浮かべて納得した。
他にも異世界ならではの特殊な植物があるのかもしれない。
これから異世界で食事をするようになることを考えると、これからままそういった食材を口にすることになるのだろうか?
「あまりそういったことは考えたくないな」
「どうされたのですか?」
そこでつい呟いてしまった俺はクレアに不思議そうに問いかけられる。
だがそれを直接言うのははばかられて俺は、
「いえ、この世界の作物はどうなっているのかと思っただけです」
「なるほど、異世界では植生が違うでしょうから……今度個々の町周辺の畑をご案内しますね」
そうクレアは言ってくれる。
確かに作物を見れば、もう少し食べる気になるような形をしているかもしれない。
俺はそう思っているとそこで寿也が、
「それで俺たちが勝利したから、これでいいのか?」
「そうですね。早速お祝いをしましょう。……勝たなければならないのに料理人は見つからず……といった展開になっておりまして、本当に皆様には感謝しております」
そう嬉しそうにクレアが言うのを聞きながら俺は、
「お役に立ててよかったです。でも無事勝利できてよかった……」
といった話を気楽にしていたその時だった。
ピリッと、紙を二つに破いていくような大きい音が近くでした。
ただそれだけのことで誰かが悪戯をしていた、そんなよくある光景であるはずだった。
違う、俺はそう思い込みたかったのかもしれない。
ぞわりと総毛立つような、不快なものを感じる。
本能に近い部分で訴えかける何かが今、あらわれようとしているように感じる。
見ると、寿也と百合も音のした方を見ている。
相変わらず不気味な音は鳴りやまない。
そこで誰かが言った。
「“魔族”だ。これは、“魔族”だ!」
悲鳴が上がると同時に、俺たちの知らない不気味な何かが、ぬるりと姿を現したのだった。
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