39、事情について
こうしてグズダ達を倒した俺たちは、彼らをロープで縛り上げた。
何らかの処罰が下るだろうといった話だった。
彼らを縛り上げた後クレアがグズダに、
「……どうして料理人のギルドを乗っ取ったのですか? “自称・悪の美食会”は、美味しいものを食べて幸せになりましょうが目的だったはず」
「ふん、そんなものは建前だ。“自称・悪の美食会”はこの料理人ギルドをすべて掌握するのを最終的に目標にしている」
「なぜ?」
「本当の実力主義になるからだ。あんな腐った身内びいきの上層部が幅を利かせた場所では店一つ、出せやしない」
「? 何のお話ですか?」
「とぼけるな。お前たちが、料理人として店を出せる人間を制限しているんじゃないか! だから、俺たちは……」
そういいだしたグズダと料理人たちの話を聞いていたところでクレアの父親がやってきて、
「ふむ、というとそれは、料理人ギルドのこの町の長が勝手って私の名前とハンコを使っていた、ということになるのかね?」
「……どういう意味だ」
「監督不届きですまない。これから対応させていただく。……そして“自称・悪の美食会”とはいったいどんな組織なのですか?」
「そのままの意味だ。実力主義の料理人ギルドを……」
「ですが実力であなた方は負けたのに、武力行使しようとしましたね」
「あ、あれは……」
グズダが口ごもる。
自分がするのはよくて、他人がするのはダメであるらしい。
そうするとグズダは言い訳を繰り返すが、クレアの父親はそれ以上何も聞く様子はなかった。
そして彼らがいなくなってから、そこでクレアが、
「“魔族”の不安があるとはいえ、どうしてこのようなことに走るものがいるのか。力を合わせなければならないときに人間同士で争っても仕方がないのに」
それを聞きながら俺はクレアに、
「“魔族”というのはそんなに恐ろしい存在なのですか?」
「? “女神様”から説明は受けてないのですか?」
「俺たちはそういった戦闘重視タイプではないようでしたから」
「そうなのですか。……“魔族”は、存在が確認されただけでその周囲が消滅する、そういった怪物です」
サラっとクレアがとんでもないことを言って、俺は何かを聞き間違えたのかと思った。
だがクレアはまじめな顔で、
「本当です。しかも存在が確認されてからすぐにどんどん強力になるのでその場で倒さないと危険なことになります。本来であればそれに対抗するための“異世界人”であったりするのですが、皆様は違うのですよね?」
クレアに聞かれて俺は頷いた。
というか主たる戦力が俺ぐらいしかいないのにどうしろというのかという気がする。
そう俺が思っているとそこで、メイドのサラが近づいてきた。
どうしたのだろうと思っていると、
「よくも私の獲物を大量に横取りしましたね」
「え、えっと……」
「私の体がこれではなまってしまいます。少し手合わせをしていただきましょうか」
「! な、なぜ! 俺は一般人です!」
「いえ、貴方の魔法のあの選択と判断力……玄人のにおいがします。いざ、勝負!」
そう、サラに言われて戦闘をさせられそうになった、その時だった。
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