表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スラッガー⚾️  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
8/29

大会の反省会と打ち上げ

大会の表彰式が終わると、僕達は監督の家に集まった。


監督の家はデカイんだ。

監督は飲食店を何軒も経営してて、お金持ちなんだ。監督の家の大きな食堂で、チームのみんなと一緒に夕飯を食べた。


食事の前に、監督がこう言ったんだ。


「みんな、今日はよく頑張ったな。ブラックホークスを相手によくあそこまで戦ってくれた。俺は君達を誇りに思う。もう少しで県大会だったけど仕方がない。勝負は時の運だ。今日の悔しさをバネに、明日からまた頑張ろう。卒業する六年生のみんなは、お疲れ様。中学に行っても頑張ってくれ。残る下級生のみんなは、また来年に向けて頑張ろう。それじゃあみんな、今日は頑張ったから、お腹が空いてるだろう。たくさん食べてくれ!」 


献立こんだてはトンカツ定食だった。

大きなロースカツにキャベツとトマトがたっぷり盛りつけてある。味噌汁やお新香、果物のデザートまで付いてた。


凄く美味おいしくて、僕はご飯を大盛りで三杯もおかわりしちゃったんだ。

みんなお腹ペコペコだったから、凄い勢いで食べてた。



◇◇



食事の後は、昨日の第一試合から今日の決勝の第四試合まで、みんなで反省点をいろいろと出し合った。


司会はキャプテンの貴史君がつとめ、聖司君が要点をメモにとった。

話すのが遅れたけど、実は聖司君は貴史君の弟なんだ。


野球が大好きな兄弟で、二人ともピッチャーなんだ。

兄弟って似るのかな?

僕は一人っ子だから分からない。


聖司君は次期エースで、二人ともナチュラルシュートが武器なんだ。



貴史君をはじめ、卒業する六年生の高山君や

佐々木君、富田君は表彰式の時まではくやしく

て泣いてたけど今はみんな笑顔に戻ってる。



反省会は貴史君の司会で盛り上がった。


貴史君は、各試合ごとの名場面を面白おかしく話しながら、チームの問題点を指摘してくれたんだ。


例えば、こんな感じ。


「翔太お前、決勝の五回表の攻撃で、監督がヒッティングのサイン出した時、目が点になってたぞ。こんな顔して[マジか!]ってつぶやいてるのが分かるんだもんなあ、まったく」


って貴史君が立ち上がって、僕のモノマネをしながら話した時は、みんな大爆笑。


「だって、送りバントだって思ってたから」


って、僕は真っ赤になって言ったんだ。


「バカ、監督がお前に期待したんだよ。鬼塚

君の豪速球にタイミング合ってたの、お前だ

けだったからな。だけど良く打ったよなあ。

お前が打たなきゃ、俺達もっとアッサリ負け

てたかもしれない」


って貴史君が言うと、みんなが拍手してく

れた。


「だけど翔太お前、動揺どうようが顔に出過ぎ。ああいう時は、もっとポーカーフェイスで相手にバントもあるぞって思わせないとな」


って貴史君が言ったら、またみんなに爆笑されちゃった。



こうやって、みんな貴史君の話しを聞いてから各自で自分の意見を出し合った。


守備や走塁、連係れんけいプレーやサインプレー、

声出しとかについて、いろんな意見が出た。


監督とコーチはニコニコしながらみんなの話を聞いてた。貴史君が質問した時だけ答えるんだ。


これは、チームのみんなが自分の頭で考えて野球をやるようにするためなんだ。



決勝の最後の場面は、貴史君が最初から監督に質問した。 


「監督、最後は佐々木君がホームに送球したけど、あれで良かったんですよね?」


「ああ、あれは仕方がないさ。貴史も一塁に

ベースカバーに行ったけど、タイミング的に

ヤバかったろ?」


「ええ、そう思います」


「相手は左バッターで足も速かった。あれで

佐々木が振り向いて一塁に投げてホースアウ

トをねらってもセーフになったと思うよ。俺だって佐々木と同じようにホームに投げたと思う。送球が少し高めに浮いたのも仕方ない。あの状況じゃストライクをほうるのはむずかしい。だからだれも佐々木をめることは出来ない」


って監督が言うと、 


「みんなゴメンな! 俺のせいで」


って佐々木君が大声で言って、泣きそうな顔になったんだ。


「佐々木、泣くな、笑え。お前の判断は間違っていない。もう少し低めに投げられたら良かったけど、クロスプレーは避けられなかったしアウトに出来たかどうかは分からない。勝負は紙一重かみひとえだからな。なあ、佐々木、ランニングスローは実は正面に投げるのが意外と難しいんだ。プロの選手だって何百回、何千回も練習してるんだぞ。それより翔太があの時、鬼塚君の打球を取ってればなあ」


って監督は、無理やり僕に話を振って来た

んだ。


「えーっ、僕ですか?」


って言うと、またみんなが笑い出した。

僕っていじられキャラみたい。


「そうだ、あれを取ってれば延長戦だったんだけどなあ」


って監督が言ったら、高山君がこう言って助けてくれた。


「監督、あれは俺だって取れませんよ。普通の外野手だったら、あそこまで追いつくのも無理です。翔太だから追いついて、あそこでサヨナラにならなかったんです」


「あっ、そうか! それもそうだな。翔太君、

悪かったな。 ゴメン、 ゴメン、 すまなかっ

た、許してチョンマゲ!」


って監督がまた古いギャグを言ったから、

みんな大爆笑。

佐々木君も顔をクシャクシャにして笑っ

てた。 


「よし! 今日はこの辺で反省会は終わりに

しよう。さあここからは、みんなお待ちかね

の打ち上げだ。思いっ切り楽しもう! 緒方

コーチも今日はビール十本くらい飲んで良い

からな!」


って監督が言うと、


「監督、僕そんなに飲めませんよ!」


って緒方コーチが言ったから、また大爆笑になったんだ。



◇◇



監督とコーチは別の部屋に移って、保護者達と一緒に宴会えんかいを始めたんだ。


もう夜になってた。



僕達チームのみんなは庭に出て、思いっきり遊んだんだ。


監督の家の庭には芝生しばふがあって、物凄く広いんだ。ちょっとした運動会くらい出来そう。


僕達は花火したり、鬼ごっこしたり、相撲すもうしたりして遊んだんだ。


本当に楽しかった。



耀も自分の家で夕食を食べた後、打ち上げに来てくれて、母さん達を手伝った。


みんなにジュースやスイカを配ったり、食器を片付けたりしてくれたんだ。 


耀はこん色に花柄はながら浴衣ゆかたを着てた。

髪もアップにして、雰囲気がいつもと違ってたから、僕は緊張しちゃった。 


「翔太、今日は頑張ったね。たくさん汗かいたからノドかわいてるでしよ?」


って言って、耀が僕のところにスイカを持って来てくれた。何度も持って来るから、僕はつい食べすぎちゃった。


大きなスイカの半分くらいは食べたんじゃないかな。あんなにスイカを食べたのは生まれて初めてだった。


「スイカはもう食べれない」


って言ったら、今度はオレンジジュースを持って来てくれた。


ことわるのも悪いから無理して飲んだけど、

その後、またコーラを持って来たんで、

僕はあきれちゃったんだ。



その日の耀は、とにかく僕の世話を焼きたいみたいだった。


耀が凄く喜んでくれてるみたいだったから、僕もうれしかった。 


[頑張って良かった]


って、僕は心の底から思ったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ