第2章 幼稚園の運動会の相談
時がたって〇〇年〇〇月、正斗は近くの間A幼稚園に入園した。雪子は、入学前の相談の時に、先生に、手や腕の過剰な発達や、そこ以外に、弱いところがあることを話した。先生は、こう答えた。
「まだ年少さんなので、そんなに、過激な運動はしません。そんなに心配しなくて大丈夫です。」
と、答えられた。雪子には、到底、安心などできなかった。
正斗が通っているA幼稚園では5月末に運動会がある。それに伴って、幼稚園生も4月末ごろから、練習を始めなければならないのだ。特に年少の保護者は、初めての運動会ということで、心配を募らせているようだった。そのころ、雪子は、ほかの保護者の何百倍も心配していた。そこで、雪子は、正斗のかかりつけ医、勇太先生の病院へ、相談しに行った。
「こんにちは、雪子さん。正斗君の運動会のことで、相談に来たのですか?」
勇太は、唐突に質問した。
「ええ、そうですけど。」
雪子が驚いた様子で答えた。そして、勇太が言った。
「やっぱりそうでしたか。最近は、春の運動会が近づいてきているものですから、正斗君のような子の来院が多いのですよ。」
雪子は、内心、うちの子をたとえにするな。と思っていた。
勇太が話を変えた。
「さて、どのあたりが心配なのですか。」
勇太が質問した。
「運動会を行うにあたって、注意するべき事はありますか?」
雪子が、質問した。それに対して勇太は……。
「大丈夫です。正斗君ぐらい元気があれば、運動会は成功します。」
雪子は勇太があまりにきっぱりというので、とてもびっくりした。雪子は心配になって、もう1度聞いた。
「本当に大丈夫なのですか?」
「ええ、大丈夫です。」
勇太は、またきっぱりいった。
「正斗君は、手や腕の力がほかの子に比べて強いです。運動会でも、遠い将来でも、きっと正斗君にとって、心強いものになるでしょう。だからきっと、運動会で、正斗君の手と腕は、大活躍するでしょう。」
勇太の言葉に、雪子は押された。とても説得力があるなと雪子は感じた。今まで雪子は、勇太のことを心配していたが、今の言葉を聞いて安心することができた。
第3章へ続く。