1/15
1:彼方
本文に登場する伏字のアルファベットは、頭文字を表すものではありません。
■彼方
これは、報じられなかったひとつの事実だ。
いまとなっては私は、事実を語り得る数少ない一人である。
現場に忍び込み、写真をカメラに収めることに成功した私は、喜びを抑○○○ず不謹慎にも○○○○○○。
ピューとは鳴らずに、ふーぃと息を吐くだけのみっともないものだったが、それで十分だったらしい。
木戸をあけ、彼が○○ら姿を現した。
傍から見れば実に間抜けな光景だったろう。
調子に乗った雑○○者と、いつから隠れていたものか○から、のそのそと出てくる男。
彼はひとめ整った顔立ちで、穏やかな雰囲気の○○○○った。
ややこけた頬、筋の通った鼻に切れ長の目。 茶色がかって光彩が際立った瞳に、やわらかな笑みを浮かべる口元。
作務衣のような着衣の袖か○○○く腕はしっかりとした筋肉に覆われており、痩せ型に見えて実は絞られた肉体であるこ○○○○た。
私に、彼は「言音」と名乗った。
(判読不能箇所を ○で記載)
≪出典≫ ゴミ箱から見つかった草稿 より抜粋