第20話:三十四歳の、剥き出しの熱
お読みいただきありがとうございます。
第20話は、瀬尾の「男」の部分が爆発する回です。
普段は穏やかな彼が、志保への不安から見せる剥き出しの情熱。
大人の恋が一段と深く、熱くなる夜を描きました。
代々木公園からの帰り道、どちらからともなく私の部屋へ向かった。
オートロックのドアが閉まり、外界の音が遮断された瞬間、玄関の薄暗がりの中で瀬尾さんに強く腕を引かれた。
「……っ」
背中が壁に当たるのと、彼の唇が私の首筋に押し当てられるのは同時だった。
公園で見せていた穏やかな微笑みはどこにもない。そこにあるのは、獲物を追い詰めた肉食動物のような、鋭く、切実な熱量だった。
「瀬尾、さん……?」
「……志保さんが手を離したから、僕、ずっと怖かったんですよ。このままあなたが、遠い場所へ行ってしまうんじゃないかって」
低く、掠れた声。
耳元にかかる吐息が熱くて、私の理性がバラバラに崩れていく。
彼は私の両手首を頭の上で片手で押さえつけ、もう片方の手で私の頬を包み込んだ。
「年下だからって、なめないでください。……僕は、あなたが思っているほど、物分かりの良い男じゃない」
そのまま、深いキスに溺れた。
いつもの優しくて慎重な彼ではない。私の全てを暴き、自分のものだと刻み込もうとするような、剥き出しの独占欲。
三十八歳の私は、その荒々しさに恐怖を感じるどころか、体の芯が歓喜で震えるのを感じていた。
リビングのソファに押し倒され、重なる体温。
シャツのボタンを外す彼の手が、微かに震えている。
「……志保さん。好きです。……他の誰にも、あなたを見せたくない。会社も、キャリアも関係ない。僕だけを見て」
三十四歳の男が放つ、なりふり構わない執着。
私は彼を強く抱きしめ、その背中に爪を立てた。
外の世界では、私は立派な「一ノ瀬ディレクター」でいなければならない。
けれど、この腕の中では、ただ彼に愛されたいと願う一人の女でいられる。
夜の帳が下りる中、私たちは互いの境界線が分からなくなるまで、激しく、深く、求め合った。
第20話、いかがでしたでしょうか。
年下男子の「ギャップ」……お楽しみいただけたでしょうか。
志保の心を繋ぎ止めるための、瀬尾なりの必死な愛情表現です。
この二人の熱量に「あつい!」と思っていただけたら、
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