第12話 今後の目標
「じゃあ今後の目標としては『この世界に来た異世界人に片っ端から会って情報を集め、リアマリアちゃんを始めとする可愛いロリ獣人達を連れて日本に帰る』ってことで良いね?」
不定期例会で、最終的な目標を決定する。欲望丸出しだとか、最初から出来レースだったとか考えてはいけない。契約した悪魔や眷属に私の目標を伝えるのは大事なことだしね。
さて、この世界には異世界人が大量に来ている。そしてその異世界人の中で、自分から居場所を明かしている人達がいる。まずは、情報を集めるためにそこへ行こう。
異世界生活3日目。朝になってリアマリアちゃんが起きると、私を見て怯えながらも「おはようございます、カスミ様」と言ってくれる。仰々しく頭を下げているけど、内心は恐怖でいっぱいなんだろうなあ。それもそれでちょっと可愛く思えて来た。
地図を購入し、異世界人達がいる具体的な場所を探す。この前に露天で買った焼きそばパンもどきは、「異世界スローライフ村」の名物らしい。要するにこの世界には「異世界スローライフ村」という名前の村があり、そこには間違いなく異世界人が住んでいるはず。もしかしたら住んでいるのは異世界人の子孫たちかもしれないけど、それでも何人かは訪れていると思いたい。
そして場所を探すと、王都から南に徒歩で3日ほど行ったところにある街から、更に徒歩で半日ぐらいの距離に「異世界スローライフ村」があると判明。長いから異世界村で良いや。そこへ行って、どうやって異世界に来たのか聞き出そう。勇者に関しては王国が召喚していると判明したけど、その他の人がどうやってこの異世界に来ているかまでは分からない。もしかしたら、そこに日本へ帰るヒントがあるかもしれない。
まずは隣町まで移動するわけだけど、急いでいるのに歩きで3日の距離を馬鹿真面目に歩くほど私はのんびりした人間ではない。キルラルドを召喚して、リアマリアちゃんを抱きかかえながらキルラルドの背に乗る。キルラルドの姿も、私とリアマリアちゃんの姿も目視出来ないようにしたため、騒ぎになることはない。
『契約者よ、我をタクシー扱いは止めてほしいのだが』
「そうは言っても、キルラルドが一番速そうだし乗りやすそうなんだからしょうがないじゃん。ほら、もう街が見えて来た」
「あぶぶぶぶぶぶぶ」
「リアマリアちゃんはそろそろ慣れよ?早くSAN値を0にして、悪魔とかドラゴンを見ても何とも思わない程度にはなろうね?」
歩いて3日の距離を、2時間程度で走破するキルラルド。そのまま異世界村まで向かおうとも思ったけど、行く前にこの街で情報収集だ。いきなり行って良い村なのかは、ここで確認するのが最適だと思う。
というわけで冒険者ギルドに寄る。まだピカピカのFランクカードを見せびらかし、異世界スローライフ村について聞いた。
「ここの村は、異世界人の村なの?」
「ええ、そうよ。ほぼ異世界人だけで構成されている村で、ここまでよく作物を売りに来るわ」
「私が行っても大丈夫かな?」
「うーん、大丈夫だとは思うけど、男の人ばかりだから女の子2人じゃ危ないかもよ?」
「へえ。男の人ばっかなんだ」
受付の女性は、普通に質問への受け答えをしてくれるけど、嘘は言ってないね。……セバスがまた遠征を始めたから、エレシオンの嘘を見抜く力しか使えないの辛い。というかセバスはセバスで戦闘狂過ぎない?エレシオンとは違って格安で契約しているから別に良いんだけど。
「出来たのは何年前なの?」
「5年ぐらい前かしら?」
「ふーん?随分と最近ね」
「ええ。最近出来た村だから、新規の村人になるつもりなら歓迎されるかもね」
「それはないかな。あ、リアマリアちゃんの冒険者登録をお願いします」
「はい。Fランクへの昇級試験は受けさせますか?」
「受けさせます」
異世界スローライフ村の情報を集めつつ、リアマリアちゃんの冒険者登録も済ませる。ついでにリアマリアちゃんにFランクの昇級試験を受けさせたけど、対戦相手がDランクの冒険者だった。その冒険者相手に、鈍足から俊足になったリアマリアちゃんは自身の動きに翻弄され、開始後5分までは全く攻撃が当たらない。
しかし攻撃が当たるようになると、スピードが速いからかすぐにDランクの冒険者は参ったと言う。うん、あの素早さで剣を当てられると痛そうだね。
ちなみに試験終了後、リアマリアちゃんから「私の身体に何をしましたか?」と質問が来たので「身体改造手術」と答えると膝から崩れ落ちてガックリとしていた。いやまだ悪魔にしたり手と足を増やしたり、目や耳を増やしたりしてないじゃないか。そんなに怖がる必要ある?
2人のFランク冒険者は、足を揃えて異世界スローライフ村へと向かう。散々なネーミングセンスだけど、異世界人がそこにいることを周囲に向かって発信するのが目的であれば、効果的な名前であることは間違いない。




