に 勇者一行(仮)
連続投稿~♪
ガサガサ
「あー、やっと開けた場所に出た。
本当にこんな奥深くに神託の英雄がいるのかい?」
茶髪金瞳のなんか勇者っぽい感じの人が出てきた。
勇者(仮)って呼ぼうかな。
ガサガサ
「いるのです!反応も近いし早く探すのですっ!」
黒髪碧瞳の全身白に包まれた少女が出てくる。
なんかコイツ偉そうだな。前世の腐った貴族を思い出してイライラする。
ガサガサ
「あ、珍しい蝶だ~」
灰髪赤瞳のマイペースそうな狼獣人が出てくる。
おいやめろ、その蝶は私の式だ。捕まえるな。
ガサガサ
「勝手に何処かへ行っちゃだめよ~」
金髪緑瞳のオカ…オネェなエルフが出てくる。
ありがとうオネェさん、お陰で私の式が助かった。
処でその背にある大剣は貴女の武器ですか?
そして彼らが使ってるのはニルニア語か。
今の大陸共通語なのか?…………わかんないや。
ん?前回の丁寧口調?疲れたから辞めた。
それより、勇者一行(仮)は何故こっちに来てるんだ?
「こっちから良い匂いがする~」
え?おいやめろ!こっち来るな!
確かに昼飯(兎のシチュー)食ってるけど!
そこからまあまあ離れてるんだぞ!?(約30m)
お前どんだけ腹減ってるんだよ!!
結果、超スピードで走ってきたから隠れた。
「ちょっとルイ!本当に匂いがしたのです!?」
「ん~?確かにしたんだけどな~?」
「なんの匂いだったんだろうね?」
私の昼飯(兎のシチュー)です。
「これじゃないかしら?」
「……これは、シチューなのです?」
「おいしそー!」
オネェさん鋭いですね。
そして狼君は誉めてくれてありがとう。
「まだ暖かいし、ついさっきまでここにいたんじゃないかしら」
……オネェさん、名探偵になれますよ。
「………………」
おいちょっと待て、狼 お前。
誉めてくれたのは嬉しいが勝手に私の昼飯(食べ掛け)を食おうとするな!バレないように石投げてやる!
それも魔術で硬化したとびっきり痛いやつを。
ビシッ
「……痛っ!」
「ルイ?どうした」
「………なんでもない」
あ?なんだ犬っころ、ガンつけてんのか?
って おい!また食べようとするな!
もうバレようが関係ない!
そのシチューは私の昼飯だ!!
ビシッ ビシ ビシッ
「………!………い……っ…」
くっそ!いい加減諦めろよ!!
「……ルイは何をやってるんですの?」
「飛んでくる石からシチューを守ってる……かな」
「バレてないと思ってるのかしらね~?」
勇者(仮)達の会話なんて聞こえない!聞かない!!
ビシビシッ
「………っ!っく………っ!?…」
ベシャッ
「「あっ……」」
わ、私のシチューが………!
「……君のせいで俺のシチューが落ちたじゃん!」
「勝手に食べようとしたお前が悪いだろ!
あとそれはお前のじゃなくて私の昼飯だ!」
「置きっぱなしにした方が悪い!」
「はぁ!?私はお前らが来たせいで昼飯を中断せざるをえなかったんだぞ!?」
「そんなの俺のせいじゃないよ!」
「私のせいでもないよ!!」
「「ぜー…はー……ぜー…はー」」
しばしの沈黙。
「「…………………」」ガシッ
「「「……え?」」」
私達は無言でお互いの手を握りあった。
「なんか君とは仲良く出来る気がする~」
「奇遇だね、私もだ」
「……どういう事なのかしら?」
「……わからないのです」
「……俺も」
些細な出来事から結ばれる友情ってあるよね。
次は時間がかかるかもしれないです。