星の実
やっちまったぜ(;゜∀゜)
絶賛自己嫌悪と反省の真只中です。
なーんでウィルとシルバ君に怒鳴っちゃったかなー。
まだ人のどす黒い所は見せたくなかったんだけどなー。
よりにもよって奴隷問題が一番手かー。
ウィルのトラウマにならなければ良いけどなー。
「兄ちゃん、どうした?」
「んー、考え事。」
「ふーん。そろそろ出来上がりそう?」
言われて目の前を見る。
落ちつつある日に照らされた改装作業が見えた。
院の隣にあったのは元は見事であったであろう温室の残骸とその管理人の住居。
今は改装、という名の建築をしている最中だ。
住居部分を大元に温室があった場所まで大きな建物を建てる。外観はシンプルに教会に似せて、内装は聖堂のようになっていて落ち着いた色合いに調整した。院ではお祈りもきちんとしていたから、その辺も兼ねてある。もちろん、ステンドグラスもある。
「後少し、かな。地下の調整が終わってないから。」
「わかった。」
聖堂まではスラムの人も入ることができる。
正式な神父やシスターがいないだけで実質教会だからね、神を頼る人に場所を提供する。
その奥には教室が二つ。
40人ずつ入ることのできる大きさで、机なんかも揃ってる。ペンとザラ紙のノート、インク。これはストックも考えて大量購入しておいた。
追加で粘土板と木のペンを造り、用意。
更に奥に進むと、塔型の建物に入る。
各階四人部屋が四つあり、地下一階地上四階の塔だ。
それが二つ並んでいて、分岐になる広めの部屋はちょっとした暖炉もある。ステンドグラスもあって、談話室のような造り。
一棟80人で160人が住めるようになってる。ベッドは二段ベッドにしたから、部屋の広さに少しゆとりがもてた。
塔型の隣に並ぶのが元あった住居部分で、こちらは食堂兼自由スペース。教会横に作る植物園に繋がっている。
ここの地下にお風呂がある。男女は分けてあるし、覗き等は双方できないよう仕掛けを施した。
建物の裏には、簡易なものだけど訓練場。
石や木といった障害物を避け、更地にしてある。
地下の強化が一番苦戦した。
結局コンクリ並みに硬くなった。魔法での強化だから、地震はおろか爆撃にも耐えれるレベルに仕上がってる。シェルターかな?やり過ぎた感はそこはかとなく(・・;)
「よし、こんなものでしょう。」
植物を成長させ、院に向かう。
クスターに聞いたら、初めはかなり身構えられたそうだ。マコ君が助けてくれたのだと説明し、一時的に保護をしてくれた。
オルーギオは院の子達の将来を保証するという約束のもと、経営の協力をしてくれるそうだ。管理人、てなるのかな?
「できたか。」
「できました。お風呂は終わりましたか?」
「あぁ。」
綺麗になった一同を連れてお隣に。
表を見たロカが首を傾げていた。
「看板は立てないのか?兼職屋みたいな、おれ達って分かるやつ。」
点、と固まった。
あー、盲点だった。そうだな。目印にもなるもんな。
「忘れてたって顔してるし。」
ロカの呆れ声はスルーして、オルーギオ達を見る。
「施設に名前を付けても良いでしょうか?」
一度顔を向かい合わせ、隣の人へと伝播していく。
全員に行き渡り、オルーギオが一つ頷く。
「頼む。」
「では。孤児院『星の実』。そう遠くない未来、この星、この国で活躍することを願います。多くを学び、世界に羽ばたいて下さい。僕は、その可能性を信じています。」
ヒースが魔法を使い、木の看板を作っていた。
妖精がそれを運び、教会の壁にかけた。
今日は休むように伝え、個室へと送る。
出荷前の奴隷だったからか、皆若かった。
働き盛りの20代や30代の男性が11人、女性が31人。
成人前の子供が男子10人、女子20人。
歩くのがやっとという子や幼い子が6人。
獣人種が三人とエルフが一人、翼人種が一人。
そして、院に所属する43人の子供達。
総勢、126人。
一晩で大所帯になったなー。
「正気とは思えんな。本当に使えるまでに成長すると、そう思っとるのか?」
ミングの手厳しい言葉。
今は談話室の所でヒースとロカも一緒に休憩中。
「ロカもよ?」
「ブッ?!――ゲッホゲホッ!おれもか?!」
「茶をぶっかけといて一言もなしか小僧ぉ!!」
「しー!しー!大声を出すなってっ、寝てるんだからっ。」
ロカがミングにタオルを投げ渡し、おれを見る。
少しモゴモゴと言い淀んで、口を開いた。
「正直、どこまで理解できるかはおれにも分からん。ただ、ジャックの行動力には脱帽もんだな。」
「そこまで難しくはしないって、たし算ひき算にかけ算とわり算。後は一通りの読み書きができるぐらいまでだ。他の教科も小学校ぐらいまでの知識で、十分だろ。」
「あぁ、それなら何とかなりそうだな。でも科学は根本が違うから、教えない?」
それな。
科学の分野、特に分子やら元素の類いはこの世界だとかなりあやふやというか、ごく一部の専門領域だ。
錬金術師を目指す子ぐらいにしか需要がないだろうな。
「教えたいのは山々なんだけどな・・・。魔法の概念が強いし、理屈を軽く話して興味のある子にだけ教えようかと。正直、おれ自身もそこまで科学は得意じゃない。特に物理は。」
「あー、それはわかる。おれもそんなん知るかってなってた。」
ここにも賛同者がいた(*゜∀゜人゜∀゜*)
「小僧共、置いてけぼりにしとるぞ。」
「前々から気になっていたのだけれど、ロカとジャックのいた世界はどんな所だったの?」
ヒースの言葉にロカと目を合わせる。
どうする?何て言う?
「あー、ジャック、パス。」
「パス?!おま、丸投げは酷くないっ?」
おれ一人で説明しろてか?!
つらいぞ?!さすがにつらいぞ?!
「ザックリで良いから、頼む。」
「貸し一つだからな?後で返せよ?」
後で絶対扱き使う。
護身術の先生してもらう。
ついでに武器の先生も。
で、あー、故郷の話、か。
「簡単に話せば、僕達がいた世界は、人間と動物しかいなかった。その中でも平和な国が、おれ達の故郷になる。9年の義務教育が定められていて、ほとんどの子供は国が決めた水準の教育、勉強をする。だから読み書き計算はできて当然。」
「何で敬語になっとる?」
ミングのツッコミにロカが苦笑した。
「だいぶ癖になってるな。」
こればっかりはな。
もう、なんと言うか、こっちの方が話しやすい感ある。
「それにしても、そんなもんか?読み書きができて当然とは、随分と恵まれとる。」
「ここに生まれてそれは痛感してるよ。ロカもたぶん同じ。一番は、魔法がなくて科学って言う別の技術が発達してたことだろうね。説明は難しくなるから省くけど、錬金術師の分野に通じる部分がある。」
科学の元になってるのは錬金術でもあるからね。
彼等がいないと見つからなかった事は少なくない。
「帰りたいとは、思わないの?」
「ヒース。」
ロカが止めようとするから、軽く手を振る。
「気にしてないから。」
少しだけ、紅茶を飲む。
ここ最近になって、ようやく踏ん切りがついた事だ。
「正直に言えば、もうどうでも良いんです。一度死んだ身ですから、以前の姿に戻る事もない。
もちろん、残した家族に未練が一切ないとは言いませんし、やり残した事がないとも言いません。それでも、この世界でやるべき事、やりたい事を見つけました。この命に変えてでも護りたいと思える人ができました。
おれは、他の転生者達に比べ恵まれた環境にいます。自由に動ける範囲も広い分、できる事が多くある。同じ故郷を持つ同胞を、同じ苦しみを知る同胞を、一人でも多く見つけ、その生活を護る。そして同時に、恩人への恩返しを。」
ヒース達は静かに頷き、ロカは無言で頭を撫でてきた。
「転生者達の記録は少なく、認知度も低い。実際、おれも本当に転生しているのか確証がもてていない現状があります。そういった事も調べていかなければならない。」
「おれもちゃんと確認しておきたいからな、協力するぞ。」
「頼んだ。」
「・・・ジャックもロカも、たくさん考えているのね。」
ヒースがふわりと笑みを見せた。
「少しだけ、安心したの。違う国に住むのにも苦労が絶えないのに、世界が変わるなんて想像を絶するわ。だから、帰りたい気持ちを抑えて無理をさせていないかしらって。」
「ロカはどう?」
これはおれ一人の感性では言えないぞ。
「んー、ここまで根本からまるっと変わると、諦めもつくし、生きるのに必死でそう考えてもいられなかったからなぁ。」
「あぁ、結構似てた。現実味がないのもあったから、かな?しばらくは他人事って感じはあった。気持ちを抑えもしないし、無理はたまにだからねぇ。」
「お前は二人どころか三人分働いとるだろぉが、ちったぁ休むことを覚えろ。いつかポクッと逝くぞ。」
ひどっ?!
「いや、実際ジャックは少し休もうか?過労死しないかハラハラしてるから。」
「あー、自重します。」
そんな血走った目で言わんでもええやん(ーAー#)
次話は一週間を予定。




