↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰キャ男子とパワフル少女  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/37

第37話 プールパニック

 学校のプールの印象が強すぎたせいで、私は勘違いをしていた。

 さすがつぐみちゃんがお勧めするだけあって、目の前にあるプールは、学校のプールとはまったく違うものだった。


「これがプールなんだ」


 目の前の光景を見て、私はとにかく目を輝かせている。

 そんな私たちのところに、男子も合流してくる。


「おやぁ、月乃ちゃんっていったっけか。ずいぶん可愛い水着を着てるじゃんか」


「思ったよりも胸もあるし、こうキュッとしたくび……おぶぁっ!」


 合流してきた男子たちに、つぐみちゃんたちの鉄拳が飛ぶ。


「まったく、これだから男子は……」


「どこ見てんのよ。セクハラ大魔神が」


 拳を強く握りしめたまま、つぐみちゃんたちはどういうわけか震えている。

 いやまぁ、一体どういう状況なんだろう。あまりに唐突過ぎて、私は状況が理解できなかった。


「やっぱり、男子を誘ったのは人選ミスだわ」


「だねぇ。あーしたちだけで楽しみましょう」


 体をけいれんさせて倒れている男子たちをしり目に、つぐみちゃんたちは私を連れて移動しようとしている。

 すぐに復活した男子たちは、私たちを追いかけてくる。


「悪い。そういうことはもうしないから、置いて行かないでくれ」


「俺たちが悪かった。この通り謝るから!」


 男子たちはかなり反省しているようだけど、つぐみちゃんたちは全く耳を貸さないようだった。

 だけど、私はこういう状況はよくないと思うので、つぐみちゃんに声をかける。


「わ、私なら大丈夫だから、みんなで仲良く遊ぼうよ」


 必死に訴えると、つぐみちゃんはようやく止まってくれた。

 止まったかと思うと、男子たちに向けて声をかけている。


「月乃の優しさに感謝しなさいよ。次やったら、絶交だからね」


「うげぇっ……。分かった、分かったよ。絶対もうしねぇから」


 男子二人はきつく言われて、私たちに対して何度も謝っていた。

 こうしてどうにか私たちは一緒に行動するようになった。


「月乃、ここなんてどうかしら」


「えっ、どこどこ?」


 学校での様子から、私がプール初心者だとつぐみちゃんは感じ取っていたらしい。

 私に対して声をかけて連れていったその場所は、波が出るプールとかいう場所だった。なんでも、人工的に波を起こしているんだとか。それはまるで、海にいる気分を味わえるプールなんだって。


「うわぁ、なんか不思議な感じ」


 波の上下によって、私はなんとも不思議な感覚に陥っている。

 でも、こんな風に漂っていたら、なんか気持ち悪くなってしまいそうな気がする。

 実際、10数分くらい漂っていたら、だんだんと気持ち悪くなってきた。最初こそ楽しい気持ちでいたけれど、波で漂うということに慣れていなかったがために、完全に参ってしまっていた。


「わわっ、動かないでずっと漂ってるからだよ」


 私はつぐみちゃんに怒られてしまった。

 確かに、私は波によってただ漂い続けただけだった。そのゆったりとした動きに、私の感覚がついていけなかったみたい。


「うう……。次から気を付けるぅ……」


 私はプールから上がって、近くのベンチの上でごろりと横になっている。しかも、私の頭の下には、つぐみちゃんの太ももがある。

 なんだろう、これって甘やかされちゃってるのかな。

 あと、周囲からの人たちからの視線がちらちらと気になる。これってどういう状況なんだろうかな。

 今の私には、どうにも理解ができない状況らしい。

 とにかく、私の状態が落ち着くまでの間、つぐみちゃんはこの体勢のままじっとしていてくれた。


「あ、ありがとう、つぐみちゃん」


 ようやく私の状態がよくなったので、ゆっくりと起き上がってお礼を言っておく。


「これくらいどうってことはないわよ」


 つぐみちゃんはにっこりと微笑んでいる。

 それにしても、本当にさっきからじろじろと見られていた気がする。

 だから、私はつぐみちゃんに聞いてみることにした。


「周りの視線、気にならなかった?」


「あー……。気になったけれど、それよりも友だちの方を優先だよ。私が誘ったせいでよろしくなくなったんだし、回復するまで付き合うものでしょ」


「あ、うん。あ、ありがとう」


 私は熊だというのに、なんともいえないくらいに恥ずかしい気分だった。

 でも、なんだろうかな。そんなに悪い気分でもなかった気がするのよね。

 と、ともかく私は回復したんだから、他のみんなと合流しよう。つぐみちゃんにそう提案する。

 私の慌てた様子を見て、つぐみちゃんはくすくすとおかしそうに笑っている。


「うん、そうだね。多分ウォータースライダーにいるだろうから、私たちも向かいましょう」


「うん、そうしよう」


 つぐみちゃんは友だちとの間で約束していた、ウォータースライダーというものに行くことにしたらしい。

 だけど、その出発地点を見て、私は思わず青ざめてしまう。


(た、高い……)


 そう、スタート地点は思ったよりも地面からかなり上がった場所にあった。

 あんな高さに上がるのなんて初めてだからか、私は思わずしり込みしてしまう。


「大丈夫、私も一緒にいるから。とにかくいきましょう」


「うん……」


 結局、今回もつぐみちゃんに追われるがままに、私はウォータースライダーの出発地点へと向かうことになった。

 ううっ、私は無事に地上に戻れるのかなぁ。

 不安に感じながらも、その出発地点に私は立ってしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。