これにて、おしまいですわ!!
「アンナ、正直に話してほしい。君は本当に、カヌーレ嬢を虐めていたのか?」
「え、ええ! もちろん、そうですわよ! 私たちの結婚が、国の危機になると思って、それで――!」
――あっ……、言ってしまいましたわ。アンナは咄嗟に口を塞いだが、もう遅かった。
「……国の危機になると思って? つまり君は、わざと婚約破棄をしようと……?」
「え、えーっと、それは……」
上手い言葉が見つからず、思わず挙動不審になるアンナ。――これはマズい、マズいですわ……!
「……そうか。すまない、アンナ。君は、国のためを思って……!」
「えっ……」
「婚約破棄は無しだ、アンナ! これからも、私と一緒にいて欲しい!」
「えぇぇぇぇっ!?」
アンナは驚きのあまり、思わずスライディングしてしまった。
……アンナは後に、自分のおこないの正しさを知る。あのとき、ヴェイン騎士団長を救ったことで、アンナとヴェインの噂は消滅した。あの噂こそ、後に国を滅ぼすことに繋がっていたのだった。
「……おーっほっほっ! つまり、私の死に戻りは、大成功だったというわけですわ!」
「アンナ? 突然叫んで、どうしたんだ?」
「い、いえ! 何でもございませんのよ、スタン王! おーっほっほっ!」
――今日も宮廷に、アンナ聖女の高笑いが響く。
これにて、アンナ・スコットの悪役令嬢物語、めでたしめでたし!